Pseudo

Description

このキーワードを指定すると, モデルポテンシャルを内殻電子の代わりとして用います。このキーワードではCardsオプションが非常によく使われます。Gaussianは新しい有効内殻ポテンシャル(ECP)インプットフォーマットをサポートしています(ExtraBasisの指定方法に似ています;詳細は後述)。擬ポテンシャル(pseudopotential)を読み込む場合には,Gaussianに組み込みの擬ポテンシャル(CEP, CHF,LANL1, LANL2, LP-31, SDD, SHC)と同じ名称を用いないようにしてください。

ONIOMを用いている場合には,PseudoキーワードはONIOMの全てのレイヤーに適用されます。もし,あるONIOMレイヤーのみにECPを読み込みたいのであれば,PseudoでなくGenECPを用いてください。

Options

Read

入力ストリームから擬ポテンシャルを読み込みます。入力方法は次のサブセクションで説明します。CardsReadと同義です。

Old

旧形式(Gaussian 92以前のバージョンで用いられていたもの)による擬ポテンシャルを読み込みます。

CHF

Coreless Hartree-Fock ポテンシャルを用います。このオプションは,通常LP-31G基底系と一緒に用いられます。

SHC

SHCポテンシャルを用います。

LANL1

LANL1ポテンシャルを用います。

LANL2

LANL2ポテンシャルを用います。

完全ECPインプットフォーマット

有効内殻ポテンシャル(ECP)の演算子は多項式動径関数(polynomial radial function),ガウス動径関数(Gaussian radial function),角運動量モーメント射影演算子の積和になっています。したがって,ECPインプットの指定には,原子中心ごとに用いるポテンシャルの選択と,次の3組の値が必要となります:

(係数(coefficient),Rの次数(power of R),指数(exponent))

これは,ECPのポテンシャルごと,項ごと,角運動量ごとに指定します。最初のいくつかの角運動量成分は異なる項を持っているので,ポテンシャルは次のようにして展開されます:(1)一般的なケースの項,通常はdやf,それより高次の射影,(2)各々の特別な角運動量に対する追加項。したがって,例えばLP-31Gポテンシャルでは,特別なs,p射影項を含んでおり,そのインプットは一般(dやより高次)項,s-d項(つまり,s成分を形成するために一般項に追加されるもの),p-d項から構成されます。

ECPインプットは全てフリーフォーマットです。各ブロックは,(分子指定での)原子中心番号または原子記号から成る行から始まります。この行ではECPを適用する原子または元素タイプを指定します(これは一般基底関数系の入力と一緒です。Genキーワードを参照してください)。リストの終わりを示すために,その行の最後に0を入れます。

原子中心または原子に対する擬ポテンシャルは次のようになります:

Name,Max,ICore
ポテンシャルの名称,ポテンシャルの最大角運動量(つまり,s, pの射影があるなら2,s, p, d射影があるなら3),ポテンシャルで置き換える内殻電子の数。もしNameがそれより前で指定されたポテンシャルと同じ名称であれば,それを再利用します。その場合には終端行(下記参照)以外のインプットは必要ありません。

ポテンシャルの各成分ごと(I=1 から Max)に,項が読み込まれます。項は以下のようなグループで構成されます。

Title
そのブロックの説明。それ以外には使われません。

NTerm

そのブロックの項の数。

NPower,Expon,Coef
NTerm項に対するRの次数(Power of R),指数(exponent),係数(coefficient)。NPowerにはR2Jacobian factorが含まれます。

非標準のECP(とそれと共に用いる基底関数)のインプットファイルの例は下に示してあります。

簡略ECPインプットフォーマット

GaussianではECPインプットに柔軟性を持たせてあり,インプット内に組み込みの基底関数名を含めることも可能です。それには,ECPを定義する部分を,組み込み基底関数を示す標準キーワードから成る行で置き換えます。このようにすると,指定した原子タイプに対応するECP(指定した基底関数を含む)がその原子に用いられます(例を参照してください)。

