CPU仕様・特長

AMD EPYC™の第4世代にあたるデータセンター向けAMD EPYC™ 9004シリーズプロセッサー（開発コード名：Genoa）は、Zen 4マイクロアーキテクチャーを採用したCPUです。
Zen 4マイクロアーキテクチャーは、初めて5nm製造プロセスで製造され、前世代の同一クロックのAMD EPYC™ 7003シリーズプロセッサー（開発コード名：Milan）と比べて、コア単位でIPC（Instruction per cycle；1サイクル当たりの実行命令数）が最大+14%向上しています。Zen 4コアは、性能と効率を組み合わせて、コアあたりの整数演算性能が45％、浮動小数点演算性能が73％向上すると推定されます。AVX-512をフルサポートしており、それには BFloat16命令 と VNNI命令 も含まれています。これらはAIと機械学習アプリケーションの高速化を支援します。

AMD EPYC™ 9004シリーズプロセッサーで採用されているハイブリッド・マルチダイ・アーキテクチャーでは、CPUコア・ダイ(CCD)とI/Oダイを切り離すことで、それぞれのコアに最適なプロセス技術を利用することができています。1つのプロセッサーにつき最大12個の8コアCPUダイを提供し、最大96コアを実現します。多コアでスケールするアプリケーションほど、その威力を感じられることでしょう。この高い集積度により、同じコア数を実現するうえで空間容積を圧縮でき、筐体数を削減することでサーバールーム全体・データセンター全体の省電力化に貢献します。また、AMD Infinity Fabric によるプロセッサー間の接続は、前世代の2倍の速度に強化されています。

他のx86 CPUに比べて50%も多いメモリチャンネル数を搭載していることも特長です。AMD EPYC 9004シリーズは、12本のDDR5-4800メモリチャンネルをサポートしています。2、4、6、8、10、または12本のパスでインターリーブすることにより、メモリ構成の柔軟性を高めることができます。

AMDのオールイン・SoCデザインは、DDR5メモリ・コントローラー、SATAドライバー、PCIe Gen 5のI/O、CXL 1.1 とメモリ拡張、およびオンチップ・セキュリティ・プロセッサーを統合しており、2ソケット・サーバーで最大160レーンの PCIe Gen 5 接続を実現できます。オンチップ・コントローラーを使用してカスタマイズすることで最大64レーンのCXL接続でキャッシュコヒーレントなメモリ・プールを、そして、最大32レーンのSATAインターフェースで大量のローカルディスクにアクセスさせることができます。2ソケット・サーバーでは、帯域幅の影響を受けやすいI/O用に12本の PCIe Gen 3 ボーナスレーンを搭載することが可能です。

AMD EPYC™ 9004シリーズプロセッサーには、3D V-Cache™ テクノロジを採用した製品（開発コード名：Genoa-X）もあります。この3D V-Cache™ テクノロジはCPUコア・ダイ(CCD)の上にL3キャッシュ・ダイを積層しており、L3キャッシュの容量を大幅に増加させながらレイテンシの増加を最小限に抑え、スループットを向上させることで、大幅な性能の向上を実現しています。 3D V-Cache™ テクノロジを採用した AMD EPYC™ プロセッサー はテクニカル・コンピューティングの分野で最高のパフォーマンスを発揮するサーバーを構築するために使用されています。

AMD EPYC™ 9004シリーズプロセッサーには、CPU Coreは論理的にはZen 4そのままながら、物理設計を見直し、面積を縮小したZen 4cコアを採用したプロセッサー（開発コード名：Bergamo）があります。1つのプロセッサーに最大8個の16コアCPUダイを実装し、最大128コア、256スレッドの超多コアのプロセッサーを実現しています。また、CPU CoreごとのL3キャッシュ容量は半分に減少していますが、適切なワークロードではCPU Core数の倍増により、圧倒的な性能向上を実現しています。