HPCシステムズではエンジニアを募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
HPCシステムズのエンジニア達による技術ブログ

Tech Blog

ARM for HPC

背景

数百~数千の並列度を有する高密度プロセッサを搭載した、一筐体で2000Wの消費電力を超える計算機が散見されるようになってきました。こうした計算機は、熱の排出と温暖化という側面において環境影響が著しく、その緩和策を提案することは弊社にとって重要な責務であると考えています。

HPC事業部では、科学技術計算アプリケーションの精緻なビルドに日々取り組み、より高速なバイナリを調製する技術を磨いています。しかし、計算機の抜本的な省電力化のためには、こうした取り組みだけでなく、省電力ハードウェアへの積極的な技術資源投資が不可欠です。

昨今、パブリック/プライベートなクラウドのデータセンターをHPCに利用する試みが広まってきています。サーバー集積台数の多いデータセンターを構成する上で、目標とする性能キャパシティを実現するために必要となるサーバー電力が重要な制約事項となりますので、ますます、省電力なHPCサーバーが求められます。

一方、ARMは組み込み用プロセッサーの設計に非常に多く用いられている実績から、省電力効果に大きく期待を持てます。そして、2016年頃からサーバー向けのARMプロセッサー設計についての情報が続々と発表され、Cavium等のCPUメーカーも次々と名乗りをあげて、2018年前半では、限られた顧客がその使用を始めています。 

ARMをHPCに適用する理由

ARMのHPCサーバーは省電力と価格という点でgame changerとなりえます。

絶対性能という観点ではIntel社製プロセッサーに一日の長があるでしょうが、電力対性能の観点ではIntel社製プロセッサーに勝るとも劣らない結果が出始めています(Cavium ThunderX2などにおいて)。

弊社の貢献

省電力や価格という点だけでなく、ARMをHPCに適用する上でとても大切なことは、これまでと同様のHPCサーバー品質(安定性など)であること、そして、これまでと同様のソフトウェア利便性が提供されていることです。

弊社は、これまでに培ってきた、機材選定や初期不良検査などのHPCサーバー構成ノウハウを応用して、品質の高いARMプロセッサー搭載HPCサーバー製品をお届けいたします。

また、これまで培ってきた科学技術計算アプリケーションのビルドノウハウに基づき、数々の科学技術計算アプリケーションを、ARMサーバープロセッサー上で高速かつ数値精度を守って動作するようにビルドし、ターンキーで使えるようにインテグレートいたします。

さらに、もちろん、計算性能についても重要視しておりますので、実アプリ・実機でのベンチマーク取得を積極的に行い、その結果を顧客の皆様にお届けしてまいります。