STUTTGART/DRESDEN ECP インプット用キーワード

Stuttgart/Dresden ECPを用いる際,Pseudoインプットのキーワードは ECPXYnのように指定します。ここで,n は擬ポテンシャルで置き換える内殻電子の数,Xは擬ポテンシャルを生成するのに用いた参照系を示します(1価価電子イオン(single-valence-electron ion)の場合S,中性原子の場合M)。

Yには,参照データの理論レベルを指定します:Hartree-FockならHF,Wood-Boring擬相対論(quasi-relativistic)ならWB,Dirac-Fock相対論ならDFとします。1価または2価の価電子原子なら,SDFがよいでしょう。それ以外では,MWBまたはMDFが推奨されます(小さい原子,もしくは相対論的効果を検討するためであれば,SHFMHF擬ポテンシャルも有用でしょう)。

Availability

エネルギー計算はf関数のみまで。グラジェント(勾配)計算はd関数のみまで。

Related Keywords

Examples

ECPの指定例: 次のインプットファイルでは,過酸化水素のRHF/LP-31G計算を行います。基底関数とECPはインプットファイルから読み込むようにしています:

# HF/Gen Pseudo=Read Test
     
Hydrogen peroxide
     
0,1
O
H,1,R2
O,1,R3,2,A3
H,3,R2,1,A3,2,180.,0
     
R2=0.96
R3=1.48
A3=109.47
     
一般基底関数系を入力(省略)
****
     
O 0           酸素原子に対するECP
OLP 2 2         ECPの名称は"OLP",角運動量はdとそれ以上,内殻の2電子を置き換え
D component       一般項に対する説明 
3            項の数
1 80.0000000  -1.60000000
1 30.0000000  -0.40000000
2  1.0953760  -0.06623814
S-D projection     射影項に対する補正(最低角運動量)
3
0  0.9212952   0.39552179
0 28.6481971   2.51654843
2  9.3033500  17.04478500
P-D           射影項に対する補正(最高角運動量)
2
2 52.3427019  27.97790770
2 30.7220233 -16.49630500     空行。酸素に対するECPブロックの終わりを示す。

基底関数のデータは分子指定の後に入力します。ECPデータの最初の行をこの例のように指定すると,原子番号1と3(つまり酸素原子)には (type 7)で読み込むポテンシャルを用い,原子番号2と4(水素原子)にはポテンシャルを用いないことになります。

ECPデータの2行目から,1番目の原子中心に対して読み込むポテンシャルを入力していきます(このケースでは酸素原子1)。この中心に対するポテンシャルはOLPと名付けられ,また一般項であり,角運動量2(D)とそれ以上に適用され,2電子を置き換えます。その以下の行では,一般項に対するタイトル,一般項の成分の数,各成分のパラメータを入力します。さらにその後に,射影項に対する補正を,最低角運動量から先に入力します。最後に,次のポテンシャルを(このケースでは原子中心3),1行で入力します。前のポテンシャルと同じ名称(このケースでは原子中心1のもの)を指定すると,すでに読み込まれたECPデータを再利用します。最高角運動量と内殻電子の数は,たとえ同じポテンシャルを用いた場合であっても,指定する必要があることに注意してください。

ECP指定に標準基底関数キーワードを用いる例: 次のインプットファイルでは,簡略ECPインプットファイルの使用例を示します。

# Becke3LYP/Gen Pseudo=Read Opt Test
     
HF/6-31G(d) Opt of Cr(CO)6
     
0 1
Cr 0.0  0.0  0.0
以下残りの分子指定(省略)
     
C O 0
6-31G(d)
****
Cr 0
LANL2DZ
****

Cr 0     			クロム原子に対するECP指定
LANL2DZ     		用いるECPはこの基底関数(LANL2DZ)のECP
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