以下に示す表では,以前のバージョンのGaussianで使われていた,古くなった(obsolete)キーワードを示します。これらは全てGaussian 03でもサポートされていますが,表にあげた最新の同等なものに変えることを強く推奨します。
古くなった(obsolete)キーワード | 代わりとなるキーワード&オプション |
---|---|
Alter | Guess=Alter |
BD-T | BD(T) |
BeckeHalfandHalf | BHandH |
Camp-King | SCF=Camp-King |
CCSD-T | CCSD(T) |
CubeDensity | cubegen |
Cube=Divergence | cubegen |
DIIS | SCF=DIIS |
Direct | SCF=Direct |
GridDensity | cubegen |
Guess=Restart | SCF=Restart |
MP2=Stingy and VeryStingy | なし(オプションは無効) |
NoDIIS | SCF=NoDIIS |
NoExtrap | SCF=NoExtrap |
NoRaff | Int=NoRaff |
OldConstants | Constants=1979 |
Opt=AddRedundant | Opt=ModRedundant |
OptCyc= n | Opt(MaxCyc=n) |
OSS | GVB(OSS) |
PlotDensity | cubegen |
Prop=Grid | cubegen |
QCID | CCD |
QCISD-T | QCISD(T) |
QCSCF | SCF=QC |
Raff | Int=NoRaff |
Save | なし ( Save は無効 ) |
SCFCon= n | SCF(Conver=n) |
SCFCyc= n | SCF(MaxCyc=n) |
SCFDM | SCF=DM |
SCFQC | SCF=QC |
SCRF=Checkpoint | Field=EChk |
VShift [ = n ] | SCF(VShift[=n]) |
chkmoveユーティリティ(異なるアーキテクチャの計算機で移行するために,チェックポイントファイルをバイナリに/からコンバートする)はもはや提供されていません。この機能は,現在formchkとunfchkを用いて取り扱います。
このキーワードを指定すると, 2電子置換を用いたcoupled cluster計算と,CCD波動関数を用い1および3電子励起寄与を4次まで評価した計算を行います。これはCCSD(T)に取って代わっています。ST4CCDはCCD+STCCDと同義です。
直接A-行列を逆行列にします。デフォルトは反復解法であり,こちらのほうが常に望ましい方法です。
このプロパティキーワードを用いると,3次元グリッド(cube)点に対する分子軌道,静電ポテンシャル,電子密度,密度グラジェントとそのグラジェントのノルム,密度のラプラシアンを評価することができます。cubegenユーティリティのほうが望ましいため,このキーワードの利用は推奨されません。
このキーワードを指定すると,計算が成功したら最後にフォーマット形式チェックポイントファイルを出力します,formchkユーティリティのほうが望ましいため,このキーワードの利用は推奨されません。
FORMCHKオプション
All: 全情報をフォーマット形式チェックポイントファイルに記録します
ForceInt: 内部座標での力を記録します
ForceCart: カーティシャン座標での力を記録します
EField: 電場プロパティを記録します(カーティシャン座標)
OptInt: 最適化での中間座標を内部座標で記録します
OptCart: 最適化での中間座標をカーティシャン座標で記録します
Basis: 基底関数のデータ(指数,係数等)を記録します
MO: 分子軌道を記録します
Spin: α, β 成分を別に記録します(デフォルトは全密度)
UseNO: 密度が指定された場合,自然軌道表現を用います(デフォルトは密度下三角)
SCFDensity: SCF密度を記録します
CurrentDensity: 現在の方法での一般化密度を記録します
AllDensities: 全ての方法での密度を記録します
CurrTrans: 基底状態と現在の状態間の遷移密度を記録します
GroundTrans: 基底状態と全励起状態の遷移密度を記録します
GroundCurrTrans: 基底状態あるいは現在の状態のどちらかを含む全ての遷移密度を記録します
AllTrans: 全ての遷移密度を記録します
CurrEx1PDM: 現在の状態に対するCIS 1PDMを記録します
AllEx1PDM: 全てのCIS 1PDMを記録します
指定すると,幾何構造指定がカーティシャン座標であることを示します。カーティシャン座標は,特に特別なオプションを指定する必要はなく,分子指定に含めることができます。
遷移構造に対する初期推測をLinear Synchronous Transit [575]を用いて生成します。LST法は2つの構造をつなぐ経路の最大を探し,それを遷移構造の推測とするものです。LSTはAM1では有効ではありません。
