Integralキーワードでは,2電子積分およびその導関数の計算法・使用法をコントロールします。
数値積分に用いる積分グリッドを指定します。エネルギーを比較しようとする全ての計算(例えば,エネルギー差や生成熱を求める等)で同じグリッドを用いることが非常に重要になることに注意してください。このオプションに対するパラメータには,グリッド名を表すキーワードか,特定のグリッドを指定します。キーワードで指定する場合には,このオプション名そのものを省略することも可能です(つまり,Integral(Grid=FineGrid)とIntegral(FineGrid)は同じです)。
“pruned”グリッドは,あるレベルの精度を得るのに必要なグリッド点が最小限ですむよう最適化されたグリッドです。prunedグリッドはデフォルトではそれが利用可能であれば用いられます(現在のところ,HからKrまで)。
デフォルトのグリッドは pruned (75,302)グリッドです。これは,半径方向に75個の殻(radial shell)をつくり,殻ごとに302角度点(angular point)をおくもので,結果として1原子ごとに約7000点になります。FineGridにすると,このグリッドを指定したことになります。Gridの引数として整数値N を指定することで,異なるグリッドを用いることもできます。
Grid=UltraFineにすると,pruned (99,590) グリッドを用います。これは,四面体中心を多く持つ分子や,非常に低い振動モードを計算する場合には用いることが推奨されます。
このキーワードのパラメータとして他にもCoarseGrid(pruned (35,110) グリッド)やSG1Grid(pruned (50,194) グリッド)があります。しかしながら,これらのグリッドよりもFineGridのほうが相当良い数値的精度と回転不変性を示し,結果を求める計算には推められない[511]ことに注意してください。Pass0Gridを指定すると,今では使われなくなったpruned (35,110) グリッドを,厳しいSCF計算のpass 0で一度使います。
直接グリッドを指定するには, Gridの引数として整数値Nを与えます。Nには以下の形式のいずれかで指定します:
2次の Douglas-Kroll-Hess スカラー相対論的計算を行います[517,518,519,520] (概要については [521,522] を参照)。この方法は,Gaussian nuclear model[523]を用います。DKH2やDouglasKrollHessはこのキーワードと同義です。
NoDKHまたはNonRelativisticと指定すると非相対論的コアハミルトニアンを用います(デフォルト)。
0次のDouglas-Kroll-Hess スカラー相対論的計算を行います。
RESCスカラー相対論的計算を行います。
Raffと指定すると,2電子積分に対してRaffenetti形式を用います。これがデフォルトです。NoRaffにすると,通常の積分形式を用います。また,direct CPHF計算ではRaffenetti積分は用いられません。これはconventional SCFと,conventionalおよびdirect振動数計算に影響します。
CNDO/2積分を用いてメインコードを計算します。
INDO積分を用いてメインコードを計算します。
ZINDO/1積分を用いてメインコードを計算します。
ZINDOS積分を用いてメインコードを計算します。
DFT計算の数値積分に対して, Scuseria と Stratmannの重みスキーム[524]を用います。これはデフォルトです。
数値積分に対して,Beckeの重みスキームを用います。
MO2電子積分の対称ブロック化を無効にします。 NoSymmCompはNoSCompと同義です。
spdf積分導関数に対してPRISMアルゴリズム[27]を用います。これはデフォルトです。
1電子積分の評価を,デフォルトの方法を用いずに,Rysの方法[525,526,527]を用いて行います。これは,非常に限られたメモリしかとれないマシンでは必要となるでしょう。
2電子積分の評価を,Rysの方法(L314) [192,525,526,527]で行います。これはデフォルトの方法より遅いですが,小さなメモリしかないマシンでは必要となるでしょう。また,標準(非Rafenetti型)積分を指定した場合(NoRaffオプション)にはデフォルトでこの方法が選択されます。
Berny sp 積分導関数および2次導関数コード(L702)を用います。
