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宇都宮大学
吉田 勝俊

第16回目のインタビューは、宇都宮大学 大学院工学研究科 循環背生産管理部門の教授である吉田 勝俊先生にお話をお伺いしました。
互いに相手のバランスを崩しあうゲームにおいて、それぞれのヒトは、力学的ないしはシステム工学的に、どのような動作を行おうとしているのでしょうか?
吉田研究室では、このような相互依存的なバランス状態にある自律エージェントの運動を、機械力学、非線形ダイナミクス、認知科学などを組み合わせた学際的アプローチによって研究しています。

本日はよろしくお願いします。

工学研究科と先生の研究室(システム力学研究室)のホームページを拝見いたしました。先生のご研究分野はマルチヒューマンダイナミクス,非線形力学,確率力学とありますが、ご研究の概要を紹介していただけますか?

 人間の動きを測定・解析して、それをヒントに、人間の動き方を真似する人工物を作るというのが、私の主な研究スタイルです。動きとしては、複数の人が互いに接触したり、連結されたりしたときの動きに着目しています。解析手法としては、非線形解析や確率解析をよく使います。
 また、分岐解析やカオスが専門の関川 宗久准教授(電気系)と協力関係にあるので、吉田研で原理モデルと力学シミュレータを作っていますが、ここでわからないような問題が出てきた時は関川研究室に依頼したりもします。そこで興味持ってくれなかったら自分でやるんですけどね(笑)それでも分からないときは聞くんですがなかなか厳しいです(笑)ただ、力学の話になると私のほうが詳しいのでその時は逆襲するという(笑)そんな感じで楽しくやっております。

お二人は同じテーマのご研究をされているのですか?

 同じというと語弊がありますが、興味自体はオーバーラップしてますね。興味というのは「非線形ダイナミクス」です。例えば、一時流行ったので一般的なキーワードになったカオス(理論)※とか、そういう非線形現象ですね。普通の線形モデルには起こらない現象が面白いです。
 線形というのは理想化してしまっているものであり、現実のものはだいたい非線形なんです。なので、そういうもののダイナミクス(動き方)を研究することには意味があると思っています。
※観測誤差により実質的に予測不可能になるような複雑現象を扱う理論。

先生の資料にはロボットという言葉も沢山出てきますが、ロボット工学にあたるものですか?

 ロボット工学を意識した非線形ダイナミクスです(笑)「ロボット工学」が専門なんて言うと、専門で研究されている方々に「この人知らないのだけど」と言われてしまうと思います(笑)ただ、ロボット工学のヘビーユーザーではあることは確かで。例えば、人間が動く仕組みを数理表現しようとします。骨があって関節がついていてグリグリ動いてとかですけど。ロボット工学の知識がそのまま拝借できるのです。そうやって数理モデルを作るんですが、モデルの世界ではロボットも人間も同じになってしまいます。
 ただ、制御則が全然違っていたりはするのですが。で、そういう人間とかロボットって無茶苦茶非線形なのです。例えば、こうして重いものを持とうとすると、姿勢によって力の加わり方が(原因が同じでも)変わってしまうのです。こういうのを非線形と言います。ロボットや人間は非線形の塊なのです。

この研究に取り組まれたのは、いつ頃からですか?

 人間を相手に研究するようになったのは、結構最近で、2006年ぐらいからですかね。それまでは機械力学の研究室で、非線形振動(振動的な非線形ダイナミクス)の研究をやっていました。さっきカオスといいましたが、非線形振動の一種なのです。当時、恩師は外向きには「異常現象」といってましたね。ちなみに、私の博士論文は、機械装置に生じるカオスについてなんです。
 当時、機械装置のカオスを扱った研究は非常に少なかったので、新しい研究でした。恩師に、200万円使ってよい、それ以上は出す金が無い!と言われていて、ものすごく緊張して装置を設計したのを憶えています。調整しろのど真ん中でカオスが起きて、調整しろの範囲内でカオスが止まる装置を作りたかったのですが、修士出たての青二才でそんな保証はなかったにもかかわらず予算は一発勝負なので不安で不安で何度も計算し直したりしました。
 設計だけで1年以上かかってしまいました。それで、いざ試作したら動かなかったという(笑)最終的には、ほぼど真ん中でカオスが起きましたが……。

よくお話にでてくるカオスとはどういうものなのでしょう?