LST計算では実際に適切な遷移状態を探索するわけではないことに注意してください。しかしながら,LST計算で得られた構造は,その後で行うOpt=TSでのインプットに適しているかもしれません。しかし普通は,LST法はOpt=QST2に取って代わっています。
Massageキーワードを指定すると,分子指定と基底関数のデータを,それを生成した後に修正することができます。このキーワードは推奨されません。ExtraBasis, Charge, Counterpoiseやその他のキーワードを用いてください。このキーワードの説明は下記を参照してください。
構造最適化を,固定ヘシアンとエネルギーの数値微分(グラジェント生成用)によるpseudo-Newton-Raphson法で行います。このオプションは,ヘシアンをReadFCまたはRCFCで読み込む必要があります。これを用いると,遷移構造や高次の鞍点を探索することができます
Fletcher-Powell最適化アルゴリズム[144]を用います。この方法は,解析的グラジェントを必要としません。
グラジェント最適化を,その他にオプションを指定しなければデフォルトの方法を用いて行います。これは解析的グラジェントが利用可能で,他に妥当なものがない場合は常にデフォルトです。
MNDO(または可能であればAM1)力の定数を計算し,それを用いて(普通はab initioの)最適化を開始します。
Murtaugh-Sargent最適化アルゴリズム[145]を用います。Murtaugh-Sargent最適化法はobsoleteな選択肢であり,Gaussian 03では後方互換性のためだけに残されています。
ヘシアンに対する通常の価電子力場推測の代わりに単位行列を用います。
PolyAtom積分プログラムで元々用いられていたフォーマットで積分ファイルを出力します。デフォルトで生成されるフォーマットは, Caltech MQMプログラムで用いられているものですが,Link 9999のコードを修正するだけで間単に他のフォーマットで出力できます。
MO係数ファイルを Caltech (Tran2P5) フォーマットで出力します。これは,Caltechプログラムのユーザーしか関係しないでしょう。
このオプションをSCRFに用いるとGaussian 94でのPCMモデルを利用します。これには,溶媒の誘電率と球ごとの点数をインプットで指定する必要となります。ReadRadiiオプションを使うと球の半径を各原子タイプで指定することもできます(オプション)。ReadAtRadiiオプションを用いると,フィッティングポテンシャルに用いる各原子の半径を変えられます。
分極誘電モデル(polarizable dielectric model)[285,286,287]を用います。これは,幾つか細かい実装部分を除いてGaussian 98 SCRF=PCMオプションに対応するものです。このモデルはもはや一般的な利用には推奨されていません。デフォルトのSCRF法は IEF-PCMです。
解析的SCRFでなく,数値的SCRFを強制的に用います。このキーワードには,Dipole以外では多極子の次数が必要となります。このオプションは球状キャビティ(空洞)の利用が前提になっており,推奨されないものです。このオプションではグラジェントは利用できません。
オプション Dipole, Quadrupole, Octopole, Hexadecapole では,SCRF計算に用いる多極子の次数を指定します。Dipole以外では全てNumerオプションも指定する必要があります。
SCRF=Numer計算を予備計算での反応場をインプットストリームから読み込んで(誘電率と半径<3自由フォーマット実数>を指定したすぐ後におきます)始めます。
.SCRスクラッチファイルの場所を指定します
対称性制限を保持します。NoSymmにすると,対称性制限を緩めます(デフォルト)。
このプロパティキーワードを用いると,3次元グリッド(cube)点に対する分子軌道,静電ポテンシャル,電子密度,密度グラジェントとそのグラジェントのノルム,密度のラプラシアンを評価することができます。cubegenユーティリティのほうが望ましいため,このキーワードの利用は推奨されません。
デフォルトでは, Cubeは(Densityオプションに対応する)電子密度を評価します。用いる密度はDensityキーワードでコントロールします。Density=Currentを用いると,デフォルトのHartree-Fock密度の変わりに,相関またはCIS波動関数の密度に対してcubeを評価します。
1つのジョブステップで評価できる量は一つだけであることに注意してください。違う量を評価するためには,チェックポイントファイルを保存し(%Chkを用います),続けて行うジョブ(またはジョブステップ)のルートセクションにGuess=(Read,Only) Density=Checkpointを指定します。このようにすることで,他の計算ステップを繰り返さずに評価することが可能です。
Gaussianではデフォルトのグリッドは適切に決められます。そのため,ユーザーがcubeを指定する必要はありません。しかし,出力ファイル名は必ず指定する必要があります(後述)。
代わりに, 「面(side)」ごとに用いる点の数を指定するパラメータを用いることもできます(デフォルトは80)。例えば,Cube=100と指定すると, 1,000,000 点 (1003)を,長方グリッド上に均等に分布させた(これは必ずしもcubeではありません)グリッドを用いることになります。その他にも,Gaussianの以前のバージョンで用いられていたインプットフォーマットもまだサポートされています。Cube=Cardsと指定するとgridを入力することになります。これを用いることにより,任意のサイズ・形のグリッドを指定することができます。
