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HPCシステムズのエンジニア達による技術ブログ

Tech Blog

計算化学

計算化学

量子コンピュータ勉強会レポート(その4) ~量子コンピュータの量子化学研究最前線~

はじめに  QPARC基礎コース最終回となる第6回勉強会では、量子コンピュータ分野に関連した最先端の量子化学研究について学び、また産業界からアカデミアへの提言について議論しました。これまで、主に量子化学への応用という観点から、量子コンピュータのソフト・ハードの基礎を学んできましたが、今回は最先端の研究内容が多分に含まれており、個人的にはかなり難しい内容でした。このレポートも誤解や誤り等あるかもしれませんので、お気づきの方がいらっしゃれば、ご指摘いただけると幸いです。  また今回のQPARCでは、スポンサーセッションにて主に弊社の計算化学サービスについてご紹介させていただきました。このような...
HPC

MPI or openMP

DFTB+という電子特性を研究する為の量子シミュレーションプログラムがあります。 ごく偶にお問い合わせがある古くからあるアプリです。 色々な事が出来るのですが、研究分野を離れたところで興味深い点がありまして、それは、元々、並列をOpenMPで実装していたという点です。 ver17.1までは、OpenMPだけで実装されていました。 ところが、ver19.1でなんとMPIも実装されたという事で、比較試験を行なってみました。 手頃な計算時間のかかるインプットはないかいなという事で、レシピというサンプルの中の2D carbon armchairのv1 densityを求めるインプット...
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量子コンピュータ勉強会レポート(その3) ~量子コンピュータ上での量子化学計算~

はじめに  先月の中頃、2020年のQPARCの活動が無事幕を下ろしました。2021年も活発な活動を行っていくものと期待されますが、ここではこれまでのQPARC活動内容を何回かに分けてご報告したいと思います。今回はQPARC第3回~第5回基礎コース勉強会および第3回勉強会補習講座のご報告です。  第2回勉強会レポートでも述べましたが、ひとまず現在~近い将来では、量子ビット情報のエラー訂正を行わないNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum device:ニスク)と呼ばれる量子コンピュータが主流となります。ただしNISQでは量子ゲート数(演算回数)が多くなると...
HPC

VASP:事前/事後処理に使うソフトウェアの紹介

はじめに この記事では、GUI上で操作できる無償のものを中心に、VASPの事前・事後処理を行うソフトウェアを紹介します。 入力ファイルを入手する VASPで計算を行うためには以下4つの入力ファイルを用意する必要があります。 POSCAR 対象となる物質の結晶構造データ POTCAR 物質中の各原子の擬ポテンシャルデータ INCAR 計算方法などの設定 KPOINTS 計算するk点の設定 初めて利用される方がこれらのファイルをいきなり自作するのは大変です。そこでまずは, 以下のデータベースから目的の物質を探し、入力ファイルを入手する...
HPC

DALTONを高速化

DALTONという名前の量子化学プログラムスイートがあります。 この名称は、ホームページで人物の姿があるように、John Dalton博士をリスペクトしたものだろうという事は分るのですが、イギリス系の地名や姓など、かなり一般的な単語の為、Web用の検索エンジンを単純に使用すると、関連の無いものばかりが並ぶ事になるという困ったアプリでもあったりします。 このDALTON、かなり古くから存在するもので、最初のリリースは1983年、version 1.0が1997年 というものなので、スパコン世代の癖がかなり濃厚に残っているアプリです。 2011年以降、DALTONはバージョンナンバーがv...
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AMD Ryzen Threadripper で Gaussian

AMD Ryzen Threadripper はデスクトップPC用途ですが、コアをEPYCと共通化させているため、コア自体の底力は、なかなか期待できるものです。 Gaussian16 Rev. C.01 でいつものtest0397を動かしてみました。使ったCPUは Threadripper 3970X (32core, 3.7GHz) です。 けっこうIntel Xeonと善戦していることがわかります。手ごろな価格でGaussian計算機を探している方には朗報ですね。
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量子コンピュータ勉強会レポート(その2) ~超伝導量子コンピータ vs. 光量子コンピュータ~

はじめに  前回の量子コンピュータ記事からずいぶん時が経ってしまいましたが、7月に開催された第2回量子コンピュータ勉強会の様子をご報告したいと思います(前回記事はこちら)。  第2回勉強会は主に量子コンピュータのハードウェア技術について学びました。入門的・総論的な内容だった第1回とは対照的に、ハードに関してより深く切り込んだ内容であり、体感難度はやや難しめでした。勉強会の内容を全て理解できたわけではありませんので、このレポートも誤解や誤り等あるかもしれません。もし不適切な箇所にお気づきの方がいらっしゃれば、ご指摘いただけると幸いです。  また今回の内容は、量子コンピュータの基本的な原理を...
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量子コンピュータ勉強会レポート(その1) ~数年後には化学への応用が可能に!?~

はじめに  量子コンピュータが最近大きな注目を浴びています。量子コンピュータは、ミクロの世界を支配する量子力学の原理を応用したコンピュータで、電気信号のオンオフを基礎原理とした現在のコンピュータ(この分野では「古典コンピュータ」とも呼ばれる)を遥かに上回る計算能力を秘めています。昨年の10月にGoogle社が「量子超越(=古典コンピュータを超える計算速度)を実現した」論文を公表し、大きな話題となりました。この論文では、ある命題について最速のスーパーコンピュータを使っても1万年かかる計算を、量子コンピュータはわずか200秒で解いたという内容が書かれています。その命題とは「量子コンピュータの動作...
計算化学

GROMACS チュートリアル 水のMD サンプリング

簡単な水のMDを用いて、GROMACSの使い方をおさらいします。このステップでサンプリングを行います。
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GROMACS チュートリアル 水のMD NVT

簡単な水のMDを用いて、GROMACSの使い方をおさらいします。このステップではNVTにより、系の温度を室温程度にします。
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「電子構造論による化学の探求 第3版」例題2.1解説

はじめに  「電子構造論による化学の探求 第3版」というGaussianの教科書をご存知でしょうか。Gaussian計算に関する多くの話題や問題が掲載されており、あくまで個人的意見ですが、初心者から上級者まで習熟度に関らず、Gaussianを取り扱う者にとってはお勧めの一冊と思います。ただ、全くの初心者にとってはやや難しいと思われる内容や表現もあり、このブログではこの教科書の例題・演習問題の内容を補足・解説していければと思います。今回は例題2.1について採り上げます。 インプットファイルについて  Gaussianのインプットはテキストファイルとして扱うことができます。実際、45ページに...
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GROMACS チュートリアル 水のMD エネルギー最小化

水を用いた簡単なMDを用いて、GROMACSの使い方をおさらいします。このステップではまず、エネルギー最小化を行います。
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GROMACS チュートリアル 水のMD 導入

最も簡単なGROMACSのMDの例として、水(溶媒のみ)のMDを実行してみます。