TCFD提言に則った公開情報の最下段にリンクされた『目標設定と現状把握・実現可能性検討』ドキュメントに記載の各目標に対し、当社の実績を一定期間ごとに開示していきます。
目次
当社では燃料の燃焼を行っていないため、Scope1は0です。
Scope2については、2030年までに、2018年の排出量から37%削減することを目標としています。
(詳細は 『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P.4~6をご参照ください)
2021年より、当社の工場や重要拠点にて、再生可能エネルギーにより発電された電力の使用を開始しました。2022年には2拠点の再エネ電力化を完了し、当社全体として、年間約150トンのCO2排出量を削減できる予定でしたが、2022年11月に当社が調達していた電力会社が再エネ電力の供給を停止したことで、その排出量削減はかないませんでした。
現在は、電力の安定的な調達を最優先し、通常電力を使用しています。そのため、順調に削減されてきたCO2排出量が2023年度より増加に転じますが、2030年の目標達成に向け引き続き努力していきます。
年度ごとに、当社の実際の年間CO2排出量(本社、匝瑳工場、A拠点の合計値)を算出し、以下に記載していきます。
●日本会計年度(当年4月~翌年3月)ごとの排出量実績
基準年 | 目標年 | |||||||||||
2018年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | 2028年度 | 2029年度 | 2030年度 | 目標値 | |
Scope2 CO2排出量 | 297.8 | 268.2 | 222.3 | 348.5 | 188 |
[t-CO2]
2023年度: | 2023年度は、匝瑳工場およびA拠点への再エネ電力の調達を行わなかったことで、想定通り、大幅な排出量増加の結果となりました。 電力供給事情が大きく変化した昨年度に引き続き、当社は、電力の安定供給を第一として通常電力の調達を進めてまいりました。途中、Jクレジットや非化石証書等のCO2相殺策も検討してまいりましたが、本質的な排出量削減のためにさらなる省エネに努める方針で臨みました。 その結果、本社では省エネの努力が結実し、毎年わずかずつではありますが電力使用量が低下しCO2排出量が減少しています。しかしながら、匝瑳工場およびA拠点の電力使用量は、事業拡大に伴い基準年である2018年度よりも増加し、全体としてはCO2排出量も増加となりました。電気使用量は、事業規模に応じて増えていくことが自然なため、CO2排出量の大幅な削減には昨年度までのような再エネ電力の調達が不可欠です。当面は全社を挙げての省エネ活動に力を入れつつ、今後とも再エネ電力市場の状況を注視してまいります。 |
2022年度: | 2022年度は、原料の高騰など電力業界にとって厳しい環境が続き、多くの新電力会社が規模縮小や事業撤退を強いられました。当社が再生可能エネルギー由来電力の調達先として契約していた事業者も、2022年11月より当社への再エネ電気の供給を停止する運びとなりました。これにより、2022年度より年度全体のCO2排出量が0となる見込みであった匝瑳工場、2022年5月より0となる見込みであったA拠点の双方において、2022年12月~2023年3月にCO2排出が発生しました。このため、本年度で2030年目標を前倒し達成の予定でしたが、残念ながら目標達成時期は延期となりました。 現在当社は、電力の安定供給を第一に電力調達を行っております。当面は、各電力会社の動向と社会情勢に注意を払い、2030年の目標達成へ向け準備を進めてまいります。 |
2021年度: | 2021年度は、年度の半ばから再エネを導入したため、排出量実績値への効果はまだ小さいですが、2022年度以降は、2030年目標を達成する見込みです。 引き続き、上記グラフにて、実績推移を開示していきます。 |
Scope3については、④輸送・配送、⑦通勤、⑪製品の使用による排出量に着目しています。それぞれに対し、2030年までに、2018年の排出量から20%削減することを目標としています。
(詳細は 『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P.7~20をご参照ください)
ここでは、Scope3-⑪の当社が販売した製品が使用されることにより排出されるCO2の削減実績について記載します。
今後、年度ごとに、当社製品の使用による排出量実績値を算出し、『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P.19、20に掲載の排出量現状値と削減予測曲線のグラフに重ねてプロットし、以下に記載していきます。(グラフの体裁は、見やすいように変更しました)