また, Coarse, Medium, FineオプションをCubeに対するパラメータとして指定することもできます。これらは,それぞれ 3, 6, 12 点/Bohrの密度に対応します。このオプションを用いることで,分子サイズの範囲に即したグリッドサンプリングを等しい品質で行うことが容易になります。
Cubeによって生成されたファイルはcubmanユーティリティを用いて操作することが可能です。
Pop=Noneにするとcubeファイル生成も抑制されてしまうことに注意してください。
グリッド指定を行うようにした場合,グリッド情報がインプットストリームから読み込まれます。一行目(全てのCubeジョブに必要)では,cubeファイルの名前を指定します。次の行から(Cube=Cardsの場合にのみ)は,次のような情報をフォーマット(I5,3F12.6)に従って入力します:
Output-file-name Required in all Cube jobs. <全Cubeジョブに必要>
IFlag, X0, Y0, Z0 Output unit number and initial point. <出力装置番号と初期点>
N1, X1, Y1, Z1 Number of points and step-size in the X-direction. <X方向の点の数とステップサイズ>
N2, X2, Y2, Z2 Number of points and step-size in the Y-direction. <Y方向の点の数とステップサイズ>
N3, X3, Y3, Z3 Number of points and step-size in the Z-direction. <Z方向の点の数とステップサイズ>
IFlagは出力装置番号です。IFlag が0未満の場合,フォーマット型ファイルが生成されます。それ以外では非フォーマットファイルで出力されます,
N1<0の場合,入力cube座標はBohrで指定したことになります。そうでなければ,オングストローム単位で指定したことになります(このキーワードはUnitsキーワードの設定の影響を受けません)。どちらのケースでも,|N1|がX方向の点の数として用いられます。3つの軸は指定したとおりに厳密に用いられることに注意してください。軸が直交していなければ,必ずしもグリッドは長方になりません。
Orbitalsオプションが指定された場合,cubeファイル名(または,cubeファイル名とcube指定インプット)のすぐ後に評価する軌道のリストをフリーフォーマットで続けます(終わりには空行をいれます)。軌道の番号に加えて(β軌道の番号はN+1で始めます),次のリストにある省略形を用いることもできます
HOMO
最高占有分子軌道
LUMO
最低非占有分子軌道
OCCA
全占有(α)軌道
OCCB
全β占有軌道(UHF)
ALL
全軌道
VALENCE
全占有非内殻軌道
全仮想軌道
サンプルインプットファイルは用例セクションを参照してください。
インプットでの単位にかかわらず,cubeファイルの値は全て原子単位になります。
Cubeに対してデフォルトのインプットを用いると,非フォーマット型アウトプットファイルを生成します(cubmanユーティリティを用いてフォーマット型にコンバートすることも可能です)。Cardsオプションを指定した場合,IFlag パラメータの符号でアウトプットファイルタイプが決まります。IFlag>0なら非フォーマット型,Flag<0ならフォーマット型で出力されます。インプットでの単位にかかわらず,cubeファイル内の値は全て原子単位になります。
密度およびポテンシャルグリッドに対しては,非フォーマット型ファイルはレコードごとに一行用います(つまり,N1*N2は各々N3の長さで記録されます)。フォーマット型アウトプットでは,各行はフォーマット(6E13.5)で出力されます。このケースで,N3が6の倍数でない場合,空白で埋められる行が存在します。
また,密度グラジェントのノルムやラプラシアンはスカラー量であり(つまり点ごとに1つの値),同じ形式で出力されます。密度+グラジェントグリッドも同様ですが,各行に2つ記録されます(長さN3 および 3*N3)。密度+グラジェント+ラプラシアングリッドでは行ごとに3つ記録されます(長さN3, 3*N3,N3)。
例えば,密度cubeでは,アウトプットファイルは次のようになります:
NAtoms, X-Origin, Y-Origin, Z-Origin
N1, X1, Y1, Z1 # of increments in the slowest running direction <最も遅く走る方向の増分数>
N2, X2, Y2, Z2
N3, X3, Y3, Z3 # of increments in the fastest running direction <最も速く遅く走る方向の増分数>
IA1, Chg1, X1, Y1, Z1 Atomic number, charge, and coordinates of the first atom <最初の原子の原子番号,電荷,座標>
...