 例えば周期的な力が対象物に入って、何か動きが出てくるとき、通常なら周期的な力を入れるのだから、周期的な動きが出てきますよね。実際そうだと思われていたんです。それまでの自然の捉え方では。
 それが二十世紀の半ばぐらい(1960年代)に、周期的な力を入れても、動きが無茶苦茶になってしまうのが発見されたんです。一旦これが普通に起こるものだとわかると、至る所にそれが発見されていきました。こういう無茶苦茶な現象が出るというのは、1960~70年代より前の認識としては、何かノイズが入っていて、その影響であると考えられていました。不規則なものが入ってくるからであると。
 しかし、まったくそういうものがない理想的なモデルでもこのような現象が起きるので、当然簡単な機械装置にも起こり得るのでは?となりました。それで、カオスが起きたり起きなかったりする実験装置を作って、発生条件を明らかにする研究をしたわけです。これが私の最初の研究です。

「非線形ダイナミクス」という言葉は初めて聞きましたが、身近にあるものなのでしょうか?

 カオスもそうですけど、ジャンプ現象などは普通にありますね。例えば、二槽式だった頃の洗濯機は、脱水するときのスピードを上げて行く時と下げて行く時でガタガタするポイントが違うのですね。急にガタガタしだす現象を「ジャンプ現象」、行きと帰りでポイントが変わる現象を「履歴現象」と言います。

身近に起きていた現象なのですね。当時携わられていたもので、今に繋がるご研究は他にございますか?

 上司(恩師)の研究を手伝う中で、今と関係するところでは「眼球の動き」をカメラで撮影し、測っていました。
 当時は画像解析でトラッキングするようなものは市販されていませんでしたので、自分たちでソフトを作りました。
 それを使ってカウンターローリングというのを研究していました。

カウンターローリングとは何ですか?

 「人間の目が捻れる」ということをご存知ですか?ぐるぐるは回れないのですが、例えば、こうやって、こう傾くとメラッとする時があるのです。視野が傾くと最初は合わせるのですよ。ですが、軸受けのようには回れないので、回りきれずに途中でリセットされるのです。その時にグラっとくるのですが、それを研究室で測っていて、それを手伝っていました。

それはなんのために行われていたのですか?

 お医者さんが、目を見ているという話でしたね。ようするに平衡機能を調べる時に患者さんの目を見て、カウンターローリングがどういうふうに起こるのかで平衝異常を検出するそうです。それを工学的に測定してしまおうという研究でした。それでいくつか論文を書いたのですが、後に別の大学で、同じような研究を始めた人がいて、今はそちらの方のほうが有名なようです。

ご研究分野に「確率力学」とありますが、これについてもご紹介いただけますか?

 これは教員になってから取り組んだ研究です。カオスとは似て非なるものなのですが、サイコロを振るようなカラクリがあって、そこから不規則性が出てくるものにも興味が湧いてきました。関連する成果としては、発振器を2個用意して、同じ仕様の発振器なのだけれども位相がずれてしまっている。つまりタイミングがずれていると。これをどうやって同期させるか・・・といった研究です。
 例えば違う基盤の時計を合わせる時にそういう技術が必要なのですが、ここに共通のノイズを入れるとします。すごく小さいノイズです。そうするとこれが同期するというのを電気回路で実験をしたのですが、おそらく最初にこれを実証しました。
 これはもうやめてしまったのですが、先日とある研究会に行ったところ、この原理技術を使ってモバイルデバイスを同期させる研究をしている方がいました。声をかけてみたら私の論文を知っていましたね。

なぜ辞めてしまったのですか?

 その頃、上司(恩師)が定年退職しまして、研究者としてのライフタイムみたいなことを考えるようになりました。研究生活はいずれ終わる、人生一回きりだ……というようなことを考え出したら、一筋縄では解決できないような例題が欲しくなったんです。それで一旦リセットする感じで研究を考え直しました。

それはいつ頃のお話ですか?

 10年ぐらい前の話です。30代後半ですね。それで始めたのが今やっていることです。私はこれまで非線形現象のとかランダム現象の解析をやってきたわけですが、それが適用できる身近な例題とは何か、未練を残さない最後の例題とは何か、みたいなことを考え、最終的には「人間」かな……となりました。それで現在の研究に至ります。

人間に着目されたきっかけはどのようなものでしたか?