●日本会計年度(当年4月~翌年3月)ごとの排出量実績
基準年 | 目標年 | |||||||||||
2018年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | 2028年度 | 2029年度 | 2030年度 | 目標値 | |
Scope3-⑪_HPC事業部 | 10.16 | 7.22 | 12.88 | 21.24 | 8.13 | |||||||
Scope3-⑪_CTO事業部 | 18.95 | 14.95 | 15.01 | 15.57 | 15.56 | |||||||
Scope3-⑪製品の使用 合計 | 29.11 | 22.17 | 27.90 | 36.81 | 23.69 |
[千t-CO2]
2023年度: | 市場での製品使用によるCO2排出量は残念ながら増加しました。これは、HPC事業部製品の消費電力が大きく増加したためです。GPUを多数搭載する製品には複数電源を搭載しているものも多く、消費電力はとても大きくなります。HPCの領域では、AI技術の進歩とともに今後ますますGPUの需要が増し、高消費電力型のコンピュータが増えていくことが予想されます。一方、CTO事業部製品では、当年度は販売機器の総計で省エネ化が実現し、前年からの販売台数の伸びによるCO2排出量の増加を消費電力の低減で相殺することができました。弊社では、両輪となる両事業部製品がそれぞれの得意分野を伸ばすことで、CO2排出量に関してもバランスを取り合っているといえます。 2030年目標値は非常に困難な目標ではありますが、引き続き機器の省エネ化に努めてまいります。また、環境省が毎年公表する電気事業者ごとのCO2排出係数が、日本最大の電気事業者において本年度は昨年と同値であったので、今後、クリーンエネルギーの社会普及によるCO2排出係数の低下にも期待していきたいと思います。 |
2022年度: | CO2排出量は上振れの結果となりました。これは、当社の売り上げが回復したことに加え、販売製品にGPUを多く搭載するような高消費電力型のものが増えたことが要因と考えられます。AI技術の進歩とともに、コンピュータの進化も高消費電力へと向かう傾向があるため、今後も消費電力の増加傾向は続くと予想されます。当社は省エネとして、引き続きお客様のクラウド化やハイブリッド化を推進し、さらに冷却方法等の省エネ技術の開発に注力していきますが、合わせて社会全体での電力の再エネ化、グリーン化によるCO2排出係数の低減も注視していきたいと思います。 なお、CTO事業部に関しては、当年度の数値は参考値となります。システムトラブルの影響で半年分のデータから消費電力代表値を決定しました。2021年度と分析手法の統一性はありませんが、合理的な値と考えられます。(来年度からは通常の分析手法に戻る予定です) |
2021年度: | 2021年度は、両事業部とも、CO2排出量が大きく改善され、すでに2030年に向けた削減目標(2018年から20%削減)をクリアしました。これは、当社販売製品の省エネ化、また、サイエンスクラウドへの移行推進などによる市場での消費電力量の低下が着実に表れた結果と考えられます。さらに、環境省が毎年公表するCO2排出係数(https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc)の低下も影響しています。 ただし、半導体供給等の市場状況による販売台数への影響も一因としてあることから、来年度以降の推移を引き続き追跡し、上記グラフにて開示していきます。 |
GPU(Graphics Processing Unit)は電子回路の集積度が高いため大きく消費電力が増してしまいますが、計算性能は大変高くなります。近年、GPUの1ワット当りの計算性能(エネルギー効率)が飛躍的に大きくなっており、CO2排出に対する性能効率は大変高いと言えます。
以下に、これまでにリリースされたGPU(NVIDIA社およびAMD社のものを列挙)のエネルギー効率の一覧を示します。基本的に、グラフの下の方が新しい製品となっています。最近のGPUのエネルギー効率が大変高いことが分かります。
比較として、2023年1月にリリースされたインテル第4世代CPU(第4世代インテル®Xeon®スケーラブルプロセッサー、開発コード名Sapphire Rapids)のすべてのモデルのエネルギー効率を載せました。CPUに比べ、GPUのエネルギー効率が圧倒的に高いことが分かります。
