第12世代インテル® Core™ i9プロセッサーの12900Kは、Performance-core(P-core)を8個・Efficient-core(E-core)を8個搭載したデスクトップPC向けハイエンドプロセッサーです。実計算における性能を明らかにするため、量子化学計算のデファクトスタンダードであるGaussian16にてベンチマークを行いました。
ベンチマーク環境
サーバー: HPC2000-CAL104TA
メモリ: 32GB DDR5-4800 ECC UDIMM x2
ソフトウェア: Windows 11 Pro
アプリケーション:Gaussian16W Rev. C.01
ベンチマーク結果
Gaussianに付属のtest0397インプット(Valinomycin分子C54H90N6O18をRB3LYP/3-21GでForce計算)で経過時間を取得しました。また、より計算負荷の高い計算として同インプットの基底関数系を6-31G(d,p)に変更したものも同様に取得しました(rkest0397)。TurboBoostの効果を最大限に得られるようスレッドをコアに張り付けて実施しました。比較対象として第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー IceLake (2.60GHz 24core) x2のベンチマーク結果も載せています。
全体的に12900KはIceLakeよりも計算速度が高く、12900Kの8並列時がIceLake 32並列とほぼ同性能となりました。この速さの理由として、TurboBoostによる動作周波数上昇(~4.89GHz)と、Xeon IceLakeと比べて低レイテンシでメモリアクセスできることが挙げられます。また、速度向上率(図中のLinearからの乖離)を見ると、P-coreだけを用いる1~8並列に比べ、P-coreとE-coreを併用する9並列以上は速度向上率が低いです。E-coreが速度向上に寄与するのは限定的だという点に注意すべきです。