ホーム > HPC・DL・AI > 導入事例 > 計算化学 > 東海大学 Tokai Formula Club様

東海大学
Tokai Formula Club

Tokai Formula Club(TFC)とは、東海大学でFormula SAE大会に参戦するレーシングチームとして2002年に結成されました。
東海大学には、大学が提唱する4つの力「自ら考える力・集い力・挑み力・成し遂げ力」を身につけた社会に貢献できる人材を育てる教育プログラムとしてチャレンジセンターというものがあり、Tokai Formula Clubはそのチャレンジセンターのチャレンジプロジェクトの一つとして、参戦するFormula SAE大会で総合優勝を目標に、チームの運営や管理、設計や製作、そして走行と、フォーミュラカーを作り上げるものづくりのプロセスを通じて、社会的実践力を身に付けることを目指して活動しています。

HPCシステムズはCSR活動の一環として、全日本学生フォーミュラ大会(https://www.jsae.or.jp/formula/jp/)の大会スポンサーになっています。

また、これからものづくりの中核を担う学生たちには、本当に役に立つCAEに触れて欲しいと願い、チーム支援として計算環境の提供を行っています。

今回のインタビューは弊社が学生フォーミュラへ携わるきっかけをくれた、東海大学 Tokai Formula Club 様(https://formula.shn.u-tokai.ac.jp/)です。

この度はよろしくお願いいたします。学生さんは初めてなのでお話お聞きするのが楽しみです!

はじめに、このクラブの発足や活動等に関してお聞かせいただけますか?

 この大会自体が2003年に発足され、2004年に大会に出始めました。そこから毎年出続けています。それまでは1学年1チーム制という形で、学年制でずっと活動しており、最高学年の人たちだけで車を考えて、製作もほとんどその人たちだけでやっていたのですが2年前からその学年制というのを廃止し全ての学年で1台の車を造り上げるという形にしました。

その頃1年生は何を担当していたのですか?

勉強やチームの班分け、あとはどのような車を造るかという構想などです。

では、そのころと違い、今は1年生の時から制作に携われるのですか?

 今の時期はまだ4年生から勉強を教えてもらうことから始めています。知識がないと何もできないので、座学で基礎的な知識を今身に付けさせるという段階です。

動力機械工学科に入る学生さんはやはり車が好だからこの学部を選ぶというのがほとんどなのですか?
 例えば、この学部に入るとフォーミュラカーが造れるということが分かっているという方もいるのですか?

 約100チームぐらい出場校はあるので、フォーミュラを造りたいと思えば、他の大学でもできます。
 ただ、東海大学ですとこの施設の大きさや、大学からの支援も多く出してもらえるので、そういう意味では有利な部分がありますが、そこまで知って入ってる学生はあまりいないと思います。ただ、少数ながら学生フォーミュラのために動力機械工学科に入ってくる学生もいます。

弊社に関してはどのような流れで知っていただき、今に至るのですか?

 2015年のCD-adapco社のユーザーカンファレンスの際に弊チームからHPCシステムズさんにアプローチをさせていただき、自分たちの解析環境というのが、全然解析が回らない状態だったので、どうにかなりませんかと相談させていただきました。そこからスポンサーをしていただく形になりました。

計算機は、それからどのように使われてるのですか?

 STAR-CCM+を用いてマシンの空力と、空力の解析に主に使用しており、たまに吸気などの内部の解析で用いています。
 それまでは、STAR-CCM+はもちろん使ってたのですが、スペックの低いマシンを使っていたので、ハーフモデルで解析をかけたりして、整合性があまり取れないような形で計算していたりと、その値がほんとに正しいのか自信が持てない段階でした。海外チームも同じSTAR-CCM+を使ってるところあるのですが、御社の良いパソコンを使わせていただいてることで強豪チームと同じぐらいの規模で解析をかけられています。

それが実際に生かされてるということなのですね。

 そうですね。あとは解析をたくさん回せるので、自分たちの思い付いたアイデアをほとんど全て試せるような形になり本当にありがたく使わせていただいています。日本ではこのような環境で解析をかけられているチームはなかなかいません。

毎年9月に大会があると思うのですが、その大会が終わったら、次の期が始まると思うので、その1年間で造って走って…までをやるんですよね?

