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ナブテスコ株式会社
横地 和彦

ナブテスコ株式会社様は、帝人製機株式会社と株式会社ナブコが統合して生まれた会社です。産業用ロボットの関節などに世界中で使用される精密減速機は世界市場トップとなる約60%のシェアを占め、ドア開閉装置では約70%の国内市場シェアを、特に新幹線用のドア開閉装置においては約95%のシェアと圧倒的な地位を確立するに至っています。建物用自動ドアでは世界でもトップのシェアを有し、航空機の飛行姿勢を制御するフライト・コントロール・アクチュエーターでは世界有数のメーカーです。今回は、HPCシステムズ(以下HPCS)のクラスターシステムを導入し、ナブテスコの独創的なモーションコントロール技術を支える、技術本部CAE・材料技術部研究員の横地様にお話を伺いました。

御社のCAE部門の創設当時からお付き合いをさせていただいていますが、弊社クラスター計算機導入のきっかけはどのようなものでしたか?

クラスタ導入前は、弊社製品を構成する部品単体の解析を進めている状態でした。ただそれだけでは部品間の相互作用が考慮できず、実際の使用状況と合いたしないなど、いろいろ問題がありました。そういった中でお客様の要求に答えていくためにも、部品単体の解析だけではなく、部品間の影響が考慮できる解析を行う必要性が出てきました。しかし計算機はパソコンレベルのものしかなく、ナブテスコの製品を詳細にシミュレートするためにはやはり専用の技術計算用計算機が必要でした。当時は既に大型計算機からクラスターへの流れが始まっており、段階的・継続的増強が可能なクラスター導入に踏み切りました。

クラスターを導入する際、どんな課題や要望がありましたか?

導入時一番問題だったのはやはり性能と価格ですね。当時は最小のクラスターでもまだ高価で必要な計算が現実的な時間でできるかどうかが心配でした。 一般的にはCPUの構成と解析モデルの組み合わせで計算時間には大きな違いがあるとされていましたので。 HPCSには我々の解析モデルでベンチマークをしていただいたおかげで、安心して発注できました。 その次は信頼性が問題だと感じていました。購入後の維持管理、計算機自体の安定性、トラブル対応などには心細い思いをしていました。

他社と比べてHPCSの強みはどんな風に感じられましたか?

小規模クラスターのユーザーにも誠意を持って対応していただけたというところが良かったと思います。導入当初は我々も計算機に関しては素人だったのもありましたが、大手には言えないようなこともお願いできました。無理なベンチマークの依頼をした時もありましたが、嫌な顔一つせずに紳士的に対応していただきました。価格が引き金ではありましたが、そういった対応・誠意が決め手でした。今では、お願いしてよかったと思っています。

その頃から今まで、HPCSのHPC業界でのポジショニングをどのように捉えられていますか?

HPC業界の中でもHPCSは「かゆいところに手が届くサービス」などキャッチフレーズを立てながら、また、様々なセミナーを企画され、常に独自に色んな方向性を模索されているような感じがしており、単に計算機を売るだけでなく、ユーザーがより効果的に活用できるよう努力されてる点は大変心強く思います。価格の面では、今では大手も値段を下げてきており、差は小さくなってきていると感じていますが、HPCSはこれからもより多くの安定ユーザーを獲得されるのではないかと感じています。

システムの選定においてはそういった信頼性とかを大切にしてこられたんですね。

そうですね。これからもそうです。 ご存知の通り、CAEは今後も大きく発展することは間違いなく、我々は継続的にクラスタの増強を進める必要がありますが、複数のメーカの計算機を混在させることは管理上難しく、その点でも性能・価格に加え、特に信頼性が必要だと考えてきました。性能面では他社も同じような構成になってきており、なかなか差は出ないと感じていますが、システムの選定はもちろん、運用に関しても信頼できる点は大変ありがたく思っています。 無理も聞いてもらっていますしね。

ところで横地様ご自身は、今どのようなご研究をされているのですか?

