これまで反応経路を求めるには経験と勘が必要とされ、特に肝となる遷移状態(TS)構造の最適化には大変な苦労を強いられることが常でした。また、せっかくTSが求まっても、振動解析してみると反応とは全然関係ないTSだったり、TSからIRC計算が上手く走らず、結局反応経路が求まらないというケースもよくありました。Reaction plus Pro/Expressは「研究者のセンス」と「シミュレーション技術」をうまく活用したソフトウェアです。反応物と生成物と指定するだけで自動的に反応経路が求まります。
そんなReaction plus Pro/Expressに、バージョン2が登場。ONIOM法を用いた酵素反応、不均一触媒反応、開殻系の反応など、従来のReaction plusではできなかった、さまざまな反応系の計算ができるようになりました。
ScienceCloudおよびChemParkでもReaction plus Pro/Expressがご利用になれます。
反応の種類 | 反応例 | Pro | Ex | 反応の特徴 |
---|---|---|---|---|
求核付加反応 | Michael付加反応 | ○ | ○ | 位置選択性 |
環化付加反応 | Diels-Alder反応 | ○ | ○ | 立体選択性 |
阪大井川先生ら・ベンザインとアジドの[3+2]環化付加反応 | ○ | ○ | 位置選択性 | |
都立大平林先生ら・Sn触媒によるアリルスルフィド環化付加反応 | ○ | ○ | 典型金属・カルコゲン | |
挿入反応 | 京大石田先生ら・紫外線照射によるCO2固定化反応 | ○ | ○ | 環化付加反応 |
京大辻先生ら・Cu触媒によるCO2固定化反応 | ○ | △ | 遷移金属 | |
求電子置換反応 | Kolbe-Schmitt反応 | ○ | ○ | 位置選択性 |
転位反応 | Beckmann転位反応 | ○ | ○ | 置換基の転位能差 |
カップリング反応 | Mizoroki-Heck反応 | ○ | ○ | 遷移金属・cis-trans選択性 |
Migita-Kosugi-Stille反応におけるトランスメタル化 | ○ | ○ | 遷移金属・トランスメタル化 | |
Gorelsky et al.・Pd触媒クロスカップリング反応 | ○ | ○ | 遷移金属・位置選択性 | |
メタセシス反応 | Wittig反応 | ○ | ○ | リンイリド |
開裂・分解反応 | Frey et al.・一置換シクロブテン開裂反応 | ○ | ○ | cis-trans選択性 |
早大杉村様ら・質量分析におけるp-ベンゾキノン+の断片化過程 | ○ | ○ | ラジカルカチオン | |
ラジカル反応 | 広島大安倍先生ら・ジラジカル分子のホモリティック閉環反応 | ○ | × | 開殻一重項状態・開殻→閉殻反応 |
典型元素反応 | 東大内山先生ら・ホウ素亜鉛アート錯体の発生 | ○ | × | ホウ素-ホウ素結合開裂・典型金属 |
東北大岩本先生ら・Siクラスター異性化反応 | ○ | × | 異性化反応・典型元素クラスター | |
形式的分子内反応 | 理研イリエシュ先生ら・亜鉛触媒によるインドール合成反応 | ○ | × | 典型金属 |
分子研椴山先生ら・エン-アルジミンの形式的転位反応 | ○ | - | 複雑な多段階反応 | |
不均一反応 | 酸化亜鉛表面上のギ酸分解過程 | ○ | × | 金属酸化物 |
その他の反応 | 名大忍久保先生ら・Pdノルコロールの「お椀」反転 | ○ | ○ | お椀型p分子の反転 |
京大村田先生ら・Ar原子のフラーレンへの内包過程 | ○ | × | 原子内包フラーレン・分子手術 |
さまざまな反応系に対応すべく、機能を強化しました。
GaussianのQST2/QST3計算のフォーマットがそのまま利用できます。
%nprocshared=16
%mem=16GB
#p B3LYP/6-31G(d) react=(ngeom=3,nbeads=16,fitaxis)
Wittig reaction
0 1
C -2.07681900 -0.18930700 -0.00017300
O -1.94044900 -1.39974600 -0.00140400
C 1.62195100 1.62306900 0.00073100
H 1.25708200 2.03884800 0.93302500
:
作成されるインプットファイルの中身。
赤字部分がReaction plus Proのキーワード。
AMBERやGROMACSのトポロジー・座標ファイルをGaussian形式のファイルに変換するONIOMインプット作成支援ツール makeoniom が付属します。
$ makeoniom my.prmtop my.inpcrd "124-140" > my.gjf
また、PDBやMol2ファイルによるインプットの指定もできるようになりました。
#p ONIOM(B3LYP/6-31G(d):Amber=hardfirst) Geom=Connectivity NoSymm
react=(nbeads=15)
title
0 1 -1 2 -1 2
N-N3-0.2943(PDBName=N,ResName=GLY,ResNum=1) 0 16.756 15.545 13.903 L
H-H-0.1642(PDBName=H1,ResName=GLY,ResNum=1) 0 17.174 15.125 14.697 L
:
$react
mol-1.pdb
mol-2.pdb
mol-3.pdb
$end
PDBファイルによる初期構造の指定が可能。
有機化学反応を例題にしたチュートリアルやONIOM計算のチュートリアルが付属します。Reaction plusの使い方だけでなく、Gaussian/GaussViewの関連トピックも紹介しています。
また、Reaction plusやGaussianなどの「テクニックが知りたい」「エラーを解決したい」など、実際に使っていて出会う様々な問題には、弊社スタッフが有償にて対応致します(メールでの質問対応のほか、出張による対面での対応も可能です)。詳しくは、こちらをご覧下さい。
参考:
製品名 | Reaction plus Pro 2 for Linux / Windows | Reaction plus Express 2 for Linux / Windows |
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付属プログラム | 反応経路最適化プログラム ONIOM計算支援ツール ※1 | 反応経路最適化プログラム |