 基本的には1年間の間で構想、設計、製作と、試走テスト…最終的に大会に出場して結果を出すというサイクルです。

2017年、東海大学さんはどのようなコンセプトで大会ではどのあたりを狙ってるんですか?

 私たちの16年度は、「ドライバーの意のままに操れるような車を造る」を一番上のコンセプトとして考え、造っていきます。目標は日本大会優勝です!

デザイン、コスト、プレゼンテーション、アクセラレーション、スキッドパッド、オートクロス、エンデュランス、
 燃費、で総合何点を獲れるかというものがあるかと思うのですが、全てにおいて高い点狙う予定ですか?

 やはり、得意な部分はあるのですが、そこを落としてしまうと厳しいものがあります。
主に走行性能を競う競技を重視しています。ただ、全種目が良くないと、やっぱり上位トップ10には入れないですね。

この静的審査と動的審査とはどのようなものですか?

   静的審査は、コスト、デザイン、プレゼンテーションの3つになるのですが、プレゼンテーションは、今造った車を市場に売ると想定し、どのような形、どういったターゲット層かなどを決めて、そこから自分たちの車をどのような形で売り込んでいくかというのをプレゼンテーションして、その審査員が点数を付けるという形です。
 コスト審査は、自分たちの車のかかったコストやその工程にかかる費用などをしっかりとレギュレーションの中の料金表から計算して、自分たちの車が一体幾らになるかというのを出します。その正確性として本当にそのコストで造れるのかというのを審査されます。デザイン審査というのは、車両を開発するプロセスの、しっかりとプロセスを踏んで車両開発してるかということや、よい値であるかということを見られます。更に図面の綺麗さも見られます。
 動的審査は、アクセラレーション、スキッドパッド、オートクロス、エンデュランスの四種目です。 アクセラレーションは止まった状態から75メートルをいかに速く走り切るかを競います。 スキッドパッドは定常円を右回り左回りで走行し周回タイムを競います。
 オートクロスは決められたコースを一周走りどれだけ速く走り切るかを競います。タイムアタックのようなものですね。
 エンデュランスは周回コースを20周走り切るタイムと燃料消費量を競います。学生フォーミュラ大会の花形であり、走り切れずにリタイアしてしまう大学も多い厳しい種目です。

コストは計算も一度されるということですか?また、差分が出たら、何か指摘が入るのですか?

 決められた表計算ソフトのフォーマット上で計算を一度行います。差分については指摘というよりも、減点対象になります。そのため、工作機械を使って削り出すところを、それを省いて料金に乗せて料金表を作ってしまったら、その分が減点されるという形です。

結構いろんな審査があるのですね。

 総合力を問われるような大会になっているので、物作りを一から学べて、それをしっかりと評価してくれるという形になっています。動的審査のほうも、やはり速い車を造るだけじゃなくて、その開発と開発プロセスというのをしっかりと学んで、それを表現していかないと点数は取れないという審査内容になってるので、エンジニアとして成長するにはものすごくいい大会にはなってると思います。

1年って短いですよね。1年間でどのように始まって、大会に臨むまでの流れがどのようなな感じなのかを教えてください。

 チームによっては、もう4月とかにシェークダウンやテストに入っているのですが、その段階から次年度の構想を始めているチームもあれば、9月から構想を始めてすぐに設計開始するというチームもあります。
 チームごとにスケジュールは違うのですが、どのようにスケジュールを決めてやってくかというのも、学生フォーミュラでは結構大事なところではあります。
 今は、スケジュールとしては少し遅れてしまっていますがテスト走行の時期に入っています。9月から車の構想でどんな車を造ろうかというのを最初に決めて、そこから各班、エンジン班、足班、エアロ班、ボディー班が各班の中で、その車に近づけるためにはどのようにすれば良いのかなどを話し合って決めた後に設計が始まるので、大体11月から12月の末で設計を行います。そこから5月まで車両の製作を行います。5月の中旬にシェークダウンを行った後は車両の熟成を行って大会に車両を持っていく形になります。

それが終わると実際に製作に入るのですか?

 そうですね。もう12月から入ってるものもありますけど、基本的にはやはり1月からというのが大体分かれ目でしたね。その年によって違うのですが、今年に関しては1月から製作が始まりました。車の完成が5月15日を予定していたのですが、結果的に遅れてしまって、5月26日にシェークダウンができたという形です。

– その製作に入ると、次は例えばプロのアドバイスは来るのですか?エンジンとか自動車メーカーさんなどは関連してくるのですか?

