「ChemPark」ご利用者
静岡大学

 第34回目のインタビューは、静岡大学工学部・共通講座化学の野口良史 准教授、宮林恵子 准教授、植田一正 教授、早川敏弘 技術職員、草薙弘樹 技術職員、計5名の先生方にお話をお伺いしました。
 静岡大学工学部では、昨年より当社の化学計算クラウドサービス「ChemPark」を学部の授業教材に導入しています。
 コロナ禍の教育機関ではオンライン授業・実習への移行が課題となりましたが、ChemParkの導入により既存の実習授業が比較的スムーズにオンラインに切り替えられたとのことです。今後、クラウドでの計算化学実習の導入をご検討される教育機関のお客様のご参考になればということで、お話をお伺いする機会を得ることができました。

本日はどうぞよろしくお願いします。
早速ですが、今回、当社のクラウドで計算化学をテーマにしたChemParkを導入いただいており、授業で活用していただいていると聞きまして、ぜひお話をお伺いさせていただければと思います。

宮林先生:
 今回ChemParkを導入した化学実験は、静岡大学の工学部の全2年生が受講する科目になります。必修科目のため、毎年およそ550名の学生が受講しています。化学を専門とする学生だけではなく、機械、電気電子や、数理システム工学科など、多様な専門分野を目指す学生が受講します。本学では自由啓発という理念を掲げており、これは、できる限り自由な環境の中に学生を置いて、一人一人の個性を尊重し、その才能を伸ばすという考えです。学生が近い将来、自らの専門分野にとらわれず、自由な発想につながる素養の1つとして化学の知識も持てるよう、化学実験を取り入れています。
 化学実験では、工学部の学生として必要な基礎的な実験技術を体得するような講義設計としています。化学の中でも分析化学、物理化学、有機化学を取り上げ、定性分析、分光分析、反応速度を求める実験、緩衝作用の確認、あるいは色素の合成、計算化学について実施しています。
 国内でも機械工学を専攻する研究室で、御社のシミュレーションソフトウエアを使っているところがあると思います。さまざまな分野で計算科学が浸透しつつある中で、化学分野においても実験だけでなく計算化学を取り入れる研究室が増えてきています。計算化学は今後ますます重要性が増えると考え、2019年の後期から新たに導入しました。実際の導入は、専門家である野口先生にお願いしました。

ChemParkを導入されるきっかけはどういった流れだったのでしょうか?

野口先生:
 きっかけは、シミュレーションの種目を1つ追加するという指令を受けて私が検討を始めたわけですが、それに当たってはわれわれ運用する側の事情でも、受講する学生側の事情でも制限があり、その中でChemParkを見付けました。
 具体的なわれわれの制限というのは、予算が限られているので人数分のマシンを導入して、さらに人数分のソフトウエアのライセンスを購入するといったことはかなり難しいということです。もう一つの制限はマンパワーに関する話で、初期の導入に当たってソフトウエアをインストールし、今後マシンを使っていくに当たっての保守などをするマンパワーが絶対的に足りないという事情がありました。これがわれわれの持っている制限です。
 もう一つ、学生側の制限は、この化学実験は2年生でやっているわけですけれども、学生のほとんどがCUI、つまりマウスを使わない、コマンドラインの操作をした経験がないという制限があります。2年生の前期なので、量子力学はまだそれほどないという事情もあります。
 以上のような事情を考慮すると、私としては、クラウドサービスを使うしか道がないだろうという結論に達しました。そこで、クラウドサービスを探していたところ、ChemParkを見つけました。分子科学討論会で御社がブースを出されていて、そこの担当者の方に相談させていただいたという形になります。ChemParkでしたら、こちらとしてはマシンを人数分導入するだけでよく、またシステムの定期補修なども必要ありませんし、ライセンスを人数分購入する必要もないということで、コスト削減にもなるということで導入することに決まりました。

■ ChemParkのご紹介

検討されてからどれぐらいの期間で導入されたのですか?

 検討を始めたのは、私が着任した2018年4月直後、シミュレーションの種目を1つ追加しなさいと宮林先生に指令を受けてからでした。そこからどういうことが可能かというのをずっと考えていました。
 そこから9月の分子科学討論会で、御社にコンタクトを取らせていただいたという形です。ですから、検討期間が半年ぐらいで、相談させていただいてから実際に始まったのが2019年の秋ですので、1年ぐらいかかっています。ChemParkを使った実験が実際に始まったのは11月だと思います。

それはすぐ授業に展開されたのですか。それともやはり少し使ってみて、大体の機能や授業でどのように使えるか、そういったことを検討する時間が結構かかるものですか?

