GRRM20

GRRMは、HPCシステムズが提供する、量子化学の予言性を利用して未知の化学反応経路を自動的に探索する、世界初の計算プログラムです。大野 公一教授、前田 理教授らによって非調和下方歪み追跡法(ADDF法)の開発が開始され、GRRMに実装されているAFIR法は、北海道大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(世界トップレベル研究拠点プログラム:WPI-ICReDD)の研究グループらで現在も進化を続けて、新しい化学反応の合理的設計と高速開発を目指す先端研究開発が展開されています。

GRRMは,局所的,半大域的,または大域的な反応経路探索を行う計算プログラムであり,従来の個別の反応経路計算から,網羅的な反応経路探索,複雑な反応経路ネットワークの構築まで,様々な目的において非常に有用です.また,これまでに,有機反応,有機金属触媒反応,微粒子触媒,ラジカル反応,電子励起状態を含む光反応,周期境界条件による結晶相転移,QM/MM-ONIOM法による酵素触媒反応など,様々な反応系に対して応用実績があります.GRRMには,Gaussian03/09/16,molpro,GAMESS,ORCA,TURBOMOLE,SIESTAとのインターフェイスが内蔵されており,簡単なコードを用意することで任意の電子構造計算コードと組み合わせることもできます.

更新情報

2022年2月25日

  • ▸ 2022年1月11日版にてRePATHのノード間トラフィックを減らす機能を導入した際に生じた不具合を修正しました。

2022年1月11日

  • 次の変更を行いました。
  • ▸ この改訂版は、ノード間のデータのやり取りを減らすよう最適化されています。そのため、超並列計算の速度が改善しています。特に、超並列したRePATH計算において、ノード間のデータのやり取りによって計算が停滞する障害が取り除かれました。
  • ▸ この改訂版では、RePATH計算において経路が長い順にLUP計算を実行します。これにより、超並列したRePATH計算終盤において観測されていた少数の経路のみに対する計算が長時間継続してしまう問題が取り除かれました。
  • ▸ この改訂版では、DontKeepGauCHKを用いた際にインプットファイル名によって起こるバグが修正されました。
  • ▸ この改訂版では、SC = CheckReflectがデフォルトでオンになっています。オフにしたい場合には、SC = DontCheckReflectを付けてください。

2021年12月28日

  • 動作環境にスーパーコンピュータ「富岳」計算ノードを追加しました。

2021年12月24日

概要

数々の新機能が搭載された商用版GRRM

新機能については次の文献を参照ください:
S. Maeda, Y. Harabuchi, Exploring paths of chemical transformations in molecular and periodic systems: An approach utilizing force., WIREs Comput. Mol. Sci., 2021, 11, e1538 (23 pages). https://doi.org/10.1002/wcms.1538

反応のすべてがわかります。

たった1つの分子をインプットするだけで、そこから生成されうるすべての生成物やそれを生成しうるすべての反応物、そしてそれらすべての反応経路を自動的に探索できる、それがGRRM。触媒設計、材料スクリーニングなどさまざまな分野で活用できます。

インプット アウトプット
安定構造の数
(反応物・生成物・中間体)
素反応の数
acetic acid
CH3COOH
121848
propionic acid
C3H2O2
2071,114
methyl nitrate
CH3NO3
6764,835
lactaldehyde
C3H6O2
1,36610,103

特徴

RCMC法を用いた速度論シミュレーションと速度論ナビゲーション

GRRM20では,複雑反応経路ネットワークに適用可能な,速度定数行列収縮法(RCMC)と呼ばれる速度論解析手法が利用できます.RCMCは,(1)SC-AFIR探索の速度論ナビゲーションとして,または,(2)SC-AFIR探索で得られた反応経路ネットワークの解析法として,利用されます.速度論ナビゲーションでは,与えられた系を,与えられた実験条件(反応温度,反応時間)の下で,オン・ザ・フライで速度論シミュレーションすることができます.後者では,反応経路ネットワークの粗視化,反応物と生成物の間の全反応速度定数の計算,反応経路ネットワークからの速度論的に最も有利な経路の抽出などが可能です.