IAn, Chgn, Xn, Yn, Zn Atomic number, charge, and coordinates of the last atom <最後の原子の原子番号,電荷,座標>
(N1*N2) records, each of length N3 Values of the density at each point in the grid <各グリッド点における密度の値>
各レコードに対して別々に記録されることに注意してください。
分子軌道アウトプットでは, NAtomsは0未満になり,最後の原子に対するデータの後に別のレコードが出力されます(フォーマット型であれば,フォーマット10I5):
NMO, (MO(I),I=1,NMO) Number of MOs and their numbers <MOの数とその番号>
NMO個の軌道が評価された場合,各レコードはNMO*N3 の長さになり,各点での軌道の値が一緒に出力されます。
密度,ラプラシアン,ポテンシャルといった値を読み込み,X(N3,N2,N1)次元の配列に戻したい場合には,以下のようなFortranループによるコードを用いると可能です:
Do 10 I1 = 1, N1
Do 10 I2 = 1, N2
Read(n,'(6E13.5)') (X(I3,I2,I1),I3=1,N3)
10 Continue
ここで,nはcubeファイルに対応する装置番号です。
原点が(X0,Y0,Z0)で,増分が (X1,Y1,Z1)である場合,点 (I1,I2,I3)は座標です:
X-coordinate: X0+(I1-1)*X1+(I2-1)*X2+(I3-1)*X3
X-座標: X0+(I1-1)*X1+(I2-1)*X2+(I3-1)*X3
Y-coordinate: Y0+(I1-1)*Y1+(I2-1)*Y2+(I3-1)*Y3
Y-座標: Y0+(I1-1)*Y1+(I2-1)*Y2+(I3-1)*Y3
Z-coordinate: Z0+(I1-1)*Z1+(I2-1)*Z2+(I3-1)*Z3
Z-座標: Z0+(I1-1)*Z1+(I2-1)*Z2+(I3-1)*Z3
グラジェントまたは電荷密度のグラジェントやラプラシアンも必要な場合アウトプットは同様です。しかしこれらのケースでは,それぞれ2つまたは3つのレコードが, I1, I2値の各ペアごとに記憶されている点が異なります。したがって,密度やグラジェントを配列D(N3,N2,N1), G(3,N3,N2,N1), RL(N3,N2,N1)に読み込むためには,正確にFortranループを回す必要があります:
Do 10 I1 = 1, N1
Do 10 I2 = 1, N2
Read(n,'(6F13.5)') (D(I3,I2,I1),I3=1,N3)
Read(n,'(6F13.5)') ((G(IXYZ,I3,I2,I1),IXYZ=1,3), I3=1,N3)
10 Continue
ここでも,nはcubeファイルに対応する装置番号です。
N
「面(side)」ごとに用いる点の数(デフォルトは80)。例えば,Cube=100と指定すると, 1,000,000 点 (1003)を,長方グリッド上に均等に分布させた(これは必ずしもcubeではありません)グリッドを用いることになります。
Coarse
3 点/Bohr
Medium
6 点/Bohr
Fine
12 点/Bohr
Density
密度値のみを計算します。VolumeキーワードやCube=Orbitalsオプションと組み合わせることはできません
Potential
各点における静電ポテンシャルを計算します
Gradient
密度とグラジェントを計算します
Laplacian
密度のラプラシアン (∇2ρ)を計算します。DivergenceはLaplacianと同義です。
NormGradient
各点における密度グラジェントのノルムを計算します
Orbitals
各点における(1つ以上の)分子軌道の値を計算します。 MOはOrbitalsと同義です。Volume キーワードやCube=Densityオプションと組み合わせることはできません。
FrozenCore
SCF内殻密度を除きます。これは密度に対するデフォルトであり,ポテンシャルでは利用できません。FCはFrozenCoreと同義です。
Full
全電子を含む密度を計算します
Total
全密度を用います。これはデフォルトです。
Alpha
アルファスピン密度のみを用います
Beta
ベータスピン密度のみを用います
Spin
スピン密度(アルファ・ベータ密度の差)を用います
Cards
インプットストリームからグリッド指定を読み込みます(詳細は上述)
Arbitrary
任意のポイントのリストを読み込みます
次のジョブでは, orbitals.cube という名のcubeファイルが生成されます。これにはHOMOとLUMOが含まれます
#n rhf/6-31g* 5d scf=tight cube=(orbitals) test
HOMO and LUMO in default cube
0,1
O
H,1,R2
F,1,R3,2,A3
Variables:
R2=0.96
R3=1.42
A3=109.47122063
orbitals.cube
homo
lumo
次の例は,Cube=Cardsでcubeを指定する方法を示します:
