新卒の働き方
『自分の向かうところ』

2022年に新卒で入社されたNさんの日々を紹介します。

――大学では何をやられていたのでしょうか?


薬学部の修士課程を修了しました。研究内容は、Structure-Based Drug Design (SBDD)という分野で、構造に基づいた薬の設計、すなわち、タンパク質などの生体分子や薬剤となる化合物の構造と機能の関係を明らかにして、薬の設計につなげようというものです。私はある疾患Aの新規創薬ターゲットとして狙っていたタンパク質X/Y複合体の機能解析に取り組みました。XとYの複合体を実験室で再現し、Xの機能発現に重要な部位にYが結合するから疾患Aが悪化する、というメカニズムを示唆するデータを得たところで修士修了となりました。

――面白いですね。いいところまでいった状態で、就職を決意されたきっかけはありますか?


確かに、標的タンパク質の調製に成功し、疾患のメカニズム解明にかなり近づけたことから、その先も見たいというのはありました。しかし、昨今の学術研究を取り巻く環境は大変厳しく、自分の進む道を冷静に考えると、これまでに培ってきた生物関連の知識や、シミュレーションの知識を幅広い分野に適用していくことが自分には合っていると思い、当社への就職を決意しました。

――日本は、若い研究者へのサポートをもっと手厚くしていくべきというのは感じますね。企業としては優秀な方が来て下さってうれしいですが、大学での研究生活と違いすぎてやる気をそがれてしまうようなことがあるとお互いに不幸です。Nさんは、今現在、どのようなことをされていますか?


しっかりと教育をしてもらっています。学生時代に生体分子のシミュレーションを利用した創薬は勉強しましたが、コンピュータそのものについてはそんなに良く知りませんでした。今は、コンピュータサイエンスの基礎をみっちり勉強中です。Linux関連の資格も徐々に取得しています。また、シミュレーションのための様々なプログラムの構成や特徴を学び、これまではユーザーとして利用していたところから、より根幹に近い部分まで理解できるように頑張っています。

――教育体制は整っていると感じますか? また、先輩や上司の指導は必要十分ですか?


そうですね。教育プログラムという点では、合理的に順序だてて学ばせてもらっています。質問や疑問にもすぐに答えてもらっています。実務的な「指導」については、これからかと思っています。自分の準備が整い、会社としても案件がそろい実際の仕事が始まれば、見て教わり、真似て教わり、分析する、というステップでビシビシ進んでいくと思います。楽しみです(笑)

――楽しみですね(笑) 日常の困りごとなどは、問題なく解決できていますか?


はい。上で述べた座学の先生の他に、細かな相談事のできるメンターをつけてもらっています。直接的な業務のつながりはないですが、年齢の近い先輩で、色々と面倒を見てもらっています。不安なことがあったときはすぐ聞けるので、心強いです。

――なるほど、相談相手がいるのは良いですね。なにせ、かなり専門と異なる分野に飛び込まれたと思うので、苦労が多いのではないですか?


細菌の培養などは確かに当社の扱う分野とは違いますが、生体分子や薬のシミュレーションは以前から当社の対象領域でしたし、今後力を入れていく分野でもあります。当社が長く手がけてきた計算化学の領域を、さらに強化していくことの重要性は聞かされています。 勉強の合間にも、実際のバイオ関連案件についての簡単な相談を受けたりもしました。また、企業間のバイオ系新規分野検討会のような場に、社長が連れ出してくれることもありました。とても刺激になり、身が引き締まる思いです。

――それはすごいですね。Nさんの専門性にみな期待しているのですね。


まだまだ勉強の身で、これからです。けれど、確かに、会社の目指す方向に自分が学んできたものが生かせるのではないかという希望を感じます。そのような場を与えてくれる上司や、社長に感謝しています。自分は、まずはしっかりと当社の礎である計算機の知識を習得し、いつか「バイオ関連案件ならNに聞け」と言ってもらえるような、頼られる技術者に成長したいと思っています。

――新人のうちから社の方向性を理解し、経営の視点でものを考えることはとても重要なことだと思います。一歩一歩、しっかりと歩みを進めながら、視線は遠く行く先に定めることを忘れないでくださいね。
ありがとうございました。


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