野口先生:
 かかりました。まだあまり知識もないような学生に対して、第一原理のシミュレーションをする、といったときにどういうシミュレーション(難易度)が適切なのか、自分の中でなかなか答えが出なくて、試行錯誤をしていた時期がかなりあります。その間はお試しアカウントがありますよね。それで何回か試行錯誤させていただいたという感じです。

実際に授業で使い始めてからは、対面で実際にパソコンを持たせてという形で授業をされていたのですか?

野口先生:
 去年は対面でさせていましたが今はオンラインです。

コロナの影響で現在はオンライン授業で取り組まれているということですよね。学生さんの反応はいかがですか?

野口先生:
 今年に関してはオンラインなので見えていないというのが正直なところですね。

草薙先生:
 対面の授業のお話になりますが、昨年の後期にある化学系の学科で2回だけやらせていただきました。もちろん出てきた数値に対してどのように理解や考察があるのかというのが必要かと思いますが、その辺の詳しいところは取りあえず置いておいてやってもらい、そのときは化学系の学生だったので、印象としてはあまり詳しくなくても食らい付いていくような雰囲気が感じられました。
 初めての授業でしたけれども、何とかゴールまで行ったという感じでした。後期は化学系の学生しかやれなかったので、前期が非化学系を判断するチャンスだったと思いますが、こういう状況になったという感じです。まだ2回しか対面でできていませんが、化学系の学生だったので何とか理解しようという雰囲気はありました。

非化学系の学生が実習されたことはございますか?

野口先生:
 非化学系学生の実習は2020年4月からの前期に実施しました。直接の反応はオンラインなのでわかりませんが、操作に関しては何も質問がなくて、去年見た感じでも多分今の人はデジタルネーティブな世代なので、結構すらすらやっている印象を持っています。
 実際に今年度の前期は、操作に関しての質問は一切なく、出てきた結果に対してどう見るのでしょうか?という質問は何個かありました。ですから、学生としてはそれほど戸惑うことなく使っているのだろうと思っています。

■ ChemPark 画面の紹介

具体的にはどういったテーマで1回の授業をされているのですか。何か決まったやり方がありますか?例えば、「今日はこれをやってみましょう」という形で、それが完結するまで一通りの流れという感じですしょうか?また、計算結果を使ってどのように役立てることができますか?

野口先生:
 そうでうね、あらかじめ決められた分子を計算するという形になります。
 1年生のときに工学基礎化学という全学科の学生が対象になる化学の授業があって、そこで学んだ範囲の知識を使って実験をするということになっているので、実際には全エネルギーと軌道エネルギーと分子軌道の3つを主に計算して、それを考察するというのがChemParkでやっているテーマです。これは全部1年生のときに習っている知識なので、1年生の授業で習ったものをこの実験で実際に計算して確かめることで、得られた知識を自分のものにしてほしいという意図があります。

ありがとうございます。
ChemParkの機能面などで使ってみた上での感想や、このようなことができたらもっと使いやすい、学生が分かりやすいといったご意見はありますか?

野口先生:
 私個人の意見としては、ChemParkは研究目的というよりも授業に非常に有用だと考えています。授業で使うということは、つまり複数のアカウント、例えば数十個のアカウントを管理しなければいけないわけです。複数のアカウントを一括管理できるような機能があると授業で使いやすくなるのではないかと思っています。
 契約している複数のアカウントのパスワードを一括変更できたり、あるいはウインドウの大きさを変えたり言語を変えるといった設定が一括で変換できるような機能があれば、こちらとしては便利だと思っています。もう少し欲を言えば、ブラウザに表示させた結果をワードファイルなどに取り込んでChemParkからレポート課題などを作成することができるような機能があるとうれしいです。

■ ChemPark・教科書のご紹介

実際使ってみると、こういう機能があったらいいなということは後から出てきますよね。

野口先生:
 ユーザー一括管理の話でいうと、初期値を一括で変えるというものがあったらいいかなとも思います。また、これは教科書に書いておけばいい話ですが、学生は演習をやるとやりっ放しで、計算したファイルを残したままにしてしまい、それを今は私が一個一個消しています。それは大変なので、全てのアカウントに対して一括で消せるような機能があったらうれしいなと思っています。複数のアカウントを一括で管理できるような機能が欲しいなと思っています。

実際に対面授業では2回、あとはオンライン授業とのことですが、今後こういったことをChemParkでやってみたいなという目標はございますか?