Passを指定すると,積分をディスクを通してメモリに保存します。NoPassはこれを無効にします。これはSCF=[No]Passと同義であり,SCF=[No]Passキーワードを利用するほうが推奨です。
積分の評価と保存の際,対称性の利用をNoSymmにすると無効に,Symmにすると有効にします(Symmがデフォルトです)。これはSymm=[No]Intキーワードと同義ですが,Symm=[No]Intを使う方が推奨されます。
積分をディスクに保存する際,特別sp積分プログラム(L311)を用いません。
Prismのdiagonal samplingの選択を反対にします。
CPKS multiple-matrixコードを利用しません。
2重ループを強制します。 SqLoopsはこのオプションと同義です。
特別クーロンコードの利用を禁止します。
FoFCouを,使われないときでも用います。NoFoFCouにすると,FoFCouの利用を禁止します。
Scat20とreplicated Fock行列の選択法を逆にします。
FMM/NFxでSchwartzのカットオフを無効にします。
FMM/NFxでMPに基づくcutoffsを無効にします。
extra DFTカットオフを無効にします。
Linda処理をトレースします。
AO S=P殻をSとP殻別々に分割します。NoSplitSPがデフォルトです。
AO S=P=D 殻またはS=P=D=F殻を S=P, D, Fに分割します。NoSplitSPDFがデフォルトです。
密度S=P殻をSとP殻別々に分割します。 NoSplitDBFSP がデフォルトです。
密度S=P=D殻またはS=P=D=F殻を S=P, D, Fに分割します。NoSplitDBFSPDFがデフォルトです。
密度行列を少ししか処理しないときでも,gather/scatter digestionの利用を禁止します。Splatterはこのオプションと同義です。
電子‐電子で核‐電子クーロンを計算します。
ECP精度パラメータをNにします。
電子密度の基づくカットオフで, Sqrt(P) の利用を無効にします。
テスト用にHF/hybrid DFTでJとKを別々に検討します。
AO基底で全ての原始関数を短縮しません。 UncontractAOBasisはこのオプションと同義です。
密度フィッティング基底で全ての原始関数を短縮しません。UncontractDensityBasisはこのオプションと同義です。
密度行列をFMM NF/FFの範囲にアサインしません。デフォルトでは, クーロンのみを計算し,交換を計算していない場合,Sqrt(P) は範囲内に入ります。
DFT XC求積の際グリッドの情報を予備計算しません。NoPreComputeXCはこのオプションと同義です。
割当のためにXC求積パラメータ(重要な関数の数など)を予備計算しますが, 個々のグリッド点に関する情報は保存しません。PreComputeXCParametersはこのオプションと同義です。
XC求積パラメータを予備計算し,重みの再計算をしないですむよう各点の重みを保存しておきます。PreComputeXCWeightsはこのオプションと同義です。
XC求積パラメータを予備計算し,各グリッド点での重みと座標を両方とも保存します。PreComputeXCGridPointsはこのオプションと同義です。
パラレル2電子積分評価をセットアップしますが,パラレルでは計算しません(デバッグ用)。
パラレルXC求積評価をセットアップしますが,パラレルでは計算しません(デバッグ用)。
XC求積で全ての原子のサイズを大きくします。
XC求積で全ての殻のサイズを大きくします。
対称性でユニークな原子上のグリッド点を減らすための,(アーベル群)対称性の利用を行いません。
テスト用に FoFCouの線形記憶に変換します。
数値求積で密度行列を予備計算するかどうかの選択を逆にします。デフォルトはPBC以外の分子では予備計算を行います。
XC求積での数値的精度のテストをスキップします。
存在する積分ファイルを用います。積分ファイルとチェックポイントファイルを両方とも以前の計算でとっておかないとなりません。シングルポイント(一点)計算と Polar=Restartでのみ利用可能です。
HF振動数計算で積分導関数ファイルを保存します。これは新しい導関数コードをデバッグするときのみ有用です。
積分バッファサイズをN整数ワードにします。通常デフォルト値(マシン依存)が適切な値になっています。
積分導関数バッファサイズを N ワードにします。
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)