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SLC採用、高速NVMe™ SSD KIOXIA FL6 レビュー

  • はじめに

今回、KIOXIA社が横浜に開設したKIOXIA Innovation Labを利用して、SLC(Single Level Cell)を採用した高速NVMe™ SSD、FL6をリモート評価させていただく機会をいただきました。

 

  • KIOXIA Innovation Labとは

KIOXIA Innovation Labは、KIOXIA社が提供するクラウド型のKIOXIA製品PoC施設です。KIOXIA社の最新SSDや関連技術、ソフトウエアを評価できる環境を利用することが可能です。リモートからVPN接続しWebブラウザだけで利用可能でした。

 

今回評価させていただいたFL6は、SLC Flash Memory技術を採用し、高い書込み性能、低いレイテンシー、高いエンデュランスを実現したPCIe® 4.0/NVMe™ SSD 製品です。

 

  • NANDの記録方式について

SSDにはNAND型フラッシュメモリにデータを保存するセルという構造があります。そのセルに1ビットでデータを保存する方式がSLC,2ビットがMLC,3ビットがTLC,4ビットがQLCと、おのおの呼ばれています。セル当たりのビットが少ないほど、高速で耐久性が高いものの、大容量化しづらくなり、容量あたりの単価が高くなりがちです。

 

  • KIOXIA FL6仕様
  FL6
エンデュランス(DWPD) 60
動作保証 年 5
ユーザ容量 GB 800 1600 3200
フォームファクタ 2.5インチ15mm厚ケース
インタフェース PCIe® 4.0, NVMe™ 1.4
最大インタフェーススピード 64 GT/s(PCIe® Gen4 singlex4,dualx2)
フラッシュメモリタイプ XL-FLASH™
シーケンシャルリード 128KiB(QD32) MB/s 6200
シーケンシャルライト 128KiB(QD32) MB/s 6200
ランダムリード 4KiB(QD256) KIOPS 1480 1480  1500
ランダムライト 4KiB(QD32) KIOPS 360 380 400
リード/ライト レイテンシ 4KiB(QD1) μs 29/8

 

  • KIOXIA CM6との比較

KIOXIA社CM6とFL6の仕様を比較しました。FL6は、SLC製品のため、TLCタイプのCM6と比べ、容量は少ないですが、書き込み性能やDWPDが高いです。

項目 FL6 CM6-V
フォームファクタ 2.5-inch, 15 mm thickness
インタフェース PCIe® 4.0, NVMe™ 1.4
最大インタフェース速度 64 GT/s (PCIe® Gen4 single x4, dual x2)
Frash Memory Type XL-FLASH™ SLC BiCS FLASH™ TLC
Capacity

3,200 GB

他800GB/1600GBのSKUがある

3,200 GB

他800GB/1600GB/6400GB/12800GBのSKUがある

Sequential Read 6,200MB/s 6,900MB/s
Sequential Write 6,200MB/s 4,200MB/s
Random Read 1,500K IOPS 1,400K IOPS
Random Write 400K IOPS 350K IOPS
Supply Voltage 1.2V±10% 3.3V±15%
消費電力 19 W typ.(Active)/5 W typ.(Ready)
MTTF 2,500,000 hours
保証 5 years
DWPD 60 3

 

  • FL6性能検証

KIOXIA社Innovation Labに設置されたFL6にリモートアクセスし、fioを用い、FL6単体のIO性能を検証、ほぼカタログどおりの性能を確認しました。

検証環境 KIOXIA Innovation Lab リモート環境
サーバ     Supermicro SYS120C-TN10R
CPU        Intel Xeon Gold 6338N(core 2.2Ghz W)x1
メモリ     512GB
OS          Ubuntu 22.04.3 LTS
SSD        KIOXIA FL6(KFL61HUL800G)
IO          PCIe® Gen4.0
ツール     fio version 3.28

 

fio走行結果

  KIOXIA FL6(KFL61HUL800G)
シーケンシャルリード 128KiB(QD32) MB/s 6,230
シーケンシャルライト 128KiB(QD32) MB/s 6,264
ランダムリード 4KiB(QD256) KIOPS 1,496
ランダムライト 4KiB(QD32) KIOPS 651
  • おわりに

FL6はXL Flashというストレージクラスメモリを採用しているので、一般的なNVMe SSDより低遅延でした。FL6の特性、高い書込み性能、比較的少ない記憶容量を生かした使い方を想定すると、リアルタイムに更新を継続するタイプのメタデータ、書込み回数の多いジャーナルデータ、更新と参照を繰り返すバッチネットワーク中の中間データのような用途に向いていると思います。

HPC,AI の領域でも、利用形態の多様化が進んでいますので、このような領域において、KIOXIA FL6 の低遅延性や高いエンデュランス性能を適用する例が増えていくでしょう。