HPCシステムズ株式会社、株式会社Preferred Computational Chemistry(以下PFCC)およびENEOS株式会社(以下ENEOS)がGRRM20 with Matlantisを共同開発しました。GRRM20 with Matlantisは、Matlantis™上でGRRMを用いることにより、革新的な計算速度で化学反応経路の自動探索を実現します。
▸ GRRM20 with Matlantis の PoC (Proof of Concept) を受け付けています!
▸ GRRM20 with Matlantis の適用事例を公開いたしました!
▸ GRRM20 with Matlantis をリリースいたしました!
GRRMは、原子・分子レベルのさまざまな化学反応に関して、網羅的な反応経路探索や複雑な反応経路ネットワークの構築といった、多様な目的で力を発揮する計算プログラムです。GRRMでは、多くの場合、外部の量子化学計算ソフトウェアを呼び出すことで反応経路を探索しますが、一般的に量子化学計算は高い精度で計算するため計算時間が長いという課題を抱えています。
一方で、PFCCが提供するMatlantisは、深層学習モデルを用いることで、量子化学計算に匹敵する精度の結果を従来の数万倍高速に得られる原子レベルシミュレータです。また、未知の材料を含む分子や結晶など、任意の原子の組み合わせをシミュレーションできる汎用性も有しています。そこで、 GRRMとMatlantisを掛け合わせ、ENEOSの化学技術に関するドメイン知識を活用し、汎用原子レベルシミュレータを用いて、従来よりも大規模な分子や結晶系に対して、GRRMの網羅的な反応経路探索を実現する「GRRM20 with Matlantis」を開発しました。「GRRM20 with Matlantis」は次世代の研究開発の一翼を担うと期待されます。
GRRMは、HPCシステムズが提供する、量子化学の予言性を利用して未知の化学反応経路を自動的に探索する、世界初の計算プログラムです。大野 公一教授、前田 理教授らによって非調和下方歪み追跡法(ADDF法)の開発が開始され、GRRMに実装されているAFIR法は、北海道大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(世界トップレベル研究拠点プログラム:WPI-ICReDD)の研究グループらで現在も進化を続けて、新しい化学反応の合理的設計と高速開発を目指す先端研究開発が展開されています。
MatlantisはPFCCが展開するクラウドベースの汎用原子レベルシミュレータです。Matlantis上で提供する汎用原子レベルシミュレータは、量子化学計算で生成した3,300万点以上の構造データを最新のAI技術を用いて訓練されており、72元素に対応、量子化学計算に迫る精度かつ量子化学計算対比で最大2,000万倍高速という特徴を有しています。Matlantisは大規模かつ高速な材料探索シミュレーションを可能にし、未開拓な機能性物質の中から革新的な新素材を早期に発見することを支援します。
GRRM20 with Matlantis の適用事例を次のリンク先ページにてご覧いただけます。
計算名称 | 概要 |
ADDF法による反応経路自動探索(ADDF) | 安定構造からポテンシャル面を登って反応経路を探索します。![]() ADDF法による反応経路自動探索については以下の文献を参照ください。 K. Ohno, S. Maeda, Chem. Phys. Lett. 2004, 384, 277. S. Maeda, K. Ohno, J. Phys. Chem. A 2005, 109, 5742. K. Ohno, S. Maeda, J. Phys. Chem. A 2006, 110, 8933. |
AFIR法による反応経路自動探索(MC-AFIR, SC-AFIR, DS-AFIR) | 原子間に人工力を掛けて反応を誘起させて反応経路を探索します。![]() AFIR法による反応経路自動探索については AFIR-web および以下の文献を参照ください。 Chem. Rec., 2016, 16, 2232. WIREs Comput. Mol. Sci., 2021, 11, e1538. その他、AFIR法を含むGRRM17の搭載機能については次の文献を参照ください。 J. Comput. Chem., 2018, 39, 233. |
AFIR経路の改良(LUP, RePath) | AFIR法で得られた反応経路を最適化します。 |
基準振動解析(FREQ) | 基準振動の振動数と基準座標を得ます。 |
安定構造最適化(MIN) | 高精度に安定構造を最適化します。 |
遷移構造最適化(SADDLE) | 高精度に遷移構造を最適化します。 |
固有反応座標追跡(IRC) | 高精度にIRCを追跡します。 |
反応中間体解析(SCW) | 2座標間の中間体(安定構造)を高精度に探索します。 |
2点間遷移状態探索(2PSHS) | 2座標間の遷移構造を高精度に探索します。 |
自動再エネルギー計算(ReEnergy) | 計算レベルを変えて既存構造(EQs,TSs)の1点計算を一括で行います。 |
自動再構造最適化(ReStruct) | 計算レベルを変えて既存構造(EQs,TSs)の構造最適化を一括で行います。 |
↑この各行がGRRMの単一プロセスとして実行される処理となります。
GRRMプログラムの機能比較表はこちらです(PDF)。
GRRM20 with Matlantisをご利用いただくには、GRRM20 with Matlantis本体 およびGRRM20 with Matlantis連携パッケージの年間ライセンスが必要です。GRRM20 with Matlantis本体 はHPCシステムズから、GRRM20 with Matlantis連携パッケージはPFCCから提供します。また、これらにはMatlantis自体のライセンスは含まれていません。そのため、ユーザー組織は別途Matlantisの契約締結が必要です。
GRRM20 with Matlantis本体の年間ライセンスを購入いただけます。詳しくは 弊社お問い合わせフォーム よりお問い合わせください。お問い合わせの際は、フリーメールアドレスではなく、ご所属の組織のメールアドレスをご記入ください。
動作環境 | – システム – Matlantis ※1- 必須ソフトウェア – GRRM20 with Matlantis連携パッケージ ※2 |
同梱物 | GRRM20 with Matlantis本体 |
※1 GRRM20 with Matlantis本体には、Matlantisのライセンスは含まれていません。そのため、ユーザー組織は別途Matlantisの契約締結が必要です。
※2 GRRM20 with Matlantis連携パッケージはPFCCから提供します。
GRRM20の引用につきましては、AFIR-web のCitation of the program and related papers ページを参照ください。
(※アクセスにはAFIR-webへのメンバー登録が必要です。GRRM20 with Matlantis納品の際に登録手順をご案内いたします。)
Matlantisの引用につきましては、こちらのページを参照ください。
GRRMは量子化学探索研究所の登録商標です。
GRRM is a registered trademark of Institute for Quantum Chemical Exploration .
Matlantisは株式会社Preferred Computational Chemistryの登録商標です。
Matlantis is a registered trademark of Preferred Computational Chemistry, Inc.
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