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第6章 基底状態分子物性の研究
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振動スペクトル計算の例として、アセトンの入力ファイルを示します。
テキストでの入力ファイルにおいては、赤外スペクトル計算は、OptキーワードとFreqキーワードを併記することで行われます。これらのキーワードは構造最適化の妥当性評価のために行われる振動解析と同じですが、これはFreqキーワードを指定すると自動的に赤外スペクトルも計算されるためです。
また、Freqの代わりにFreq=Ramanを指定すると、赤外スペクトルだけでなく、ラマンスペクトルも計算されます。
なお、本章の例題で取り扱う分子はいずれも小規模であり、分散力の効果は小さいと予想されるため、本章では、以後登場する分子も含めて、EmpiricalDispersion=GD3は指定していません。
また、NMRスペクトルのウィンドウのProtsメニューからShow Shielding in Viewを選択すると、図のように各原子における化学シフト値をわかりやすく表示させることができます。
旋光度計算は、デフォルトでは、光源の波長が無限大であると仮定されます。
光源の波長を具体的に指定したい場合は、Generalタブの「Read Incident Light Freqs」をYesに指定した後、Add. Inp.タブに光源の波長を記載します。
この時、波長の値は数値だけでなく、スペースを空けずに「nm」まで記載して下さい。単位がないと、入射光のエネルギーを原子単位として解釈されてしまいますので、注意して下さい。
最安定構造以外に無視できない構造が存在すると、その構造は各種スペクトルに影響を与えます。すなわち、実際に観測されるスペクトルは最安定構造のスペクトルにそれ以外の構造のスペクトルが少し交じったものとなります。
例えば、図中の構造1と構造2の存在比が80%:20%だとしましょう。すると、そのボルツマン平均スペクトルは、構造1のスペクトル強度に0.8をかけたスペクトルと、構造2のスペクトル強度に0.2をかけたスペクトルの重ね合わせとなります。理想的には、実際に観測されるべきスペクトルの各ピーク強度は、このボルツマン平均スペクトルの各ピーク強度に比例するため、ボルツマン平均スペクトルは実際のスペクトルとほぼ等価なスペクトルと考えることができます。
この章では、各構造でのエネルギーとスペクトルを計算することにより、このようなボルツマン平均スペクトルを作成するための具体的な手順を説明していきます。
先ほどと同様に、コピー内容をExcel内にペーストします。この時、先ほどのアンチ体のデータを上書きしないよう、D列にペーストします。
無事にペーストできたら、Excelのデータタブから区切り位置を選択し、ペースト内容のスペース区切りをExcel区切りに変換します。すると、A列~F列の6列のデータが得られるはずです。
このうち、C列・D列・F列の3列は不要なデータですので、列ごと消去します。

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