周期境界条件

GRRM20では,周期境界条件下での構造最適化,反応経路計算,および,反応経路自動探索を行うことができます.その際,並進ベクトルをアクティブにすると,並進ベクトルと原子位置の両方が同時に最適化されます.また,並進ベクトルの全部または一部を固定して,2Dまたは1Dのスラブモデルでの反応経路自動探索を実行することもできます.

巨大系(>500原子)用オプティマイザ

GRRM20には,多数の構造変数を含む巨大系のための構造最適化アルゴリズムが用意されています.このアルゴリズムは,最適化中に得られた勾配ベクトルで展開された低次元のPESを用いて,全次元での構造最適化を実行します.その性能は,半経験的な量子化学計算法と組み合わせて,最大1000原子を含む系で確認されています.

超並列化

GRRM20では,SC-AFIR計算の並列化効率が大幅に改善されました.開発者グループでは,100〜500の経路の計算を同時に実行する様々なジョブを行ってきました.これらのジョブでは,各経路計算に複数のコアを使用し,合計で1000〜2000のコアを使用しています.MPI並列で動作するプログラムとなっており、クラスタ計算機や共用計算機でのジョブスケジューラでプロセス管理をしやすいつくりになっています。

高速化

GRRM開発者の最先端の実用実績に裏付けられた、数々の細かい最適化・高速化が施されています。

AFIRの探索の手法を外部から変更するインターフェース

簡単な外部スクリプトによって情報学的手法や経験則などを探索手順に反映させるオプションが利用でき、ユーザーが自動探索高速化の手法開発に参加することも可能です。

さまざまな研究開発に利用できます

例えば薬剤の合成。目的の薬剤分子を合成しうるすべての反応経路を明らかにすることで、律速反応への触媒設計や副産物の抑制に活用できます。

例えば燃焼反応。数千、数万の素反応が高精度な量子化学計算に基づいて得られるので、自動車やロケットのエンジン設計CAEにおいて要求される反応速度の精度に応えることができます。

価格・仕様・保守

価格

年間ライセンスを購入いただけます。詳しくはこちらのフォームからお問い合わせください。お問い合わせの際は、フリーメールアドレスではなく、ご所属の組織のメールアドレスをご記入ください。

仕様

  
動作環境1- ハードウェア -
下記が動作する x86_64 計算機

- OS -
Red Hat Enterprise Linux 7.x または CentOS 7.x
Red Hat Enterprise Linux 8.x または CentOS 8.x または AlmaLinux 8.x
(Red Hat Enterprise Linux 6.x および CentOS 6.x は非対応)

- 必須ソフトウェア -
Gaussian16 または Gaussian09 ※1

- オプションソフトウェア -
Gaussian03、Molpro、GAMESS、ORCA、Turbomole、SIESTA ※2※3
動作環境2- ハードウェア -
スーパーコンピュータ「富岳」計算ノード

- 必須ソフトウェア -
Gaussian16 ※4
同梱物ソフトウェア本体 ※5

※1 本製品に含まれておりませんので予め御用意ください。
※2 本製品に含まれておりませんのでお使いになりたい場合には予め御用意ください。
※3 これら以外のab-initio programについても組み込み可能とする汎用インタフェースがGRRM20には搭載されています。
※4 スーパーコンピュータ「富岳」でのGRRM20およびGaussian16については、弊社サイエンスクラウドスタンダードプランのFugakuタイプにてご利用可能です。
※5 GRRM20の最新のユーザーマニュアルにつきましてはAFIRサイトのManualページをご覧ください。

保守

GRRM20のセットアップにおけるトラブルと、GRRM20の起動におけるトラブルにつきましては、弊社にてサポート致します(標準サポート、無償)。

GRRM20の使い方や結果の解釈につきましては、AFIRサイトのForumにユーザー様ご自身でお問い合わせいただく形となります(GRRM20ライセンスご購入の際、AFIRサイトへのユーザー登録をお願いしております)。予めご了承ください。

GRRM20の最新のユーザーマニュアルにつきましてはAFIRサイトのManualページをご覧ください。

GRRMプログラム機能比較表

GRRMプログラムの機能比較表はこちらです(PDF)。

GRRMは量子化学探索研究所の登録商標です。
GRRM is a registered trademark of Institute for Quantum Chemical Exploration .

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