Scope3については、④輸送・配送、⑦通勤、⑪製品の使用による排出量に着目しています。それぞれに対し、2030年までに、2018年の排出量から20%削減することを目標としています。
(詳細は 『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P.7~20をご参照ください)
ここでは、Scope3-⑦の通勤により排出されるCO2の削減について記載します。
通勤カテゴリについて、当社はKPIとして、『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P.13に示すように、「本社勤務従業員のオフィス出勤率を50%に抑制」することを掲げています。コロナ禍により急速に進んだ在宅勤務を、従業員の働きやすさを向上させる形で定着させ、アフターコロナでの働き方改革につなげていきたいと考えています。
これは、従業員幸福度(Well-being)の向上という当社の人財に対する基本的な考え方に通じる施策ともなります。人財に対する考え方は、S(Social)のページに『人財グランドデザイン』として詳細を記載していきます。
本カテゴリのKPIである「本社勤務従業員のオフィス出勤率」は、月ごとの推移を管理し、その年の傾向を開示していきます。
本カテゴリのKPIである「本社勤務従業員のオフィス出勤率」は、月ごとの推移を集計し、12か月分の平均をその年のオフィス出勤率として算出しています。基準年2018年度のオフィス出勤率を1として、基準年の公共交通機関利用通勤(本社オフィス通勤)によるCO2排出量から、オフィス出勤率に応じて算出した値を各年のCO2排出量として開示していきます。
●日本会計年度(当年4月~翌年3月)ごとの排出量実績
基準年 | 目標年 | |||||||||||
2018年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | 2028年度 | 2029年度 | 2030年度 | 目標値 | |
オフィス出勤率 | 1 | 0.59 | 0.66 | 0.57 | 0.50 | |||||||
CO2排出量 | 22.66 | 13.44 | 14.95 | 12.91 | 11.33 |
[t-CO2]
2023年度: | 2023年度のオフィス出勤率は57%であり、大きな変化なく推移しています。昨年度のアフターコロナの揺り戻しが一段落したことに加え、経営戦略上の組織改編もあり、他事業所への出勤も発生しました。本社オフィス出勤率は、目標に向け安定した状態といえます。 |
2022年度: | 2022年度のオフィス出勤率は平均で66%となり、月ごとの出勤率は目標よりも高めに推移しました。月によるばらつきは大きくなく、初夏以降若干増加し、その状態が続いています。世の中がアフターコロナへとシフトし、オフィスへ出勤する働き方が見直されてきた傾向と合致しています。 当社としては、柔軟な働き方の選択肢を維持しつつ各人の意思を尊重する方針を取っていますが、戦略的採用強化を実施中であり新入社員が増加していることからも、今後しばらくオフィス出勤率は高めの状態が続くと想定されます。 世の中の動向を見極めつつ、当社独自の働き方について、引き続き検討を進めてまいります。 また、匝瑳工場への自家用車利用通勤者のガソリン使用量については、通勤のみの使用実績値把握が困難なことから定量化は行わず、自家用車利用通勤者への省エネ運転啓発活動を行いました。定性的な改善活動となるため、Scope3-⑦に関する定量値は、本社オフィス出勤率から求められる値を代表値とします。 |
2021年度: | 2022年1月から集計を開始したため、2021年度の値は2022年1月~3月の3か月間の平均値です。そのため、参考値としてグレーにハッチングしています。3か月間のオフィス出勤率は59%であり、実現可能性判断を行った2021年6月の56%から大きな変化はありませんでした。 |
Scope3については、④輸送・配送、⑦通勤、⑪製品の使用による排出量に着目しています。それぞれに対し、2030年までに、2018年の排出量から20%削減することを目標としています。
(詳細は 『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P.7~20をご参照ください)
ここでは、Scope3-④の輸送・配送により排出されるCO2の削減について記載します。
輸送・配送カテゴリについて、当社は『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P. 9に示すように、「社有車のCO2排出量」に着目しています。
