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- 本日はよろしくお願いいたします。

ようこそ、東北大学工学部へ。

- ここ東北大学は緑がきれいですね。

東京にも自然はありますが、ここ東北大学の緑はスケールが大きいですね。私もたまに、散歩をしながら写真を撮ったりしています。

- ファビオ先生はイタリアから日本にいらしたのですね。
 来日のきっかけはなんだったのでしょうか?

イタリアに住んでいた頃テレビで観た「つくば万博」です。Scienceに特化しているイベントだったので、とても興味深く、Scienceは面白い!と思いました。イタリアはサッカーが盛んな国ではありますが、つくば万博のようなイベントはなく、当時の日本は私にとっては「ハイテクな国」という印象でした。その後、それがきっかけで福井謙一先生、湯川秀樹先生、朝永 振一郎先生の基礎理論を学びました。

- 早速ですが、先生のサイトを見るとこのような言葉が記されています。
 「Learning never exhausts the mind (Leonardo da Vinci)」 この言葉の意味を教えて頂けますか?

知識は、深さと広がり、共にバランスが大切だと思います。基礎的な理論研究は応用に耐えうるものである必要がありますし、技術や製品の創造にはブラックボックスにせずに論理的に理解する必要があります。現代において、両者の敷居は限りなく低くなってきています。それは両者にとってとても良いことだと思います。行ったり来たりすることが大切です。

- 少し具体的な話になります。
 有機合成や生化学的な実験を行う研究者も、近年、密度汎関数法を用いた理論研究を支持材料として提示しています。
 一方で、理論研究の予測が実験にかかるコストを劇的に低減し大胆な試行を可能にしています。
 両者が互いに協力し合うにはどうしたら良いでしょうか?

一番良いのは学会に行って、ポスターセッションで議論することだと思います。


- 例えばそれをマッチング問題として自動的に整うシステムがあるといいですね。

それはそうですね。それに加えて、私は一緒に食事をしたり話をしたりすることが大切だと思っています。お互いが何を知りたいかということを明確にする必要があります。仕事の進む速度も大切です。本当に信頼しあえる関係性が構築出来たなら両輪が回り前進することでしょう。他の仕事と同じように、人と人の直接的なコミュニケーションはとても重要です。

- どんな本が好きですか?

私はほとんど小説を読みません。科学の歴史に関する本が好きです。
神保町に行ったりもします。

- 好きな映画はありますか?

007です。主演のショーン・コネリーが大好きです。彼は親日家で、日本で映画を撮る際も、語学を勉強していたので柔軟に対応できたそうです。

- 面白い視点ですね。学ぶということは、本来楽しいことなのですね。
 ものごとを学ぶ上で大切にされていることを教えて頂けたら幸いです。

書くことです。文字や数式やグラフを描いてみることです。繰り返すことは知識を深めます。それは様々な分野について応用できます。書く事は歴史や博物学にとどまらず、直観的な数学にも有効な方法です。それにプラスアルファでインターネットから得られる情報も有効に活用していくことももちろん大切なことです。

- 研究を行なっていると壁にぶつかることの連続です。ファビオさんはどのようにして乗り越えられてきましたか?

まず初めに、いろんな専門分野の人に意見を求めることです。そうした積極性は大切です。それでも解決しないこともあります。その時は身体を動かすことが良いかもしれません。ここ東北大学の深き緑の中を、散歩をしていると解くことのできなかった問題がするすると解決することがあるのが不思議です。

- 日本人は創造的な仕事を行う労働者を強固に管理しようとします。また、休みをとることが罪悪感を伴うこともあります。
 ファビオ先生にとって休暇とはどんな意味がありますか?

創造的な仕事には充電が必要です。バッテリーを充電するイメージです。なにごともバランスだと思います。仕事は大切ですが、同じように家族と過ごす時間も大切です。

- たった1年間の任期しか与えられず研究を辞めざるを得ない若者がいる現実について、何かコメントを頂けますか?

難しい問題ですね。一つ参考になるかもしれない例を挙げます。アインシュタインの主要な研究は、全て特許庁の職員の時代になされました。大学の教授ではない時期です。研究職でなくとも、研究は続けることができます。そのほうがむしろ結果が出るという見方もできます。その理由はおそらく研究成果を求められる強い圧力がかかっていなかったからだと思います。

- ファビオ先生の行っている研究を教えてください。

電子構造計算による分子の物理化学的な機能の解明を行なっています。手法にしばられることなく、何が知りたいかを明確にして研究をしています。

- 分子軌道法、密度汎関数、分子動力学の現状と展望を教えて頂けますか?

これらはそれぞれ相補的な関係にあり、未だ発展途中の完成していない理論です。近い未来にこれらを包含する理論が生まれてくるかもしれませんね。

- ファビオ先生はトライアスロンを行っていたと聞いたことがあります。
 きっかけは何だったのですか?

はい、私はイタリアの大学生だったとき、私はトライアスロンの練習をしていました。
“mens sana in corpore sano”(健全な精神は健全な身体に宿る)とローマの偉人が言っています。運動をすることは、健康的な思考のためにとても大切なことです。深い緑の中、散歩をすることで色々な研究のアイデアが生まれてきます。

- ご趣味や休暇はどのように過ごされますか?

良い仕事をするには良い趣味をもつことが大切です。その人にあったバランスの取り方を学ぶ必要があります。その学びは人生の全てにおいて尽きることがありません。

- 研究を行う際に気を付けていることはございますか?

分子の構造を徹底的にいろんな観点から考察します。

- 目標とされている研究者はいらっしゃいますか?

2012年に亡くなられたRichard Bader教授です。Quantum Theory of Atoms in Molecules (QTAIM)の開発を行いました。研究者としてだけではなく人間としてとても素晴らしい先生でした。

- プログラミングや数式の導出で手が止まってしまう人も多いと思います。そうした方にアドバイスを頂けますか?

数式の導出やプログラミングは避けることができません。まずはやれるだけやってみることです。次に、他の研究者に意見を求めることです。散歩などの気分転換も有効です。

- 科学と倫理学の観点からも考察されていますね。

お金は道具に過ぎません。研究にはそれ以上の価値があると思います。

- 日本の学生の皆様にメッセージがありましたらお願いいたします。

好奇心を忘れないでいてほしいです。毎日、世界中で新たな発明、発見、技術革新が起きています。毎日本を読み、字を書くことは若さを保つ上でも重要です。私たちは人生を通じて学生で有り続けることが大切です。

- 今後、日本が目指すべき所はどこでしょうか?

日本は科学技術の可能性を拡張していくでしょう。エネルギーと環境の問題も考えていく必要もありますね。

- 今後の高度科学技術計算分野に必要なものは何でしょうか?

計算によって出来ることがたくさんあります。様々な手法を組み合わせていくことが可能になります。マルチスケールモデルと言われるものもその一つです。量子論、熱力学、統計力学、有限要素法など様々な手法が適切に応用されていくことでしょう。人工知能やロボティクスと融合していくと思います。

- 本日は素晴らしいお話、ありがとうございました。