Peterssonyらによる方法[168,169,170,171,172,173,174,175,176]を用いて,IRCMax計算を行います。この計算では,遷移構造を入力とし,指定した反応座標に沿って最大エネルギーを求めます。
IRCMaxジョブで同位体を指定する場合には,標準的な方法を用います。
IRCMaxではオプションとしてモデル化学を2つ,コロンで区切って指定する必要があります:RCMax(model2:model1) 。次にルートセクションの例を示します:
# IRCMax(B3LYP/6-31G(d,p):HF/6-31G(d,p))
この計算では, HF/6-31G(d,p)による反応経路上の点で, B3LYP/6-31G(d,p)のエネルギーが最大となるような点を求めます。
Zeroオプションを指定すると,ゼロ曲率変分的遷移状態理論(zero curvature variational transition state theory; ZC-VTST)[169,170,173,174,175,176]に必要となるデータを計算します。
# IRCMax(CBS-4:HF/3-21G(d),Zero,Stepsize=10)
このようなジョブを指定すると, HF/3-21G(d)の遷移状態(TS)から開始し,HF/3-21G(d)でIRCをステップ幅 0.1 amu1/2 bohrでCBS-4のエネルギー(HF/3-21G(d) ZPEは0.91671スケール倍されます)の最大が範囲内になるまで探索します。このCBS-4 TSにおけるHF/3-21G(d) IRC上の点で構造最適化が行われます。出力ファイルには,絶対速度論(absolute rate theory)のZC-VTSTバージョンを用いて反応速度を計算するのに必要となる全てのデータ:TS慣性モーメント,全ての実の振動数(HF/3-21G(d)),トンネリング用に虚の振動数(CBS-4 + ZPEにフィット),TSの全CBS-4 + ZPEエネルギーが出力されます。
IRCMax計算でゼロ点エネルギーを含めます。
正方向の反応経路だけを探索します。
逆方向の反応経路だけを探索します。
探索するベクトルを読み込みます。フォーマットはZ-matrix (FFF(I), I=1,NVAR)で,(8F10.6)で読み込みます。
検討する反応経路上の(両方向探索するときには各方向に対する)点の個数を指定します。デフォルトは6です。
反応経路上のステップサイズを0.01 amu1/2-Bohr単位で指定します。デフォルトは10です。
各点での構造最適化の最大ステップ数を指定します。デフォルトは20です。
反応経路の各最適化点において,経路に対して垂直な運動に関する射影振動数を計算します[496]。このオプションは質量加重内部座標を用いた反応経路にのみ有効です。
質量加重(mass-weighted)内部(Z-matrix)座標上で反応経路を探索します(質量加重カーティシャン座標上での探索も同じことになります)。MWはMassWeightedと同義です。これはデフォルトです。
質量加重せずに,内部(Z-matrix)座標で反応経路を探索します。
質量加重せずに,カーティシャン座標で反応経路を探索します。
反応経路上の各点における最適化で用いる収束判定条件を厳しくします。このオプションは,非常に小さなステップ幅を用いるときには必要なります。
初回に力の定数を計算します。
全ての点で力の定数を計算します。
カーティシャンでの力と力の定数を,入力ストリームで分子指定セクションの後に指定して読み込ませます。このオプションは,内部FCListコマンドを使ってQuantum Chemistry Archiveから取り出した力の定数を読み込むために使います。このインプットのフォーマットは次の通りです:
エネルギー (format D24.16)
カーティシャンでの力 (lines of format 6F12.8)
力の定数 (lines of format 6F12.8)
力の定数は下三角形式((F(J,I),J=1,I),I=1,NAt3)であり,ここでNAt3 はカーティシャン座標の数です。FCCardsとReadIsotopesを両方指定する場合には,原子の質量はこれら3つ(エネルギー,カーティシャングラジェント,カーティシャン力の定数)より前で入力します。
完了しなかったIRC計算を再スタートさせる際に指定します。もしくは,完了はしたがさらに点を指定してIRC計算を再スタートするときに指定します。
この計算のIRC部分(model1)には解析的グラジェントが求められる方法である必要があります。model2には任意の(非混合)計算法,基底関数が使えます。
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