最大並列数 | 1ノード搭載コア数 ※2 | |
同梱物 | ソフトウェア本体、マニュアル、チュートリアル | |
動作環境(OS) ※3 | Red Hat Enterprise Linux 6 / 7 / 8, CentOS 6 / 7 / 8 Windows 10 / 8.1 / 7, Windows Server 2012 R2 / 2012 |
|
別途必要ソフトウェア ※3 | Gaussian 16 Gaussian 09 Rev. D. 01以降 | なし |
製品名 | Reaction plus Pro 2 (2018年6月1日 発売) | Reaction plus Pro (2016年1月1日 発売)) | Reaction plus Express 2 (2018年6月1日 発売) | Reaction plus Express (2017年5月1日 発売) |
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インプット作成方法 ※1 ※2 | GaussView テキスト編集 ONIOM計算支援ツール | GaussView テキスト編集 | GaussView テキスト編集 | GaussView テキスト編集 |
中間構造の指定 | 何個でも指定可能 | 何個でも指定可能 | 何個でも指定可能 | 何個でも指定可能 |
初期構造読み込み対応ファイル形式 | xyz pdb mol2 | xyz | xyz pdb mol2 | xyz |
初期ビーズ構造の自動調整 | ○ | ○ (常に調整) | ○ | ○ (常に調整) |
座標軸の自動修正 | ○ | ○ | ○ | ○ |
量子化学計算 | ○ | ○ | × | × |
PM6計算 | ○ | ○ | ○ (高速) | ○ (高速) |
開殻系の計算 | ○ | ○ | ○ | × |
ONIOM計算 | ○ | × | × | × |
一部の原子座標を固定 | ○ | × | ○ | × |
chkファイルから 初期軌道の読み込み | ○ | × | × | × |
アニメーション用出力ファイル形式 ※3 | Gaussian log xyz pdb | Gaussian log xyz | Gaussian log xyz pdb | Gaussian log xyz |
別途必要ソフトウェア | Gaussian 16/09 | Gaussian 09 | なし | なし |
Reaction plus Pro 2 | Reaction plus Express 2 | |
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新規ライセンス | 200万円 (アカデミック:80万円) | 60万円 (アカデミック:30万円 ※1) |
Ver.1からのアップグレード ※2 | 50万円 (アカデミック:30万円) | 無償 |
Reaction plus 使い方サポート | ||
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メールサポート | 出張サポート | |
内容 | 質問メール対応(ひと月あたり4回) + 使い方セミナー受講(初回のみ) ※1 | 対面での質問対応 ※1 |
価格 | 80万円/年 | 25万円/日 (10時~18時) |
OS | Gaussian | |
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○ | CentOS 6.5 | Gaussian 09 Rev. D01 |
○ | CentOS 6.7 | Gaussian 09 Rev. E01 |
○ | CentOS 7.4 | Gaussian 16 Rev. B01 |
○ | CentOS 8.3 | Gaussian 16 Rev. C01 |
OS | Gaussian | |
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○ | Windows 10 | Gaussian 09 Rev. E01 |
○ | Windows 10 | Gaussian 16 Rev. B01 |
※ 本ソフトウェアの内容は予告なく変更することがあります。あらかじめご了承ください。
※ 記載された各社名・各製品名・各ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。
The molecular geometries for the transition states were first estimated by Reaction plus software package [1], based on the nudged elastic band (NEB) method [2], and were subsequently re-optimized using AAA software package.
[1] Software to optimize reaction paths along the user’s expected ones, HPC Systems Inc., http://www.hpc.co.jp/chem/react2.html (written in Japanese)
[2] H. Jónsson, G. Mills, K. W. Jacobsen, Nudged Elastic Band Method for Finding Minimum Energy Paths of Transitions, in Classical and Quantum Dynamics in Condensed Phase Simulations, Ed. B. J. Berne, G. Ciccotti and D. F. Coker, 385 (World Scientific, 1998); G. Henkelman and H. Jónsson, Improved tangent estimate in the nudged elastic band method for finding minimum energy paths and saddle points, J. Chem. Phys. 113, 9978 (2000)
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)