 なかなか自動車メーカー、完成車メーカーさんとは、そういう話はできないのですが、私どものスポンサー企業様だったり、OBの方に教えていただいたりします。どちらかといえば、設計のほうがそのような人々に関わる機会は多いです。
 この設計で安全かどうか、しっかりとその機能が発揮できるかどうかというのは、企業の方のほうが経験はあるので、設計からしっかりしてないとドライバーが危ないので、ちゃんと機能するかというのを見ていただいています。新しいことに挑戦することも多く、自分たちだけでは分からないことも多いため企業の方に、この設計は実際に製作が可能かどうかなど聞くことは多いですね。

それが終わると、テスト走行に入るという流れですか?

 最初にトラブルの洗い出しが来ます。やっぱり新しいマシンだと、何かしらトラブルが発生するので、それだけで1カ月、長くて2カ月ぐらいかけ、しっかりとその問題を洗い出せるかどうかが大会に結構関わってきます。その問題がしっかりと解決できないまま大会を迎えると、最後のエンデュランスなどでトラブルが発生することも…というか、昨年はそれで止まってしまって点数伸びないということになってしまったので、この6月、7月が勝負です。

今年は既に何か問題は起きてるんですか?

 いま一番大変なところは駆動系ですね。弊チームでは他の大学とは違ってエンジン自体が特殊で、V2エンジンというのを使いたいっていうのがあって、少し特殊な置き方をせざるを得ないのです。
 その結果、プロペラシャフトを介して駆動を伝えるというところで、そのプロペラシャフトに問題が起きて、今はまだしっかり走れてない感じですね。ただ、見通しが何とか出てきたかなというところです。

ドライバーはどのように決めるのですか?

 私どものチームは運が良くて、カート経験者だったりとか、あとは実際に耐久に出てるメンバーもいたりして、あとは車を運転するのが得意という子が乗っています。大会には最低4名のドライバーが必要で、そのマシンを走らせたときにどういう挙動するかっていうのを伝えてもらい、セッティングに生かしています。
 大学内のチャレンジセンターに支援していただいていて、東海大学の学生であればだれでも参加することができます。 結局、車に興味がある人は大体動力機械工学科なので、そっちからほぼ来るような形になってしまうのですが(笑)

今まで大会出続けてますけど、何か思い出に残るトラブルなどはありましたか?

 もうトラブルだらけです(笑)結局100チーム出て、完走できるのが20チームとかですよね。動的審査にかからないチームもあります。
 静的審査とはまた違うのですが、車検というのがあり、基本的に安全かどうかを見られるのですが、それがないとまず走らせてもらえないのです。 大体去年だと30チームぐらいは、その段階でリタイアとなりました。
 一応レギュレーションがしっかりとあるのですが、やはり製作の精度だったり、あまりCADを引かないで造ったりというチームもあるので、そういったチームが何とか走らせて持ってきましたというのが多いですね。自分たちでレギュレーションをしっかりと読んで、造るプロセスをきちんと踏んでいないと、違ったものができてくるので結果的に車検で落とされたりします。
 去年も給油口の角度で1回NGが出てしまい、その日のうちに直して次の日にまた車検を受けて、やっとOKもらえたというのはありました。 やはり設計図でちゃんとはしていても、建て付けの角度がずれてしまって、一度ずれてしまうとそこでは違反となってしまいます。なので、建て付けも考慮して造らないとやはり難しいというのはあります。

現場は緊張感がある雰囲気ですか?

  結構ぴりぴりしてます。まず、車検を受けるにもまた順番待ちがあって、最初に順位が高い、去年の順位が高かったところから受けられるのですが、低かったところはまず1日目に受けるのができません。上位35チームが予約という形で時間が決まってて、その時間に来なかった場合、並んでいたチームがどんどん入れる形になっているので、30位のほうだとその日の遅くに車検になってしまい、修正する時間が少なくなってしまいます。逆に40番ぐらいのチームの出来が良くて、その日の朝一番に並んで待っていたりすると、一番に受けられて、通過できたりというイレギュラーもあります。
 なので、そこは戦略が大事でその段階からやはり余裕持って行動できるか、あとはスケジュール管理がしっかりできるかというのが大会では結構効いてきます。 ちなみに今年は35番で、車検を受けられる約束ができています。ただそれだと1日目の本当に最後の枠なので、それで落ちてしまった場合が怖い。 次の日に、その場で修正をすることはできないので一発オーケーを狙わないと危ないです。
 車検も大会の時にではなく、試走会で車検員の方に来ていただいて、それで見てもらってOKかNGか、ここは良くて、ここは駄目だよっていうのを教えてもらえたりするので、それを何回も受けて、今年はもう大会までに完璧にできるように…というスケジュールを立てています。

強豪というのは、毎年同じチームなのですか?また、強豪チームは特色などはあるのですか?