野口先生:
 実際にできるかどうかは別として、化学実験の種目の中で、例えば光吸収スペクトルを測定するというものがあります。第一原理でも吸収スペクトルを計算することは可能なので、他の種目との連携のようなことができれば、おもしろいかなと思います。でも、実際には、分子の置かれている実験の環境と計算の環境が結構違うので、そのギャップを埋める作業が必要になってきますので、なかなか難しいかなとは思います。できれば面白いですね。

学生さんに向けてどの程度のレベルまでできたらいいなというプランはございますか?

宮林先生:
 もちろん私たちは化学系なので、化学の人だったらこのぐらいできてほしいと思うことはありますが、機械や電気電子など、この実験が終わるとほとんど将来は化学を使わない学生が大部分ですから、その中でどこまでというゴールの設定は難しいです。ただ、少し学生の中に残って、化学は液体の物を混ぜて化けるのを見ているだけではなくて、きちんと計算化学というものもタイアップしてやっている学問であると学んだり、あるいは自分の分野でも計算化学が使えるのではないかと思えたりするようになってもらうぐらいです。

野口先生:
 これは結構マウスでカチカチやっていくものなので、一般的なわれわれの研究でやっているシミュレーションとは少し違う部分があります。ただ、出てきた結果に関しては、1年生のときに習っている知識の中での話なので、そこをきちんと理解してほしいなと思います。専門ではない学生もやはりいるので、なかなか難しいかもしれないです。

授業で使う目的で調べてChemParkを使おうとお考えになられたとお聞きしましたが、何か他にこれも良さそうだなと検討されたものはありましたか?

野口先生:
 クラウドサービスを使うと決まった後ではChemParkのみです。量子化学計算パッケージは有償・無償のものを含めて、他にもいろいろありますけれども、導入時のハードル高さやその後のメンテナンスコストの観点から、選択肢から排除せざるを得ませんでした。

ありがとうございます。野口先生の研究室の学生さんは何名ぐらいいらっしゃるのですか?

野口先生:
 今年は学部生が2人です。研究室を立ち上げて3年目なので、まだ学生は少ないです。化学バイオの学生が来るのですが、研究室紹介のときに今まで勉強してきたことの延長線にあるというよりは、新しい分野に挑戦するつもりで来てくださいと言っています。ですので、新しいことに挑戦したいですと言って来る学生が多いです。

■ 授業の様子

これから計算してみようという方たちに対して、授業で使われていること自体がとても先進的なので、何かアドバイスなどがあればぜひお願いします。

宮林先生:
 この演習種目に関しては、他の実験種目と異なり急遽オンライン対応となっても、動画作成や編集の作業はなく、スムーズにオンライン化に対応できました。
 パソコンの使用を想定して教科書は記載されていますが、ChemParkはスマートフォンからもアクセスできます。実際どのくらいの人数がスマートフォンを使用し演習を実施したかわかりませんが、オンライン化の初期には、スマートフォンから課題をアプロードする学生もいました。

静岡大学さんではChemParkを今後も授業で継続してお使いになる予定ですか?

野口先生: 
 そうですね。是非継続して使用させていただきたいと思っております。

先ほど着任当時に、学生実験で計算をやることが既定路線だという話があったと思いますが、学生実験に計算を取り入れる意義があって初めてその話が成り立つと思います。先生が学生実験に計算を取り入れる意義、なぜ今計算なのかということを聞かせていただければと思います。

野口先生:
 化学だけでなくて物理、生物、機械、いろいろな分野でシミュレーションは第3の実験手法のような感じで、需要が高まってきているという現状があると思います。その中で、シミュレーションを初期の大学2年生の段階で触れておくというところではかなり意味があると思っています。そういうバックグラウンドの中でのシミュレーションを化学実験の一種目に加えたという話だと自分は思います。