 伏線としては、中学生の時に剣道を、高校生の時に柔道をやっていました。そういう格闘技みたいなものが好きだったんです。ずっと研究にはならないと思っていたのですけど、今の自分であれば、これまでの蓄積を駆使すれば、ひょっとしたら学術研究にもっていけるのではないかと思い、妄想が広がっていきました。
 例えば格闘技で(相手を)倒すという現象はどういう現象かというと、バランスを保とうとするのを邪魔して倒す現象です。相撲なんかが顕著だと思います。ですからまず、バランスを取っているものを考えようということにしました。ただし、単独のバランスの研究はすでに沢山あったので、そのままでは二番煎じになってしまいます。

 「倒立振子」をどこかでご覧になったことはありますか?振り子が立っていて、車輪がついていて、モーターが入っているような……。
 このモーターを、こっちが倒れそうになったらこっちに回してというように、棒が倒れないようにする仕組みです。こういう仕組みはよく研究されています。ですが、これを2個くっつけた研究はごく少数しか見つかりませんでした。特に、転倒を考慮したような、非線形の研究は全く見つかりませんでした。これは誰もやっていなくて面白いなと思いました。
 格闘技から発想しましたが、介護とかああいうものもそうですよね。例えばこっちがロボットでこっちが人間だとしたら、両方バランスを保とうとして、接触して協力し合おうとし、でもひょっとしたら、接触することによって邪魔になってしまうかもしれないし……結局問題としては、経済学のような相互依存的な問題となる訳です。これが今やっている研究ですね。
 あともう一つは、非線形解析の分野では定常的な現象を計算する理論が主流なのです。過渡現象は面倒なので(初期値に大きく依存するなど)無視されることが多いのですが、それが格闘技の本質のような気がするので、がんばって研究しています。ようするに、二人でバランスを奪い合っているときって、どちらかが倒れるまで、動きは落ち着きませんよね。その落ち着かないあいだの動きを過渡現象というわけです。無視しちゃうと格闘技じゃなくなっちゃいますよね。
 結局のところ、バランスとっていて、それが連結されていて、非定常なものの制御を研究しているわけです。

確かに難しいですね(笑)

 実は動画もありますので、ご覧いただければもう少し分かりやすいかと思います。

基本的にはこういった実験をしながら研究をされているのですね?

 そうですね。特に人間が動かす実験です。ただ、例えば論文を通す時にどこを売りにするかというと解析なのです。もともとずっと解析をやってきたので。実験もするけれども理論解析もがっちりやるスタイルで進めています。

人間をテーマにされている実験では、被験者に色んな年代の方が必要になりそうですね

 はい。必要です。しかし現状は20代の男子が中心です(笑)大学の規定があって謝金を出したり、図書券を配ったり出来ないのです。やる時には非常勤で被験者を雇うのですが、とても手続きが大変です。今やっているものは学内で頑張って100名集めたのですが、これが1000人~2000人となると自分では無理ですので、調査会社に外注するようなやり方でないと多分出来ないですね。

心理学の先生とは、どのような共同研究をされているのですか?

 ダイナミクスとは少し違いますが、バランス実験を数多くやると、普遍的な性質はもちろん見つかるのですが、逆に個体差もすごく出てくるのです。ある指標では普遍的なものが捕まりますが、別の指標では個体によって全く結果が異なるという。それを逆手に取って、個人差が出るのであれば、他の個人差の指標と相関が出るのではないかということで、今やっているのは心理学の「パーソナリティ」です。要は性格ですね。その検査法が割と確立していまして、主要五因子論と言うのですが、人間は、外向性,協調性,勤勉性,神経症傾向,開放性という5つのパーソナリティの大小で測られるというものです。
 心理学の分野ではずいぶん長く検証されて認知されています。その主要五因子がアンケートで評価できるとのことで、アンケートを実施した被験者にバランスゲームをしてもらって、出てきたデータを非線形の解析等を使って特徴量を計算して、それを統計解析すると物凄い相関が出るのです。そのようなことをやっています。

そうした共同研究も非線形ダイナミクスのご研究と同時進行で進められているのですか?

 はい。大学院生が10人弱と4年生もいるので、研究テーマは毎年10テーマぐらいになります。なかには力学をやっている学生もいれば、必死になって心理学の文献を集めている学生もいます。

「ヒト」がテーマというのは共通していますか?

