デフォルトでは,電子密度解析(population analysis)およびその他の解析法は,そのときのジョブのSCFの電子密度を用いて行われます(つまり,post-SCF計算ではHartree-Fock 電子密度;DFT計算ではDFT電子密度;CAS計算ではCASSCF電子密度)。MP2, MP3, MP4(SDQ), QCISD, CCD, CCSD,CID, CISD, SAC-CI 法に対する一般化密度行列も利用することができます。これらはZ-Vector[140,445,446,447]に基づいており,そのためエネルギーの正確な解析的微分による多極子モーメントを得ることができます。2次のunrelaxed電子密度(MP2とは異なります)も利用可能ですが,推奨されません。
Densityキーワードのオプションにより,用いる解析法を制御します。オプションを指定せずにDensityキーワードだけを指定した場合は,Density=Currentを指定したことになります。
用いた方法に対する密度行列を用います。これはDensityキーワードを何もオプションを選ばずに指定した場合のデフォルトです。
利用可能な全ての電子密度を用います。これは,電子密度解析は可能ですが,静電および密度評価はできません。このオプションは,CI-Singles (CIS) 計算において,検討を行おうとする状態の電子密度のみを生成するのであり,全ての励起状態に対する電子密度を生成するわけではありません(このような計算を行いたい場合は後述の例を参照してください)。
SCF電子密度を用います。HFはSCFと同義です。
2次のエネルギーに対する一般化密度行列を用います。
状態
MおよびN間のCIS遷移密度を用います。Mのデフォルトは0(基底状態)です。
利用可能な全てのCIS遷移密度を用います。
CIエネルギーに対する一般化密度行列を用います。
QCI(またはCC)に対する一般化密度行列を用います。CCはQCIと同義です。
状態Nに対するCI波動関数を用いて計算した1粒子密度行列を用います。これはCI電子密度とは異なるものであり[447],利用は避けるべきです。この問題はExploring Chemistry with Electronic Structure Methods 《訳注:日本語版『電子構造論による化学の探究』》の9章で検討されています[308]。
Møller-Plesset法の2次の補正電子密度を用います。これはMP2電子密度とは同じではなく,利用するべきではありません [447]。
状態Nに対する全unrelaxed CIS電子密度を用います。これはCIS(Root=N,…) Density=Currentにより得られる電子密度とは異なるものであり,そのほうを用いるべきです[447]。
チェックポイントファイルから電子密度を取り出して,解析を行います。Guess=Only ChkBasisを指定したことにもなります。このときの計算は,積分やSCF等を再計算することはなく,チェックポイントから基底関数系を取り出すだけです。
次のルートセクションでは,
CI-Singles計算を行い,分子に対する第6励起状態まで求めます。電子密度解析およびその他解析は,最低励起状態に対するCIS電子密度を用いて行います。
%Chk=benzene
# CIS(NStates=6)/6-31+G(d,p) Density=Current Pop=CHelpG
次のルートセクションでは,その他の励起状態に対するpost-CIS解析を再実行します。
%Chk=benzene
# CIS(Read,Root=N) Density=Current Pop=CHelpG
# Guess=Read Geom=AllCheck
このルートでは,収束したCIS波動関数をチェックポイントから取り出し,必要なだけCPHF計算を行い,状態Nに対するrelaxed電子密度を生成します。その電子密度を用いて電子密度解析およびその他解析を行います。
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