宮林先生:
 実験コーディネータの立場では、大部分が非化学系の学生が受講する実習ですので、少し化学に障壁を感じる学生にも興味を持ってもらえるよう、視覚に訴えるような実験を取り入れたいと考えています。他の実験種目でも、色が変わるや、沈殿が生成するなどの、変化する現象を見ているものが多いです。
 その中に実験操作が非常に似通ったテーマが2つあったので、1つを何か違うテーマにしたいというのがありました。計算化学では分子を三次元で回転させることができますよね。二次元ではわかりにくいことを視覚に訴えて化学を理解してもらえたらいいなというのがあり、1つのテーマを入れ替えたました。

ありがとうございます。これから計算を始めようとする人たちに対して、特に計算をされている、実際に研究に取り入れている先生がいらっしゃるということで、先輩からのアドバイスがあれば頂きたいと思います。

野口先生:
 あまり本質的ではないかもしれませんが、計算自体はコンピューター任せです。例えばジョブを投入すれば、もう人間は計算が終了するのを待つだけです。一方で、自分の能力や自分の努力ではないところで計算が思うように進まないということが多々あるわけです。
 例えばハードウエアが壊れたり、計算機を使用している人がたくさんいてなかなか計算がスタートしなかったり、、あるいはソフトウエアの問題でそもそもバグがあったり、自分の努力ではどうにもならないところで計算が進まないという事情が多々あるという現状まで理解してもらうというところにフラストレーションを感じるのは当然かもしれませんが、そういうものだと受け止めて、少し気長にというか心に余裕を持って、シミュレーションという研究には挑んでもらったほうがいいのではないかと思っています。

今、実験をした後の計算というのと、実験の前の計算という2つのお話があったと思います。難しいと思いますが、割合としてはどのような感じですか。それとも実験、計算、実験、計算とつながっているから前後の区別が付かないということでも結構です。

植田先生:
 イメージとして、学生が計算する配分としては8割から9割ぐらいは実験です。物を作るところに時間がかかって、計算は残りの1割か2割になっています。それも週末にジョブを投入して、休み明けの月曜日に結果が出るということができるのはいいかなと思います。

実験をした後に計算ということでしょうか?

植田先生:
 学生は主にそうです。有機化学だと置換基の効果が有効に出るところをモデル化できたらくっつけて探索するというところぐらいまではいきますけれども、基本は合成してから計算して、解釈して、次の性能向上の分子設計につなげるという形になっています。

先生ご自身の使い方としては、やはり実験前のほうが多いでしょうか?

植田先生:
 私は個体での電子状態を見たいので、結晶構造解析のデータからユニットを取り出して計算します。計算時間がとても長く、4日もかかるようなものを回している感じで、それを見て、次の化合物と分子配列の制御を行おうとしています。
 なかなか固体の分子配列の予測が難しく、今のトレンドのようにいろいろな計算手法が提案されていますけれども、まだ簡単なものがないというのが現場の研究者レベルの話です。

クラウドを使う際、外部のサーバーにつなぐことに対して大学などのセキュリティー面で何か導入の障壁になる部分は特にありませんでしたか?授業で外部接続することに対して、大学側から何か意見はございましたか?

野口先生:
 特に大学の内部から外につなぐことに関しては制限がないので、そこは特に問題がありませんでした。問題はアカウントの制限というか管理です。おそらく使う学生一人に一つのアカウントを準備するというのが本来の形なのかもしれませんが、契約をした数のアカウントを毎週異なる学生が使用していく、という使い方をさせていただいております。そのため、例えば1つのアカウントを同時に2人が使えないようにアカウントを管理しなければいけないのが一番大変でした。
 具体的には、すべての学生に個別のパスワードを配布して、TAが実験の始まる前にパスワードを毎回変えるという作業をして、そのような事が起こらないようにしたわけです。アカウントとパスワードを管理するためのシステムを作るのが一番大変でした。

そうすると、先生のご希望としては、授業で使うような仕組み、コンピューターの管理権限を持っている方がいて、その権限の下に授業で使うためのアカウントがあって、そこの管理ができますよというような機能がまず1つあるといいかなということですね。

野口先生:
 私としてはそれが欲しいところですね。

また、導入前に打ち合わせをさせていただいたときに、これを使うには授業をやるためのテキストを作らなければいけないよねというお話でしたが、テキストを作るのは大変でしたか?

