この計算タイプキーワードを指定すると,ポテンシャルエネルギー面(PES) の探索を行います。厳格な(rigid)PES探索は,選択した内部座標を含む長方グリッド上でシングルポイント(一点)エネルギー計算を行うことで実行されます。その際の分子構造はZ-matrix座標で定義しなければなりません。各変数に対するステップ数とステップ幅は,変数定義行で各変数の初期値の後に指定します。例えば次のように指定します:
R1 1.41 3 0.05
A1 104.5 2 1.0
A2 120.0
このインプットでは,変数R1は0.05刻みで3ステップ取ります。したがって,他の変数と組み合わされるR1の値は4つ(1.41, 1.46, 1.51, 1.56) となります。同様にA1に対しては3ステップとられ,A2は2.2に固定されたままとなります。合計で12点のエネルギー計算が行われます。変数のステップ回数はいくつでもかまいません。ステップサイズの単位はUnitsキーワードでコントロールされます。デフォルトではオングストロームまたは度です。
柔軟な(relaxed)PES探索(各点で構造最適化を行います)を実行するにはOptキーワードで指定します。
探索する変数によって対称性が計算中に崩れてしまう場合には,ジョブのルートセクションにNoSymmを入れなければなりません。そうしないとジョブはエラーで失敗してしまうでしょう。
PES探索計算を再スタートします。終了していないScan計算は,オリジナルのジョブのルートセクションをただ繰り返すことによりチェックポイントファイルから再スタートさせることができます。
PES探索を行うと,その結果は以下のように表形式でまとめられて出力されます。
Scan completed.
Summary of the potential surface scan:
N R A HF
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1 0.9600 104.5000 -38.39041
2 1.0100 104.5000 -38.41306
3 1.0600 104.5000 -38.42336
4 0.9600 105.5000 -38.39172
5 1.0100 105.5000 -38.41430
6 1.0600 105.5000 -38.42453
7 0.9600 106.5000 -38.39296
8 1.0100 106.5000 -38.41547
9 1.0600 106.5000 -38.42564
10 0.9600 107.5000 -38.39412
11 1.0100 107.5000 -38.41657
12 1.0600 107.5000 -38.42668
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Exploring Chemistry with Electronic Structure Methods [308] 《訳注:日本語版『電子構造論による化学の探究』》の8章にポテンシャルエネルギー面探索について詳細な説明があります。
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