 そうですね。ヒトを解明するにあたって、これが力学なのか、ヒトの性質なのか分からない時には、純粋に力学でやってみて比較するという手法も取ります。ですから力学だけを研究するだけの学生も、心理学だけの学生もいます。あとはそれらをくっつける測定デバイスを作っている学生もいます。

心理学は「文系」として分類されることが多い印象ですが。

 心理学の全貌はわかりませんが、私が共同研究している心理学の先生は、教育学部の澤田 匡人 准教授というのですが、実験条件をちゃんと管理して、データを取り、統計解析をかけて、検定するようなスタイルですね。ですからそこは工学部と同じですね。
 社会心理学の先生で、いじめの問題なんかにも取り組まれている方なのですが、シャーデンフロイデ(他者の失敗を喜ぶ心理)の専門家なのです。それ用の質問紙を見せてもらったのですが、結構凹みます(笑)

先生のご研究のお話に戻りますが、ご研究の面白さはどこにありますか?

 先ず、誰もやっていないことなので,何がでてくるか分からないところです。それから、「相互依存的」なものって、日常生活で味わうじゃないですか?仕事でも。それがシンプルなところで、メカ的に作れるところです。人間関係みたいなところと対比して考えられる時があって面白かったりします。あとは、戦うものを作るという話になった時に、究極はコンピュータ将棋やコンピュータチェスのような感じで、人間とコンピュータでやりあって、人間に勝てるものを作るというのを目標にやっているのですが、純粋にそういう遊びとして面白いです。
 ちなみに、そんな戦争に使えそうなものを開発して大丈夫なのかという疑問は当然ありまして、始めた当初は学生達と議論になったのですが。当時の結論としては、そういう目的であれば、キャタピラ型のロボットにマシンガンを積めば良いのであって、自分らがやっているような小難しい技術は必要ないだろうと(笑)……そういう認識でやっています。

先生が工学に興味を持たれた理由はなんですか?

 工作が好きだったからですかね。子供の頃から大好きでした。それが趣味でしたね。

どんな学生時代を過ごされましたか?

 リバーカヤック(カヌー)をやっていました。流れの落ち込みに舳先を突っ込むとジャンプとかできるのですよ。この辺りは急な流れが多いので(笑)あとは、コンピュータにも興味がありました。情報工学科の友達に開発環境をもらって、フラクタル図形を書いたりしていました。自然界にありそうな図形がすごく単純な法則で描けるのです。自己相似図形とも言います。
 大学1年生の時に物理の先生が10回ぐらいで物理の授業を終わらせて、「今はこれが最先端なのだ」とのことで、フラクタル図形を書いたり、あるいはフラクタル次元という指標でその複雑さを表すのですけど、それを学生に計算させたりさせていました。本屋にいったら詳しく書かれた本があったので、それを参考にして図形を作るプログラムを書いたりしていました。思い返すと、今も同じような手法を使っているんです。
 また、フラクタル以外でも今思えば確率的なダイナミクスで、ランダムに点を画面の中に落としていって、床にくっついたら止まって、みたいに書くと雪みたいに積もるんですよ。真っ直ぐに落とさないで、風が吹いているみたいにちょっと確率を非対称にしたりすると斜めに舞い降りながら積もったりとか。地面を尖らせたらどうなるかなとか、色々試して遊んでいました。

コンピュータにずっと慣れ親しんで来られたのですね。

 そうですね。でも大家の息子さんのお古の、当時でも古いパソコンでしたね。それでしばらくやっていましたが、ちゃんとしたものを買ったのは卒業研究が始まった頃でした。それからは研究にのめり込んでしまい、趣味が全て研究に入れ替わりました。

卒業研究はフラクタルをテーマにされたのですね?

 はい、といいますか、実はカオスはグラフにするとフラ
クタルになるのです。図形としては。ちなみに、私のホームページの蝶々のようなロゴは倒立振子を対戦させる研究で出てきたフラクタル図形です。

先生のご研究は、海外メディアにも取り上げられたとお伺いしていますが、ご紹介いただけますか。

 MIT Technology Reviewという雑誌のWeb版ですが、最新技術紹介みたいなコーナーで紹介していただいていますね。あとは、ACM ※ という情報系の学会で私たちの研究を紹介していただきました。
※Association for Computing Machinery (ACM) は、アメリカ合衆国をベースとする計算機科学分野の国際学会。1947年設立。IEEEとともに、この分野で最も影響力の強い学会である。日本語に訳して「計算機械学会」とされることもあるが、こんにちこの訳語が用いられることはほとんどなく、通常は”ACM”と呼ばれる。SIGGRAPHやSIGMODなど数多くの国際会議を開催している。また、チューリング賞、ゲーデル賞を授与する組織としても知られる。(Wikipediaより抜粋)

研究室のお話をお伺います。どんな学生が多いイメージですか?