社有車を順次、低CO2排出の車両へ置き換えていく計画ですが、新エネルギー技術、自動車関連技術の進歩を見据えつつ、適切な時期に置き換えを実施していきます。
進捗があれば、本ページにて情報を開示していきます。
●日本会計年度(当年4月~翌年3月)ごとの排出量実績
基準年 | 目標年 | |||||||||||
2018年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | 2028年度 | 2029年度 | 2030年度 | 目標値 | |
Scope3-④輸送・配送 | 13.73 | 未対応 | 11.00 | 10.51 | 10.98 |
[t-CO2]
2023年度: | 2023年2月のハイブリット車導入による効果が表れた結果、昨年度よりもガソリン使用量が減少、さらに環境省が毎年発表するCO2排出係数においてガソリンの値がわずかながら低下したことから、基準年に対し、CO2排出量23.4%削減を実現しました。これにより、目標とする20%削減、10.98[t-CO2]以下のCO2排出量を達成しました。今後も引き続き、目標を上回る削減率を目指していきます。 |
2022年度: | 【修正】基準年のデータを修正しました。(2023.4.30) これは、これまで算出対象としてきた社有車6台に西日本事業所の1台を加え、7台の社有車を算出対象とすることに変更したためです。このため、基準年のCO2排出量が増加(12.84→13.73[t-CO2])し、目標値もわずかに大きく(10.27→10.98[t-CO2]) なりました。 『目標設定と現状把握・実現可能性検討』P.10に記載した、EV/FCV導入試算による目標の実現可能性に影響はありません。 2023年2月より、ガソリン車1台をハイブリット車に置き換えました。このエコカー導入に加え省エネ運転啓発活動などによりガソリンの使用量が減少し、短期間でCO2排出量の19.9%削減を実現しました。目標とする20%削減に迫る結果となっています。ガソリン使用量は様々な要因で変動すると見込まれることから、今後も順次、社有車のエコカーへの置き換えを実施し、目標を上回る削減率を目指していきます。 |
2021年度: | 2021年末から検討を開始したため、具体的な施策は行っていません。 |
上述してきたScope3排出量の合計を示します。
Scope3排出量の多くは、⑪製品の使用によるCO2排出量のため、グラフは対数表示にしています。
基準年 | 目標年 | |||||||||||
2018年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | 2028年度 | 2029年度 | 2030年度 | 目標値 | |
Scope3-④輸送・配送 | 13.73 | ← | 11.00 | 10.51 | 10.98 |
|||||||
Scope3-⑦通勤 | 22.66 | ← | 14.95 | 12.91 | 11.33 | |||||||
Scope3-⑪製品の使用 | 29,110 | 22,173 | 27,896 | 36,811 | 23,288 |
|||||||
Scope3合計CO2排出量 | 29,146 | 22,209 | 27,922 | 36,834 | 23,310 |
[t-CO2]
2023年度: | 昨年度に引き続き、GPU搭載製品の販売増加により⑪が高止まりし、2030年目標の早期クリアはなりませんでした。⑪の削減施策とした製品の省エネ化は、CTO事業部製品で一定の効果を上げ、わずかなりともCO2排出量の増加を吸収できました。一方、ハイパフォーマンスコンピュータの領域では、環境対応技術として冷却方法の検討を進め、本年度、水冷コンピュータを発売いたしました。今後も計算機の分野で『研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供する』ことを念頭に、環境にも貢献できる製品を目指し製品開発を進めてまいります。 |
2022年度: | GPU搭載製品の販売好調により⑪が増加したことから、2030年目標の早期クリアはなりませんでした。⑪の削減施策として、引き続きお客様のクラウド化やハイブリッド化を推進し、さらに冷却方法等の省エネ技術の開発に注力していきますが、合わせて、社会全体での電力の再エネ化、グリーン化によるCO2排出係数の低減も注視していきたいと思います。 |
2021年度: | 本年度から検討を開始したことから、④輸送・配送は未対策、⑦通勤も年間値がないため、基準年の値を用いて合計を求めました。⑪が大きく減少したことから、2030年目標を早期にクリアする結果となりました。 |