このプロパティキーワードを指定すると,NMR遮蔽テンソルと磁化率をHartree-Fock法,全DFT法,MP2法を用いて予測します[232,234,528]。
NMR遮蔽テンソルはContinuous Set of Gauge Transformations (CSGT) 法[231,233,235]とGauge-Independent Atomic Orbital (GIAO) 法[226,227,228,229,230]で計算することができます。磁化率もGIAO [236,237] やCGSTで計算できます。また,GaussianではIGAIM法[231,233] (CSGT法を少し変えたもの)や Single Origin法を遮蔽テンソルと磁化率の計算で用いることができます。
NMR計算で用いる構造は,十分なレベルの理論で最適化されてないとなりません。 CSGT計算は正確な結果を得るためには大きな基底関数系が必要なことに注意してください。
スピン‐スピンカップリング定数も,NMRジョブでSpinSpinオプションを指定することで計算することができます[238,239,240,241]。
通常のNMRプロパティに加えて, スピン‐スピンカップリング定数も計算します。この計算タイプは振動数計算の約2倍計算コストがかかります。Hartree-Fockと FT法でのみ計算可能です。
CSGT法のみを用いてNMRプロパティを計算します。
GIAO法のみを用いてNMRプロパティを計算します。これはデフォルトです。
原子中心をゲージ原点として用います。
単一ゲージ原点を用います。この方法は 比較目的のために用意されており,一般には推奨されません。
3つ全ての方法SingleOrigin, IGAIM, CSGT でプロパティを計算します。
各原子に対する遮蔽テンソルの固有ベクトルを表示します。
SCF, DFT MP2. Gaussian 03では,NMRはSCRFと組み合わせることもできます。
NMRのデフォルト出力の例を示します。
Magnetic properties (GIAO method)
Magnetic shielding (ppm):
1 C Isotropic = 57.7345 Anisotropy = 194.4092
XX= 48.4143 YX= .0000 ZX= .0000
XY= .0000 YY= -62.5514 ZY= .0000
XZ= .0000 YZ= .0000 ZZ= 187.3406
2 H Isotropic = 23.9397 Anisotropy = 5.2745
XX= 27.3287 YX= .0000 ZX= .0000
XY= .0000 YY= 24.0670 ZY= .0000
XZ= .0000 YZ= .0000 ZZ= 20.4233
この分子系では,値が同じ原子に対して全て等しいので, 最初の2原子より後の出力は省略しています。
スピン‐スピンカップリングの計算は次のように表示されます。
Total nuclear spin-spin coupling K (Hz):
1 2
1 0.000000D+00
2 0.147308D+02 0.000000D+00
Total nuclear spin-spin coupling J (Hz):
1 2
1 0.000000D+00
2 0.432614D+03 0.000000D+00
カップリング定数の様々な成分についてもこの出力ファイルのこの部分より前に表示されます。原子間の等方的カップリングの行列は下三角形式で表示されます。K行列は同位体に依存しない値であり,J行列は計算する際に指定した同位体を考慮に入れた(指定しない場合はデフォルトの同位体)値です。
平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)