 総じて真面目な子が多いですね。もうちょっとずる賢くなれと、おじさんは思ってしまいます(笑)あとは、機械工学っぽくない研究をしているせいか、主流から外れたものが好きな子たちが集まっている気がします。
 普通機械工学と言うと機械加工とか、熱とか流体とか、誰もが認める主流ってありますが、それをあえて選ばなかった子たちですから割と私が突拍子もないことを言っても、少なくとも表面上は付いてきてくれます(笑)

学生さんには普段どのようなことを求めていますか?

 自主性です。勝手にやれと(笑)研究室の運営の特徴としては、大学の教員が集まると「最近の学生は・・・」的な愚痴が始まりますが、それを回避する工夫をしています。一週間に一度、定例で打ち合わせをするのですが、それとは別の日に必ず学生たちだけでミーティングすることを義務付けています。今では伝統みたいになっていますけどね。
 学生だけのミーティングでは、上手く行かないところ、嵌っているところを皆に説明して、意見をもらうというのを全員分回すように指導しています。つまり、ネガティブなところを共有させるようにしています。そうしたら、学生たちの相談で片付いてしまうことも多くなりました。

普段はどのような授業の進め方をしていますか?

 情報センターの端末をなるべく使わせるようにはしています。なるべく発見的な作業を取り入れると、やる気になってくれるので、例えばシミュレーションをどんどん動かして、丁度良いパラメーターを見つけさせたりしています。

ご研究が、私生活に影響を与えた体験はありますか?

 変なところに目がいってしまって、奥さんと話が合わないというのはありますね(笑)例えば、子供がローラースケートをやろうとしたところ、うまくいかず、気づいたら研究と同じように考えていましたね(笑)先ず、このモードの運動が起こるように繋いだ手をこの方向に揺らして、だんだん前に進めるようなったら……というように実験みたいになってしまって(笑)常に考えているので切り分けが難しいですね。

普段の時間の整理法について教えていただけますか?

 研究を優先させたいので、ここ2~3年は朝5時台には出勤しています。5時に起きて夜10時には寝るような生活です。早朝から力尽きるまで研究に没頭します。合間に講義や会議や雑務が入りますので、すっぽかさないよう油断は禁物です(笑)

ずいぶんと朝早いですね。その時間から研究室に入ることはできるのですか?

 セキュリティの鍵を持っていますので入ることは可能です。でも徹夜と思われる学生が結構建物にいるので一人ぼっちではないです(笑)研究室には7時半ぐらいまでいて、帰ってご飯を食べて、子供と遊んだら寝てしまいます。

大学に滞在されている時間が長いですね。

 そうですね。でも朝の時間は苦痛ではないです。

最後に計算機についてお伺いします。ご導入にあたってどのようなことを重視されましたか?

 計算速度ですかね。最初から並列計算するつもりで買いました。

弊社からご購入頂いた計算機はお役に立てていますでしょうか。

 もちろんです。現在メモリが足りなくて増設を予定していますが、速度には満足しています。

昨年はGPU搭載機ご導入いただいた際に、10数名の学生さんを集めてハンズオン説明会を実施いたしましたが、有効でしたでしょうか?

 はい。有効でした。学生は「三人寄れば文殊の知恵」というような感じで物事を進めていきますので、早くプログラムができました。もう就職してしまいましたが、説明を受けた学生の中にプログラミングが大好きな子がいまして。チューニングには少し時間がかかりましたが、今では解析にGPUを使用しているものもあります。

吉田 勝俊 先生のプロフィール

  • 研究室HP: 宇都宮大学 工学部 機械システム工学科 システム力学研究室
  • 研究テーマ:
    基礎研究
     ・競争・協調を表す機械モデル
     ・平衡維持運動の連成とその効果
     ・ヒトが創発する競争・協調戦略
     ・競争・協調タスクの官能評価
     ・神経制御系の確率力学
    応用研究
     基礎研究の成果を、次の共同研究に応用しています。
     ・車両伝達系の非線形ダイナミクス(トヨタ自動車)
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