野口先生:
 ChemParkを使ってどういう演習をするかという内容が決まった後は、それほど大変な作業ではありません。学生がそのテキストを読めばできるような形で、事細かに作業手順を書いていくという作業だけですから、書くという作業自体はそれほどではありません。
 どちらかというと、どの分子を使ってどういうことをやらせようということを決めるまでのほうが大変でした。内容や難易度もこれでいいのかというのはまだありますが、そこは今後試行錯誤をしながら変えていくということです。

いろいろな大学の実験の先生と話をする中で、計算を操作することというのは覚えてしまえば別に大したことではないと。ただ、計算するに当たって、どの基底関数を選べばいいのか、その妥当性というのが分からないというのがあります。出てきた結果をどう解釈すればいいのか、結局計算は専門家でないと読み取れないとので、計算は入ってくるのにハードルがあるという話を聞いたもので、テキストを作るときもやはり、この数値をどう解釈してどう見るのかということが出てくると。そこをわれわれのような所がサポートできたほうがいいのかなと思いましたが、授業の場合は、基本的にテキストを作られる方には見えているので、そこまで心配はないのだなと。それよりもやはり授業で使ってもらうためには、今先生が言われたようなアカウント管理、1つの契約の塊としての管理をどうするかということのほうが、現実的に一番時間を取られて大変なのだなと理解させていただきました。
ありがとうございます。
最後に、これからの高校生などに対して何か大学(化学系)からのメッセージがあればお願いします。

宮林先生:
 自由な環境に置いて学生さんを育むのが静岡大学の理念ですので、自由に創造していただきたいと思います。自ら考え、チャレンジ精神をお持ちの方にはぜひ来ていただきたいと思います。もちろん化学に興味のある方だけではなく、機械、電気電子、数理システムもあります。

植田先生:
 大学の傾向として、浜松地域は自動車メーカー、トヨタの裾野が引いており、ホンダやスズキもあり、工学部もそうですが、結構機械が強いです。ただ、報道や世の中の流れとしては、ハイブリッドないしは電気自動車に向くわけですから、機械系といえども材料に対する勘どころというか、値踏みのできる人がこれからは重宝がられていくと思います。  
 世の中の基礎教育における工学系の実験というのがいったん専門性に特化するわけです。例えば、多くの大学が物理学の実験はほとんどやっているけれども化学はやっていないと。そういう中でもわれわれは物理実験、化学実験を同じ重みでやってきて、地域のニーズに合わせた人材育成に努力しているというところがありますので、私は機械だから化学は嫌だ、化学系だから物理はいらないよねという感じではなく、広く理科の科目に関心を持っている学生に来てほしいですし、その人たちが力を付けられる教育環境を用意しているのが静岡大学です。
 特にシミュレーションに関しては、昔はその場でしかできませんでしたが、今は手元でもできますし、今回のChemParkのようにクラウドでサービスを提供するところもありますから、取り掛かりの敷居の低さは充実しているので、そこをうまく使って、さらなる勉強をしてくれそうな人に来てほしいというのはあります。少し全体的な話ですが、この地特有の話なので、お伝えしておきます。

本日はお忙しい中、貴重なお話お聞かせいただきありがとうございました。

■ 実験室の様子

静岡大学様のプロフィール

  • 研究者所属: 静岡大学

    植田一正 教授
    ・所属:静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻
    ・研究室のURL:https://wwp.shizuoka.ac.jp/uedalab/
    ・研究内容:近赤外光吸収材料の開発およびナノサイズの空孔を持つ有機 結晶の開発

    宮林恵子 准教授
    ・所属:静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻
    ・研究室のURL:https://wwp.shizuoka.ac.jp/miyabayashi-lab
    ・研究内容:金属ナノ粒子の構造制御と電極触媒への応用

    野口良史 准教授
    ・所属:静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻
    ・研究室のURL:なし
    ・研究内容:第一原理グリーン関数法の開発と応用

    草薙弘樹 技術職員
    ・所属:静岡大学技術部機器分析部門
    ・業務内容:学生実験の支援および学内共同利用機器の測定支援・維持・管理

    早川敏弘 技術職員
    ・所属:静岡大学技術部機器分析部門
    ・業務内容:学生実験の支援および共同利用機器の測定支援・維持・管理
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