このキーワードでは,分子軌道の出力や,電子密度解析(population analysis)・原子電荷分布をコントロールします。デフォルトでは,原子の電荷と軌道エネルギーのみが出力されます。ただしGuess=Onlyジョブの場合は,デフォルトがPop=Full(後述)になります。電子密度解析は,シングルポイント(一点)計算では一度だけ,構造最適化計算では最初と最後の構造に対して行われます。
電子密度解析に用いられる電子密度は, Densityキーワードでコントロールされます。1回のジョブでは,電子密度と電荷フィッティングの方法は1つしか用いることができません。複数の組み合わせを試みる場合には,Guess=Only Density=Checkを指定したジョブを行うことで,余分なコストをかけずに計算できます。
電子密度解析は標準配向で計算されます。
Popキーワードでコントロールできる出力は以下の通りです:
デフォルトでは, Gaussianは半経験的方法で得られたMO係数を直交化原子軌道(OAO)の係数として分子軌道の出力と電子密度解析を行います。この方が理論的根拠がありますが,半経験的方法プログラムによってはMO係数を生の原子軌道としている場合もあります。そのようなプログラムで得られる半経験的方法の結果と軌道を比較するためには,IOp(4/24=3) としてください。
軌道を出力せず,電子密度解析も行いません。
原子の電荷と軌道エネルギーを出力します。これは, Guess=Onlyを除く全てのジョブに対するデフォルトです。
占有軌道を高い方から5つ,仮想軌道を低い方から5つ出力します。同時に密度行列と完全(軌道−軌道,原子−原子)Mulliken電子密度解析も出力します。出力のサイズは分子サイズの2乗に対応するので,大きな分子では出力が非常に大量になるでしょう。
Regularと同じですが,全ての軌道を出力します。
標準的な電子密度解析に加えて,結合電子密度解析を行います。これは,異なる中心に属する基底関数間の値を残したMulliken電子密度解析です。出力方法に関しては,上記のオプションでコントロールできます。
全電子密度に対する自然軌道解析を行います。 NOはNaturalOrbitalsと同義です。
αおよびβ電子密度を用いて別々に自然軌道解析を行います。 NaturalSpinOrbitalsはNOABと同義です。
αおよびβ電子密度を用いて別々に自然軌道解析を行いますが,.wfnファイルには用いたα 電子密度だけを保存します(Output=WFN参照)。NOAはAlphaNaturalと同義です。
αおよびβ電子密度を用いて別々に自然軌道解析を行いますが,.wfnファイルには用いた β 電子密度だけを保存します(Output=WFN参照)。NOBはBetaNaturalと同義です。
(αを正とした)スピン密度を用いて自然軌道解析を行います。
デフォルトでは,自然軌道はチェックポイントファイルに保存されません。自然軌道をチェックポイントファイルに保存するためには,次のような2段階のジョブを行ってください。
--Link1--
%Chk=name
# Guess=(Read,Save,Only,NaturalOrbitals) Geom=AllCheck
結果として得られたチェックポイントファイルに対してformchkユーティリティを用いることにより,軌道を可視化することもできます。
Merz-Singh-Kollmansスキーム[216,217]に基づく点を用いて,静電ポテンシャルの電荷フィッティングを行います。
CHelpスキーム[218]に基づく点を用いて,静電ポテンシャルの電荷フィッティングを行います。
CHelpGスキーム[219]に基づく点を用いて,静電ポテンシャルの電荷フィッティングを行います。
静電ポテンシャルに電荷をフィッティングする際,双極子モーメントを再現できるように制限します。ESPDipoleはDipoleと同義です。
静電ポテンシャルに電荷をフィッティングする際,各原子中心でpoint dipoleにもフィットするようにします。
静電ポテンシャルをフィッティングするのに,用いる元素ごとに半径を読み込ませて指定します(Å単位)。その入力には,元素記号と半径を記述した行で指定し,空行で入力終わりを示します。
静電ポテンシャルをフィッティングするのに,用いる原子ごとに半径を読み込ませて指定します(Å単位)。その入力には,原子番号と半径を記述した行で指定し,空行で入力終わりを示します。
Natural Bond Orbital (NBO) 解析を,NBO version 3 [12,13,14,15,16,17,18,19]を用いて行います。
NBOのうち, Natural Population Analysis (NPA) だけを行います。
入力ストリームから解析用のオプションを読み込んで,NBO解析を行います。このオプションを用いると,NBO versions 4または5のキーワードを指定できます。インプットの詳細についてはNBOのドキュメントを参照してください。
相互作用delection効果を入れたNBO解析を行います。SCF計算でのみ適用可能です。NBOのインプット読み込みも必要となります。詳細については,NBOのドキュメントを参照してください。NBOのインプットは,行頭の$がUNIXシェルに解釈されてしまうのを避けるために,2カラム目から書き始めてください。
NBOをチェックポイントファイルに保存します(可視化用)。
NLBOをチェックポイントファイルに保存します(可視化用)。
チェックポイントファイルに,占有軌道に対してはNBOを,非占有軌道に対してはNLBOを保存します(可視化用)。
次のインプットファイル例では,NBO 5を用いて結合次数解析を行います。
# B3LYP/6-31G(d,p) Pop=NBORead
Example of NBO bond orders
0 1
C 0.000000 0.665676 0.000000
H 0.919278 1.237739 0.000000
H -0.919239 1.237787 0.000000
C 0.000000 -0.665676 0.000000
H -0.919278 -1.237739 0.000000
H 0.919239 -1.237787 0.000000
$nbo bndidx $end
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)