GRRMは、HPCシステムズが提供する、量子化学の予言性を利用して未知の化学反応経路を自動的に探索する、世界初の計算プログラムです。大野 公一教授、前田 理教授らによって非調和下方歪み追跡法(ADDF法)の開発が開始され、GRRMに実装されているAFIR法は、北海道大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(世界トップレベル研究拠点プログラム:WPI-ICReDD)の研究グループらで現在も進化を続けて、新しい化学反応の合理的設計と高速開発を目指す先端研究開発が展開されています。
GRRMは,局所的,半大域的,または大域的な反応経路探索を行う計算プログラムであり,従来の個別の反応経路計算から,網羅的な反応経路探索,複雑な反応経路ネットワークの構築まで,様々な目的において非常に有用です.また,これまでに,有機反応,有機金属触媒反応,微粒子触媒,ラジカル反応,電子励起状態を含む光反応,周期境界条件による結晶相転移,QM/MM-ONIOM法による酵素触媒反応など,様々な反応系に対して応用実績があります.GRRMには,Gaussian03/09/16,molpro,GAMESS,ORCA,TURBOMOLE,SIESTAとのインターフェイスが内蔵されており,簡単なコードを用意することで任意の電子構造計算コードと組み合わせることもできます.
次の改善を加えた GRRM23 revision 1 をリリースしました。2023年10月27日以降のGRRM23配布に適用されます。
▸ LUP (also in RePATH, DS-AFIR, and SC-AFIR) is more robust than before, reducing the number of ‘??’ connections.
▸ Fixed problem with MinimumPATH where the path after the bottleneck is determined by a tiny (negligible) difference in timescale.
▸ The SCF options in G16 calculations have been modified to make the SCF converge more efficiently on geometries with SCF convergence problems.
量子化学的逆合成解析(QCaRA)の計算結果例を公開しました。こちら
たった1つの分子をインプットするだけで、そこから生成されうるすべての生成物やそれを生成しうるすべての反応物、そしてそれらすべての反応経路を自動的に探索できる、それがGRRM。触媒設計、材料スクリーニングなどさまざまな分野で活用できます。
インプット | アウトプット |
|
安定構造の数 (反応物・生成物・中間体) | 素反応の数 | |
acetic acid CH3COOH | 121 | 848 |
propionic acid C3H2O2 | 207 | 1,114 |
methyl nitrate CH3NO3 | 676 | 4,835 |
lactaldehyde C3H6O2 | 1,366 | 10,103 |
GRRM20以降のバージョンでは、RCMC(Rate Constant Matrix Contraction)法と呼ばれる反応速度論的解析手法が利用可能で、それを複雑な反応経路ネットワークに対して適用できます。GRRM23では、逆向きの反応速度論的解析機能がRCMCに基づいて実装されました。この機能は、反応経路ネットワーク上の他の化学種から出発するすべての反応について、目的生成物の収率を予測します[1]。この逆向きの反応速度論的解析機能を速度論ナビゲーションツールとして用いることで、量子化学的逆合成解析(QCaRA)が実施されます。生成物の構造をその唯一の入力として受け取るQCaRAは、小さな天然生成物の合成を含む、様々な既知の反応に対して正しい反応物を同定する能力を実証しました[2]。
[1] Y. Sumiya, Y. Harabuchi, Y. Nagata, S. Maeda, Quantum chemical calculations to trace back reaction paths for the prediction of reactants., JACS Au, 2022, 2, 1181-1188.
[2] T. Mita, H. Takano, H. Hayashi, W. Kanna, Y. Harabuchi, K. N. Houk, S. Maeda, Prediction of high-yielding single-step or cascade pericyclic reactions for the synthesis of complex synthetic targets., J. Am. Chem. Soc., 2022, 144, 22985-23000.
量子化学的逆合成解析(QCaRA)の計算結果例はこちらからご覧いただけます。
GRRM23は、ユーザーが開発した外部モジュールを用いて構造最適化や探索を制御する機能を提供します。これらのモジュールは、局所最小値付近の探索順序を変更したり、局所最小値から探索される経路を変更したり、システムに外部バイアスポテンシャルを適用したりすることができます。これらのオプションは、高速探索型ランダムツリーアルゴリズム[3]やグラフニューラルネットワークベースの経路選択アルゴリズム[4]などのアルゴリズムを組み合わせて特定用途のSC-AFIR探索を加速するために使用されています。さらに、遷移金属触媒の仮想配位子の開発・応用にも利用されています[5]。
[3] A. Nakao, Y. Harabuchi, S. Maeda, K. Tsuda, Leveraging algorithmic search in quantum chemical reaction path finding., Phys. Chem. Chem. Phys., 2022, 24, 10305-10310.
[4] A. Nakao, Y. Harabuchi, S. Maeda, K. Tsuda, Exploring the quantum chemical energy landscape with GNN-guided artificial force., J. Chem. Theory Comput., 2023, 19, 713-717.
[5] W. Matsuoka, Y. Harabuchi, S. Maeda, Virtual-ligand-assisted screening strategy to discover enabling ligands for transition metal catalysis., ACS Catal., 2022, 12, 3752-3766.
年間ライセンスを購入いただけます。詳しくはこちらのフォームからお問い合わせください。お問い合わせの際は、フリーメールアドレスではなく、ご所属の組織のメールアドレスをご記入ください。
動作環境1 | - ハードウェア - 下記が動作する x86_64 計算機 - OS - Red Hat Enterprise Linux 7.x または CentOS 7.x Red Hat Enterprise Linux 8.x または CentOS 8.x または AlmaLinux 8.x (Red Hat Enterprise Linux 6.x および CentOS 6.x は非対応) - 必須ソフトウェア - Gaussian16 または Gaussian09 ※1 - オプションソフトウェア - Gaussian03、Molpro、GAMESS、ORCA、Turbomole、SIESTA ※2※3 |
同梱物 | ソフトウェア本体 ※4 |
※1 本製品に含まれておりませんので予め御用意ください。
※2 本製品に含まれておりませんのでお使いになりたい場合には予め御用意ください。
※3 これら以外のab-initio programについても組み込み可能とする汎用インタフェースがGRRM23には搭載されています。
※4 GRRM23の最新のユーザーマニュアルにつきましてはAFIRサイトのManualページをご覧ください。
GRRM23のセットアップにおけるトラブルと、GRRM23の起動におけるトラブルにつきましては、弊社にてサポート致します(標準サポート、無償)。
GRRM23の使い方や結果の解釈につきましては、AFIRサイトのForumにユーザー様ご自身でお問い合わせいただく形となります(GRRM23ライセンスご購入後、AFIRサイトへのユーザー登録をお願いしております)。予めご了承ください。
GRRM23の最新のユーザーマニュアルにつきましてはAFIRサイトのManualページをご覧ください。
GRRMプログラムの機能比較表はこちらです(PDF)。
GRRMは量子化学探索研究所の登録商標です。
GRRM is a registered trademark of Institute for Quantum Chemical Exploration .
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)