 比較的もう固まってはきています。やはり多いのは、中部と関西の大学が強いというのはあります。
 強豪チームは、チーム体制やスケジュール管理の仕方が上手、また大学院まで行って6年やってるベテランの方がいたりするチームもあります。あとは先生が主導でやってるところも強かったりします。うちの場合、先生にほとんど教えてもらったりすることがなく、基本的に学生で考えて、学生で管理しています。

ソフトウエアは何を使っていますか?

 みんな使っているのはANSYSのFEM系の構造解析のソフトです。 それは大学のパソコンには入ってはいるんですけど、自分たちのモノコックが結構大きいので大学の低スペックのパソコンの解析だとなかなか計算が回らずエラーが頻繁に起きてしまうので、どうしようかと検討している段階です。
 今は簡易モデルでやってたのですが、しっかりとしたモデルというのはまだ作れてないという段階です。
 なるべく御社のサーバーを使って、大規模計算をしたいというのはあります。

歴代の成績どんな感じですか?

 歴代は5位がトップですね。2010年5位ですね。その次が2014年の6位です。
 昨年は総合38位でした。途中までは良かったのですが、途中で電装系のトラブルでエンジンが止まってしまい動かなくなってしまいました。1人目のドライバーの人のとき止まってしまい、2人目のドライバーの人がエースドライバーだったので、その人が走れればもうちょっとタイム良くなったので、かなり残念でした。走り切れれば10位以内はいけたんじゃないかなと…。
 やはり目標をいまだに達成できてないので、何とか日本大会で優勝したいと思います。

このフォーミュラカークラブを通して、将来何をしたいですか?

 将来は自動車の完成車メーカーや部品メーカーに就職して、設計に携われればいいかなと思います。やはり先輩を見ていても皆さん完成車メーカーに内定をいただいてる状況です。

お金に糸目を付けずにできるのだったら、こんな計算やってみたいというのはありますか?

 今やってるものだと、境界層のメッシュが切れない状態です。それを何とか切っているのですが、自分たちが指定している式があるんですけど、その式で最適化した数値を打ち込んじゃうとメッシュ数が増え過ぎてできないので、まずそれをやりたいです。
  境界層の厚さと、そのメッシュの最少の小ささがあり、それを何とか入れられるような、入れても大丈夫な計算ができればいいかなとは思います。 もっと解析規模を大きくできれば…。
 車が実際に走ってるような状況を意識して、例えばブレーキングでピッチングした瞬間に、空気の流れがどう変わっていくのかというのを見られる連成計算ができるといいなと思います。やはり空気が動いたときや車が動いたときに角度の変わり方に対して、空気の流れはどうやって付いてくるのかというのも、翼単体だったらできると思うのですが、今の状態だと、車全体でやるとできないと思うのでそれが全体でできるようになると、もっといいものができるとかになると思うので。

まだまだやりたいことはたくさんあるんですね。

 そうですね。ただそれをやるとなると、1年間だと時間が全く足りないですね!

本日はありがとうございました。
 弊社でもできる限りの支援をしていきたいと思っていますのでぜひ頑張ってください。
 今後も引き続きぜひフォローさせていただきたいと思います。

東海大学 チャレンジセンター Tokai Formula Club

  • キャンペーン情報
    現在開催されているお得なキャンペーン情報はこちらから。
    詳細
  • ご購入前のお問合せ
    フォームにご入力いただければ後ほど営業よりご連絡させていただきます。
    詳細
  • 見積り依頼
    フォームにご入力いただければ後ほど営業よりご連絡させていただきます。
    詳細
Contact

お問い合わせ

お客様に最適な製品をご提案いたします。まずは気軽にお問い合わせ下さい。
03-5446-5531

平日9:30~17:30 (土曜日、日曜日、祝祭日、年末年始、夏期休暇は、休日とさせていただきます。)