このキーワードを指定すると,双極子電場分極率(と,可能であれば超分極率)を計算します。構造変化や微分は考慮できませんが,ルートセクションでFreqとPolarを両方指定して,分極率と力の数値微分を同時に計算することも可能です。ただし,解析的グラジェント(勾配)が計算できない方法 (MP4(SDTQ), QCISD(T), CCSD(T), BD等)では,FreqとPolarを組み合わせることはできません。2次微分を解析的に計算するときにはデフォルトでPolarが行われることに注意してください。
通常,分極率および超分極率は静的な振動数を用いて計算されます。しかし振動数依存分極率・超分極率[220,221,222,224,225]も,ルートセクションで CPHF=RdFreq とし,インプットファイル中で振動数を指定すれば計算することが可能です。
旋光度 [261,262,263,264,265,266,550,551,552,553] もOptRotオプションを指定すると計算可能です[223,267,268,269,270,271,305,554]。
旋光度の計算を行います。
dc-SHG (直流-第2次高調波発生(second harmonic generation)) 超分極率のために振動数依存CPHFを計算します。このオプションは CPHF=RdFreq も同時に指定したことになります。
電場のステップサイズを 0.0001N 原子単位とします。
分極率および超分極率を解析的に計算します。これはRHF,UHF,MP2計算のときに可能で,デフォルトにもなっています。解析的振動数計算の際には分極率は常に計算されます。
解析的分極率を数値的に微分して,超分極率を求めます
分極率を双極子モーメントの数値微分として計算します。(当然,双極子モーメント自体はMP2やCIエネルギー計算の際には期待値でなく,エネルギーの解析的微分です。)解析的一次微分しか計算できない方法では,デフォルトです。
エネルギーを2階数値微分して,分極率を計算します。EnergyOnly(EnOnlyと同義)は実は呼び誤りです。なぜなら,利用可能であれば,解析的一次微分を2階微分して超分極率を計算しているからです。
チェックポイントファイルから数値的分極率計算を再スタートします。Polar計算が失敗しても,チェックポイントファイルから再スタートすることが可能です。再スタートさせるには,オリジナルのジョブと同じルートセクションを用い,さらにPolarキーワードにRestartオプションを付け加えるだけで,他のインプットは必要ありません。
双極子分極率を計算します(デフォルト)。
HF, 全DFT法,およびMP2法では,Polarと指定すると分極率および超分極率が両方とも計算されます。また,CIS, MP2, MP3, MP4(SDQ), CID, CISD, CCD, CCSD, QCISD, CASSCF法では,単にPolarと指定すると分極率のみが計算され,Polar=EnOnlyとすると分極率と超分極率が両方計算可能です。これら以外の方法では,分極率のみが計算可能です(解析的微分が計算できない方法では,EnOnlyがデフォルトになっています)。Polarは半経験的方法には適用できません。
振動数依存プロパティの例: 次のジョブでは,振動数依存分極率・超分極率を,ω=0.1 Hartreeを用いて計算します:
# Polar CPHF=RdFreq B3LYP/6-31G(d) Frequency-dependent calculation: w=0.1
分子指定 0.1
振動数依存Polar計算を実行した結果は,静的な振動数を用いた結果の後に表示されます。例えば,この例は,振動数依存ジョブ(ω=0.1 Hartree)の超分極率です。
SCF Polarizability for W= 0.000000: 1 2 3 1 0.482729D+01 2 0.000000D+00 0.112001D+02 3 0.000000D+00 0.000000D+00 0.165696D+02 Isotropic polarizability for W= 0.000000 10.87 Bohr**3. SCF Polarizability for W= 0.100000: 1 2 3 1 0.491893D+01 2 0.000000D+00 0.115663D+02 3 0.000000D+00 0.000000D+00 0.171826D+02 Isotropic polarizability for W= 0.100000 11.22 Bohr**3.
静的な分極率計算は最初に,同様のアウトプット(超分極率とプロパティ)がその後に出力されています。
旋光度の計算例: 以下では,旋光度ジョブ(OptRotオプション)の出力(抜粋)です。このケースでは,ルートセクションで CPHF=RdFreqを指定して振動数依存計算を行っています(指定した振動数は500nm)
w= 0.000000 a.u., Optical Rotation Beta= 1.2384 au. Molar Mass = 74.4103 grams/mole, [Alpha]D = 643.30 deg. G' tensor for W= 0.091127: -27.88112715 8.27183975 58.48555729 -7.74920313 9.64293589 28.50024234 -14.62301919 4.52918305 10.26760578 w= 0.091127 a.u., Optical Rotation Beta= 2.6569 au. Molar Mass = 74.4103 grams/mole, [Alpha] ( 5000.0 A) = 1917.10 deg.
静的な場合の結果は出力の最初に表示され (ω=0.0), その後に指定した振動数に対する結果が表示されます。また,この出力中で強調されている部分は,比旋光度の値です。
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