SCF

Description

このキーワードでは,SCFの手続きに関する機能をコントロールします。オプションを使って,動作を指定したり,アルゴリズムを代えたりします。様々な問題に対してSCFのパフォーマンスを最大限に引き出すための情報を得るためにはここをクリックしてください。

シングルポイント(一点)Direct SCF計算はスピードをあげるために自動的に控えめな収束条件で実行されます。この場合のデフォルトはSCFエネルギーが0.1 kcal mole-1の精度,密度行列は小数点3桁(これは電荷密度解析や電荷由来の静電ポテンシャルなどで十分です)で求めます。SCF=Tightにするとこのケースでは完全に収束するようにします。

Diffuse(分散)関数を含む基底関数系でSCFやDFTシングルポイント計算を行う場合には,SCF収束条件を厳しくするために,常にSCF=Tightキーワードを使うべきです。

それとは正反対に, 低精度の積分,SCFやCPHFのカットオフ・収束条件にして最適化を開始し,構造が安定なものになったときにだけ,より高精度・高コストな計算を行うようにすることもしばしば有用です。Sleazyオプションは,これら全てのカットオフの値を減らします。また,アーカイブも行いません。

デフォルトのSCFの手続きでは,EDIIS [559] とCDIISの組み合わせを,ダンピングやFermi brodeingなしで利用します。

(同じ文が上にある)

SCFの収束性や安定性に関する議論については文献[560]を参照してください。

アルゴリズム選択オプション

DIIS

DIISを指定すると,PulayによるDirect Inversion in the Iterative Subspace外挿法[561]を利用します。NoDIIS にすると禁止します。

CDIIS

CDIISのみを利用します。 CDIISDampも指定したことになります。

Fermi

初期のSCFの繰り返しの間で,温度broadening[562]をCDIISとダンピングを組み合わせて利用します。NoFermiは Fermi broadening を抑制します(デフォルトです)。FermiはデフォルトでDampも指定したことになり,またレベルシフトも含みます。

Damp

初期のSCFの繰り返しの間で,動的ダンピングを有効にします。NoDampがデフォルトです。しかしながら,SCF=Fermi またはSCF=CDIISが指定された場合はダンピングは有効になります。ダンピングとEDIISは一緒にはうまく動作しないことに注意してください。

NDamp=N

N 回SCFの繰り返しまで動的ダンピングを行います(デフォルトは10です)。

QC

二次収束SCF手続き[563]を利用します。デフォルトでこの方法では,収束から遠い時には線形探索を,収束に近いときにはNewton-Raphson法(エネルギーが上がらなければ)を行います。この方法はDIIS外挿による通常のSCFより遅いですが,より確実な方法です。SCF=QCは制限開殻(RO)計算では利用できません。

XQC

一次SCFが収束しない場合に余分にSCF=QC ステップを追加します。

MaxConventionalCycles=N

SCF=XQC 中の従来のSCFサイクルの制限をN回にします。

SD

最急降下SCFを行います。

SSD

Does scaled steepest descent SCF.
スケールされた最急降下SCFを行います。

DM

direct minimization SCFプログラム[564]を利用します。これは通常SCF=QCより劣り,後方互換性のために,また最後の手段として残されています。RHF閉殻かUHF開殻計算のみで利用可能です。

VShift[=N]

軌道エネルギーを N*0.001 (すなわち, N ミリハートリー)だけシフトします。N のデフォルトは100です。このオプションを指定すると自動アーカイブは無効になります。N=-1 にするとレベルシフトを無効にします。NoVShiftでも同じことです。

MaxCycle=N

SCFサイクルの最大数をNに変更します。デフォルトは64(SCF=DMSCF=QCでは512)です。DIISが有効なときに,SCFサイクルの最大数を増やすとメモリ必要量が増加することに注意してください。

FullLinear

初期のSCF繰り返しの際に完全線形探索をL508 (SCF=QC, SD, SSD)で行うことを指定します。デフォルトでは,完全最小化は最初のマイクロ繰り返しでエネルギーが上がってしまった場合にのみ行われます。

MaxRot=N

SCF=QCでのNewton-Raphson法の最大回転グラジエント(勾配)を10-Nにします。この値以上のときはスケールされた最急降下法を使い,100倍以上のときは最急降下法を使います。Nのデフォルト値は2です。

FinalIteration

FinalIteration にするとDIISまたはDirect SCFが収束した後の最後の非外挿, 非インクリメンタル繰り返しを実行し,NoFinalIterationにすると行いません。デフォルトはNoFinalIterationです。

