国連の推定では、世界人口は、1950年におよそ25億人、現在はその3倍の77億人、そして2050年には97億人へと、今後30年間で20億人の増加となる見込みと言われております。
その背景として、戦後20世紀の大戦のような悲劇を繰り返さないように世界が努力し、貧困や格差などまだ多くの課題があるものの、新興国や第三諸国の市場参加によるグローバル化が本格的に進んだことで、人々の生活はより豊かになり、医療などが発達したことで平均寿命が延び、紆余曲折しながらも人類は一歩一歩より良い世界へと向かっているからだと思います。
しかしながら、世界の人口が増え続けたことで、21世紀の人類と地球環境にとって環境、資源、エネルギー、健康、食糧、生活など経済発展と地球環境の保全を両立しなければならない難しい挑戦が出てきています。例えば、生物が生きていける自然環境の維持、環境負荷低減に寄与する素材の開発、電子機器に欠かせない希少天然資源に代わる代替材料の開発、そして環境に優しい製品づくり、安全で効率のよい持続可能なエネルギーの開発とその社会インフラの構築、人類が今まで経験したことのない超高齢化社会に向けた健康寿命の延伸や少子高齢化に耐え得る安全・安心な新しい社会環境の構築、増加する世界の人口に対して争わずに食べていけるだけの食糧生産など様々な課題が挙げられます。
これらの21世紀の課題を解決するためには、科学技術の研究手法として用いられる理論と実験、コンピュータシミュレーションを用いる計算科学、ビッグデータ解析、機械学習や人工知能を用いるデータ科学のそれぞれの手法の強みを活かしつつ相互に得られた知見を活用しながら、大学や研究機関での基礎研究と応用研究に始まり企業の最先端研究開発による科学技術の発展が必要不可欠です。
当社は、科学技術の発展に寄与すべく、「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」ことを経営理念に掲げ、世界の人が安心、安全で平和に暮らすためには、共存共栄を基本にそれぞれの国の特徴を活かせる科学技術の発展と、そこに産業があり、やりがいを持てる仕事があることだと確信しています。
当社は会社設立以来、「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」というビジョンを持ち、人類の難題に挑戦している研究者や開発者に寄り添い、知恵、努力、コミュニケーションとコンピューティングを通じてそれぞれが抱えている課題やニーズを共に考え、「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションとし、それが当社の果たすべき役割であると位置づけています。
その当社の果たすべき役割を実行していくいために、当社が発展させてきたハイパフォーマンスコンピューティング事業と産業コンピュータ事業を活かし、世の中に次から次へと誕生してくるマイクロプロセッサやデバイスなどのハードウエア、ミドルウエア、シミュレーションや機械学習、深層学習などのアルゴリズム、アプリケーション、ネットワークやクラウド技術などのコンピューティングに関わる最先端の要素技術を科学技術やモノ作りの研究者や開発者の成果に結びつく実用的なツールや製品サービスとして実用化し、当社が提供する3つの強力なソリューション・ツールが互いに掛け合わされて3乗の効果で発揮する「S³ as a Service」(Sキューブソリューション as a Service)という独自のソリューションサービス戦略を展開してまいります。
より良い社会の実現に向けて技術で挑戦し、これからも立ち止まることなく、事業を通じて人類と地球の未来に貢献するという志の実現に全力投球していく所存です。
今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
HPCシステムズ株式会社 代表取締役
小野 鉄平