1.溶媒効果が影響するアセト酢酸エチルの異性体安定性
2.典型的分子の赤外振動スペクトルの形状
3.太陽電池材料の設計に重要なスペクトル幅
4.溶媒の違いによるスペクトルシフト
5.L-プロリンの円二色性(CD)スペクトル
6.DPVBの発光スペクトル
7.ペンタヘリセンの吸収スペクトル
8.1日で480パターンの電解質材料が評価可能
アセト酢酸エチルにはケト体とエノール体の2つの構造がありますが、その存在比は溶媒の種類によって大きく異なります。Gaussianを用いて連続誘電体モデル(PCM)による計算を行ったところ、2種類の溶媒で正しい結果が得られませんでした。
一方、溶質分子の周囲に溶媒分子を配置して行うQM/MM計算では、シクロヘキサン溶媒でエノール体の方が安定、アセトン溶媒や水溶媒でケト体の方が安定、と観測結果の傾向が正しく再現されます。
このような計算は、これまで大変な手間と専門技術を必要としましたが、QMMM plusを利用することで誰でも簡便に実施することができます。
( Intel Xeon E5-2690 2.90GHz x2(16コア)搭載の計算機で 4時間 )
実験によると、N-H伸縮が3300~3500 cm-1に、C=O伸縮、C-N伸縮、NH2変角が1400~1700 cm-1にあることがわかっています。QM/MM計算を使用すればピーク位置はもちろん、スペクトルの幅の形状まで再現されます。
[1] J. Grdadolnik, Y. Maréchal, J. Mol. Struct. 615, 177 (2002)
計算されたCDスペクトルは水溶媒、メタノール溶媒、エタノール溶媒ではよく似た形状となるのに対し、アセトニトリル溶媒では他と大きく異なる形状のスペクトルが得られました。この結果は実際の実験結果と一いたしています。
原因を調べるためにL-プロリン周囲の溶媒構造を見てみると、水溶媒、メタノール溶媒、エタノール溶媒では水素結合した溶媒和殻を形成するのに対し、アセトニトリル溶媒では溶媒の影響はそれほど強くないことがわかりました。
QM/MM計算では、この実験結果をよく再現します。特に、クロロホルム溶媒環境においてスペクトルピークが際立って大きく長波長シフトする様子も再現されています。
溶媒和構造の分析によると、この長波長シフトはDPVBの酸素原子とクロロホルムの水素原子との強い水素結合が原因であると示唆されます。
[1] 宮沢哲, 川西祐次, 第25回基礎有機化学討論会, 東北大学川内北キャンパス(2014)
拡散係数を求めることが目的であれば、計算時間は1材料=約30分※。計算機10台を使用することで1日に480材料の評価が可能となり、実験を行う前のスクリーニングへ活用することもできます。( ※ Intel Xeon E5-2690 2.90GHz x2(16コア)搭載の計算機を使用した場合。)
[1] 早水紀久子, http://www.ribm.co.jp/RDsupport/nmr_document/hayamizu_120910.pdf
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)