IncFock

インクリメンタルFock行列形成を強制的に利用します。これはDirect SCFの場合にはデフォルトで指定されます。NoIncFockを指定するとインクリメンタルFock行列形成を行いません。これは従来のSCFではデフォルトです。

Pass

in-core計算では,積分をディスクに保存し,Link 1002での再計算を防ぎます。 振動数計算をSCF=InCoreと組み合わせて行った場合にのみ有用です。NoPassにすると,積分を各in-coreフェイズで再計算します。

TightLinEq

SCF=QCの間中,線形方程式解の収束性を厳しくします。デフォルトでは,収束条件は回転グラジエント(勾配)が減少するときに厳しくなります。

VeryTightLinEq

QCSCFの間中, 線形方程式解(マイクロ繰り返し)の収束性をさらに厳しくします。このオプションはほぼ線形従属な場合にしばしば必要となります。VTLVeryTightLinEqと同義です。

積分保存オプション

Direct

2電子積分を必要なときに再計算するDirect SCF計算を利用します。このSCF手続きはGaussianではデフォルトです。これは,MCSCF2次微分と複雑な軌道を使った場合を除いて,全ての利用可能な計算方法で選択できます。シングルポイント(一点)DirectSCF計算に対しては,スピードを上げるため,収束条件を緩く(10-4) することに注意してください。

InCore

全ての積分リストをメモリに保存して,SCFを実行するようにします。十分なメモリがあれば,DirectSCF計算での自動的に実行できます。SCF=InCore もし十分なメモリを確保できない場合はジョブを中止します。NoInCoreにするとSCFやCPHF法の両方でin-core法の利用を禁止します。

Conventional

2電子積分をディスクに保存し,SCF反復ごとに読み出します。NoDirectConventionalと同義です。

Options

Conver=N

SCFの収束条件を 10-Nにします。これはGVBやCASSCF法以外の密度行列に基づく収束条件であり,GVBでは軌道の変化,CASSCFではエネルギーの変化に基づく条件を用います。

VarAcc

DirectSCFの初期には積分精度を落とし,後で十分な精度に切り替えます。DirectSCFではデフォルトです。NoVarAccを指定すると無効にできます。VarIntVarAccと,NoVarIntNoVarAccと同義です。

Tight

SCFで,通常の厳しい収束を用います。 CASSCFとDirectSCFのシングルポイント(一点)計算を除く全ての方法でデフォルトです。このオプションはNoSinglePoint, NoSP, NoSleazyTightIntegralsと同義です。

SinglePoint

シングルポイント(一点)計算に対して適切な緩いSCF収束条件を用いることを指定します。SCF=(Conv=4,VarInt,NoFinal,Direct)と指定したことと同じことになります。シングルポイント(一点)CASSCFまたはDirectSCF計算ではデフォルトです。SPと短縮することもできます。SleazySinglePointと同義です。

VerySleazy

さらにカットオフ値を減らします。,通常のシングルポイントグリッド(MediumGrid)を用いて一回反復を行った後,反復中はInt=CoarseGridとシングルポイント積分精度を用います。生産品質を求める計算には推奨されません。

対称性関連オプション

IDSymm

SCF反復の初回の密度行列を分子の対称性にマッチするよう対称化させます(”initial density symmetrize(初期密度対称化)”。NoIDSymmがデフォルトです。

DSymm

毎回のSCF繰り返しの密度行列 を分子の対称性にマッチするよう対称化させます(”density symmetrize(密度対称化)”)。NoDSymmがデフォルトです。DSymmIDSymmも指定したことになります。

NoSymm

全軌道対称性制限を解除することを指定します。Guess=NoSymmSymm=NoSCFと同義です。

Symm

全ての対称性を制限したままにします。各対称性タイプ(アーベル既約表現)の占有軌道の数を初期軌道推測での数と合わせます。このオプションを用いて,計算で指定した状態の波動関数を維持します。GVB計算に対してのみデフォルトです。

IntRep

対称操作を用いて積分を複製することによって,積分対称性を明確にしてSCFの手続きを行います。たとえ波動関数が十分な分子対称性を持っていなくても短い積分リストの利用を許します。L502(RHF, ROHF, UHFではデフォルト),L508(SCF=QC)で利用可能です。

FockSymm

フォック行列を対称化することによって(”プチ”積分リストを利用して)積分対称性を明確にしてSCFの手続きを行います。これはデフォルトです。FSymmFockSymmと同義です。

再スタート関連オプション

Save

全ての反復でチェックポイントファイルに波動関数を保存し,それでSCFを再スタートできるようにします。DirectSCFではデフォルトです。NoSaveにすると,波動関数を保存しなくなります。

Restart

チェックポイントファイルからSCFを再スタートします。 SCF=DMのときは再スタートできません。

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