弊社はモーションコントロール製品を通して、お客様の製品を安全・安心・快適に動かすことを使命に活動していますが、近年の顧客の高い要求に応えるには強度や変形だけでなく、製品の機能や動きを高い精度で評価する必要があり、これには各構成部品の弾性変形を考慮したコンポーネント製品全体の動きが検討できる技術が必要になってきています。 これに対応するため、私の部署では動的解析をベースに構成部品の動きを考慮した製品全体の機能を評価する解析技術の研究をしています。 とても面白いと思っています。

ナブテスコ様の製品全般の解析をされているんですね。

私は本社組織に所属しており、上記のような解析技術を通して全グループ会社の製品を対象にした解析支援をしていくという立場にあります。

メーカーの製品開発は長いスパンでスケジュールとか組まれていると思うのですが、横地様が携わっているCAE解析は製品開発のどの段階で計算されるんですか?

今目指しているのは、最初の段階ですね。昔は実績や経験則で設計を行い、試作を繰返しながら製品開発をしており、どうしてもうまく行かない場合にCAE検討を行っていましたが、今は早い段階でCAEを用いて設計を行い、試作は性能を確認・検証するだけ、という流れを進めています。最近よく耳にするフロントローティングです。 CAEを駆使し、おおよそのことは設計段階でやってしまおう、というものです。

非常に大規模なシステムを導入されていて、たくさんのノードを管理されるのはすごく大変だと思いますが、社内教育にも注力されていると聞きました。

PCSのクラスタは思っていたより故障が少なく、システムの維持管理では助かっています。 ただ、CAE教育の結果、多くの解析者がこのシステムを使うようになり、そのJOB管理が大変になってきました。当社では設計者自身が一定レベルの解析はできるような教育を進めていますので、多くの解析が集中したり、規模やタイプの異なる解析が混在することによる解析効率の低下が問題になってきています。 HPCSにはこの問題への支援も期待しています。

社内の雰囲気はどんな感じですか?

平均年齢が低いグループなので、ざっくばらんにやっています。一般のCAE関連の組織に比べると女性は少ないのですが、女性が持っている感性が活かされることがあると思うので、もっと増えるといいですね。

HPCSのクラスターを導入したことによって、どのような効果がもたらされましたか?

より大きくて複雑なモデルをたくさん計算できるHPCSの製品は、計算機として効果が社内で大きく認められています。このご時勢でも毎年のように増強できるくらいの効果が出ています。また、本来ならば我々がきちんと管理者を立ててシステムを管理すべきですが、私の本業はCAE解析技術を開発していくことなので管理の方にあまり時間を取れませんでした。そういったところでHPCSにはいろいろ無理を言ってきましたが、その度に誠意を持って対応してもらい、本来の業務に専念することができました。
このようなHPCSのクラスタを駆使して成果を出すことができ、複雑な精密減速機の解析技術で日本機械学会の技術奨励賞を受賞することもできました。

今後やりたいことはどんなことですか?

一言で言うと、アセンブリーシミュレーションということになりますね。今の我々の解析は主として我々の製品だけを対象にした解析だけですが、それがお客様の製品に組み込まれたところまでを含めた解析が事前にできるようにしたいと考えています。例えばお客様のロボットに弊社の減速機を組み込んだ場合、ロボット全体の動きがどうなるかとか・・・。 そのためにもますます計算機が発達して欲しいですね。ソフトウェアの面ではメッシュ作成等が並列化されることも期待しています。

最後に、HPCSへの今後の期待とご要望をお聞かせ下さい。

今後とも個別ユーザーの立場にたった、きめ細かいサービスをお願いできればと思っています。 もう他社への乗り換えは難しくなってきていますので見捨てず長いお付き合いをお願いします。

インタビュー後記

横地様のお話から、ハードウェアだけではなくて、HPCシステムズ自身をご信頼していただいている、ということを感じました。製品開発の一番最初にCAE解析をやることによって、その後にかかる工程のコストも下げられるし、工数も下げられる、引いては会社全体の利益につながる、とのことです。また横地様は、私達の生活のインフラに関わるご研究をされています。そのようなプレッシャーの中、それをHPCシステムズの計算機が支えていることがよく解りました。横地様の理想にかなり近づいてはいるものの、さらに上がっていくその理想と要望に応えるためにも、全社を挙げて最高のソリューションを提供していけるように今後も努力を続けてまいりたいと思います。

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