高速多重極展開法(fast multipole method, FMM)を可能ならば利用します。FMMの利用はGaussian 03では自動化されています。NoFMMキーワードを用いると,FMMを使わなくなります。
通常Gaussian 03ではFMM機能は有効になっており,FMMを利用することにより多少のパフォーマンスの向上(およそ1.2倍)が得られます。対称性のない分子では,FMMはHartree-FockおよびDFT法で60原子以上で利用可能になります。高対称性をもつ分子では,FMMはHartree-Fock and hybrid DFTで240原子以上, pure DFTでは360原子以上で利用可能になります。低対称性(ゼロではない)を持つ分子では,中間の閾値が用いられます。系のサイズの2倍あれば,実質的なパフォーマンスの向上(2倍かそれ以上)が見られるでしょう。
もちろん,厳密な結果は場合によって異なるでしょう(コンパクトな系では少なくともスピードアップは示し,最大では線形に伸びます)。しかし,デフォルトの設定では,FMMがパフォーマンスに悪影響を及ぼしそうなときにはまず有効にはならず,また1.5倍以上効率が良い結果が得られるときにFMMを有効にしない可能性は低いでしょう。したがって,ユーザーは非常に特別なケース,例えばほぼ線形なポリペプチドや長いカーボンナノチューブ等を除いては,自分でコントロールする必要はないでしょう。
多重極の最大次数を指定します。デフォルトは25(SCF=Sleazyのときは15)です。
FMMで利用するレベルの数を指定します。デフォルトは分子では8,PBCでは動的に調節されます。
精度レベルを 10-Nにします。Nのデフォルト値はシングルポイント(一点)計算では8,それ以外の計算タイプでは10です。
最大ボックス幅(サイズ)をN/10 Bohrsにします。デフォルトでは,Nは30です。
FMMの全てのnear-fieldを有効にします。
HF,pureおよびhybrid DFTに対するエネルギー,グラジェント(勾配),振動数。このキーワードはONIOMレイヤーで指定されている方法で用いることもできます。
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