# rhf/6-31g* 5d scf=tight cube=(density,cards) test
Density cube with user-defined cube
0,1
O
H,1,R2
F,1,R3,2,A3
Variables:
R2=0.96
R3=1.42
A3=109.47122063
density.cube
-51 -2.0 -2.0 -1.0
40 0.1 0.0 0.0
40 0.0 0.1 0.0
20 0.0 0.0 0.1
Massageキーワードを指定すると,分子指定と基底関数のデータを,それを生成した後に修正することができます。このキーワードは推奨されません。ExtraBasis, Charge, Counterpoiseやその他のキーワードを用いてください。
Massageキーワードでは,非縮約基底関数を標準基底系に追加することが可能になります。一般的な分極(polarization),分散(diffuse)関数が内部で用意されていないような標準基底系にこれらの関数を追加することができます。例えば,分散関数を3-21G基底系に追加して,3-21+Gを作ることができるようになります。同様に分極関数を 6-311Gに追加して,6-311Gベースの基底系で内部で用意されている最大の基底系である6-311G(3d1f)よりも大きい, 6-311G(5d3f)のような基底系を作ることも可能です。
Massageによる変更を行う前に標準基底関数を原子にアサインしますが,電子数は修正の後原子番号に基づいて求められます。
massageされた基底系で計算を行った場合アーカイブエントリは生成されず,また分子対称性を利用することもありません。Massageの機能のうちいくつかはExtraBasisキーワードに取って代わられています。Chargeを用いたシングルポイント(一点)エネルギー計算で点電荷を指定することもできます。
Massageはcounterpoise計算やBSSEで用いることもできます(例を参照)
Massageには次のフォーマットによる(1行以上の)インプット行を指定する必要があります:
center, func, exp, [cX, cY, cZ ]
ここで, centerは中心の番号(番号は分子指定セクションの順),funcは修正するタイプを指定するコード(後述),expはガウス関数の指数または新しい核電荷(0にするとゴースト原子を追加することになります),またfuncを-1にした場合cX,cY,cZに点電荷の座標をオングストローム単位で指定します(後述)。インプットストリームの終わりを示すために空行を入れます。
funcには以下のような値を指定します:
0 or Nuc
核電荷を変えます
1 or SP
SP殻に追加します
2 or D
D殻に追加します
3 or P
P殻に追加します
4 or S
S殻に追加します
5 or F
F殻に追加します
-1 or Ch
点電荷を追加します
このキーワードは Unitsキーワードの設定の影響を受けません。インプットは常にオングストローム単位として解釈されます。
Charge, ExtraBasis, Gen, Counterpoise
点電荷を追加 次のインプットファイルでは,Massageキーワードを用いて水の計算に点電荷を追加します。注意:これは通常Chargeキーワードとそのインプットを用いて計算します。
# RHF/6-31G(d) Massage Test
Water with point charges
0 1
O -0.464 0.177 0.0
H -0.464 1.137 0.0
H 0.441 -0.143 0.0
0 ch 2.0 1.0 1.0 1.0
0 ch 2.5 1.0 -1.0 1.0
基底関数を追加 次のインプットでは,(非標準基底系を用いた文献中の計算を再現するために)D95基底系に関数を追加します。注意: これは通常ExtraBasisキーワードとそのインプットを用いて計算します。
# RQCISD(Full)/D95 Freq=Numer Massage Test
H2O Frequencies at QCISD(Full)/DZP
0 1
O
H 1 R
H 1 R 2 A
R=0.961882
A=104.612551
1 D 0.85
2 P 1.0
3 P 1.0
Counterpoise補正を手動で計算 以下のインプットファイルでは,counterpoise計算を実行します。Massageキーワードを用いていないことに注意してください。除去される原子を単にゴースト原子添え字 (Bq)をつけて指定します。注意: このタイプの計算を行うには今ではCounterpoiseキーワードを用います。
# b3lyp/3-21G** nosymm scf=tight test
HBr + H2O manual counterpoise calculation, H2O removed
0 1
H 0.685176 -0.004924 -0.026973
Br -0.771917 0.000050 0.001967
O-Bq 2.536864 -0.000136 -0.051401
H-Bq 3.015128 0.789231 0.184042
H-Bq 3.021888 -0.784986 0.185282
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)