Fieldキーワードを指定すると,有限場を計算に加えます。Gaussian 03では,場には電子多重極子(hexadecapoleまで)かFermi contact項のどちらかが使えます。Fieldには次の2種類のフォーマットのうち片方でパラメータを与えます:
M±N または F(M)N
ここで, Mは多重極を,F(M) は原子M(入力ファイルの分子指定セクションの順番)に対するFermi contact摂動を表します。N*0.0001は最初のフォーマットでは場の大きさを原子単位で,2番目のフォーマットではFermi contact摂動の大きさを指定します。
したがって, Field=X+10では電子双極子場をX方向に0.001 au入れることになり,一方Field=XXYZ-20ではhexadecapole場を大きさ0.0020 au,方向はデフォルト(標準配向で決められたもの)とは逆に追加することになります。同様に,Field=F(3)27では原子3にスピン密度の0.0027倍の摂動を加えることになります。
この係数はカーティシャン演算子の行列であり,結果を解釈する際には符号の向きに気を付けるようにしてください。
全てのパラメータはインプット配向です。
場指定パラメータは,好きなところに置けます。 Fieldが指定された場合にはアーカイブは無効になります。
34電子多重極子成分の係数を入力ストリームからフリーフォーマットで読み込みます。
35電子多重極子成分の係数を入力ストリームから旧スタイルのフォーマット(単極子項を含む)で読み込みます。フォーマットは3D20.10(最初の成分が電荷)です。
35電子多重極子成分をRead-Writeファイルから読み込みます。
Read-Writeファイルから3電子双極子場のみを取り出します。
35電子多重極子成分をチェックポイントファイルから読み込みます。ChkはCheckpointと同義です。
チェックポイントファイルから3電子双極子場のみを取り出します。
シングルポイント(一点)計算,構造最適化,および ForceとScan計算
GVB計算において対称性が残っている場合,選らんだ場が分子の対称性を崩すかによって,有限場は正しい数値微分を与えるかもしれないし,与えないかもしれません。確実に計算するためには,GVBでFieldを用いる際は常にGuess=NoSymm を指定してください。
電場の存在下で構造最適化を行うためには,Opt=Z-Matrix NoSymmキーワードを用いて,伝統的なZ-matrix座標か記号によるカーティシャン座標のどちらかで入力座標を指定する必要があります。以下に例を示します:
# RHF/3-21G Field=x+60 Opt=Z-Matrix NoSymm Z-Matrix optimization 0 1 C H 1 B1 H 1 B2 2 A1 H 1 B3 2 A2 3 D1 H 1 B4 2 A3 3 D2 B1 1.070000 B2 1.070000 B3 1.070000 B4 1.070000 A1 109.471203 A2 109.471203 A3 109.471231 D1 120.000015 D2 -119.999993
以下に記号によるカーティシャン座標を用いた例を示します:
# HF/6-31G(d) Opt=Z-Matrix Field=z-50 NoSymm Symbolic Cartesian coordinates optimization 0 1 O 0 x1 y1 z1 H 0 x2 y2 z2 H 0 x3 y3 z3 x1=0.0 y1=0.0 z1=0.12 x2=0.0 y2=0.75 z2=-0.46 x3=0.0 y3=-0.75 z3=-0.46
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)