Geom
Geomキーワードでは分子指定インプットの読込先を指定します。デフォルトでは,前述のように入力ストリームから読みこみます。Geomキーワードを用いると,代わりの入力読込先を指定することができます。また,構造関連情報を出力したり,内部一貫性を用いてZ-matrixをチェックすることをコントロールすることもできます。Geomキーワードは少なくとも1つの項目選択オプションを指定しないと意味がありません。
項目選択オプション
Checkpoint
分子指定(変数を含む)セクションをチェックポイントファイルから取り出します。電荷と多重度だけは入力ストリームから読み込まれます。例えば,Geom=Checkpointは,以前のジョブステップにおける最適化された構造を,チェックポイントファイルから取り出して後のジョブで利用するために用います。この動作は確実です。なぜなら,Gaussianは最適化が失敗としても単にジョブを中止するからです。つまり,最適化された構造を利用しようとしていたその後のジョブステップを実行しなくなるからです。またModRedundantオプションと組み合わせて,チェックポイントファイルの分子指定を取り出し,さらにredundant内部座標形式で変更することも可能です。AllCheck
分子指定(変数を含む),電荷,多重度,タイトルセクションをチェックポイントファイルから取り出します。したがって,ルートセクションとその中のキーワードで必要なインプットだけを,このオプションを使ったときには指定しなければなりません。このオプションはModifyとは同時に使えませんが,ModRedとは組み合わせることができます。Step=N
失敗した構造最適化,あるいは部分的な構造最適化(つまり,最適化が正しく成功していない)のNthステップ目の構造を取り出します。Step=Original にすると,開始時の構造を取り出します。このオプションは中間点から構造最適化を再スタートするために用います。このオプションはCheckpoint, AllCheck, Modifyのうち一つと組み合さなければなりません。全てのステップが常にチェックポイントファイルに保存されているわけでないことに注意してください。ログファイル中のHessian updatedというメッセージは,対応するステップがチェックポイントファイルで利用可能であることを意味します。ModRedundant
現在の構造を(座標系によらず)redundant内部座標修正を用いて,計算を実行する前に修正します。このオプションを用いると,最適化以外の計算タイプを実行するときでさえ,この機能を使って入力ファイル中で指定された構造を修正することができます。またStep, Check, AllCheck と組み合わせて,チェックポイントファイルからの構造を取り出したり,修正したりすることもできます。ModLargeRedundant変数はOpt=Largeに対する最小セットアップを用います。これは周期境界計算では使えません。
CheckまたはStepを使うときには,2つの入力セクションが読まれます。最初のセクションでは電荷と多重度が,次のセクションでは取り出した構造の変更点を示します。AllCheckオプションと組み合わせるときには,構造修正インプットのみが必要となります。
redundant座標に対する修正指定法は OptキーワードのModRedundantオプションに対するインプットと同じフォーマットになっています(これらのフォーマットに関してここでは簡単に述べます。詳細についてはOptキーワードの説明を参照してください)。
[Type] N1 [N2 [N3 [N4]]] [[+=]Value] [Action [Params]] [[Min] Max]]
N1, N2, N3, N4は原子の番号またはワイルドカード(原子のナンバリングは1から始まり,ダミー原子はカウントしません)です。Valueは指定した座標に対する新しい値を指定し, +=value にするとvalueだけ座標を増分します。
Actionは実施する座標修正を表す任意の1文字コードであり,場合によってはその後に追加パラメータが必要となります(デフォルトの動作は指定した座標に追加です)。
- B 座標を追加し,全ての関連座標を構築します。
- K 座標を取り除き,この座標を含む全ての関連座標も除去します。
- A 座標を固定していても,最適化の際にアクティブにします。
- F 最適化中座標を固定します。
- R 定義リストから座標を取り除きます(ただし,関連座標はそのままです)。
- S n stp リラックスしたポテンシャルエネルギー面探索(Scan)を実行します。 この座標の初期値はvalue(あるいは現在の値)に設定され,全n回stpだけ座標を増分し,各々の得られた開始構造から最適化を実行します。
- H dv この座標に対する初期ヘシアンの対角要素をdvに変更します。
- D この座標に対して初期ヘシアン行列に対する数値的2次微分を計算します。
原子の番号部分にアステリスク(*)を指定するとワイルドカードとなります。ワイルドカードを含む座標指定に対して,min, maxで範囲(minが指定されていないときは最大値)を決めます。このActionは座標の値が範囲内であれば実行されます。
Typeは座標タイプを指定するために用います(デフォルトでは,座標タイプは指定した原子の数によって自動的に決定されます)
- X カーティシャン座標。この場合, value, min, max はX,Y,Z座標のそれぞれに解釈されます。
- B 結合長
- A 原子価角度
- D 2面角
- L 線形曲がり:3原子(またはN4を-1にしたとき),あるいは4原子によって指定されます(ただし4番目の原子は線形曲がりの2つの直交成分を決定するために用いられます)。この場合,value, min, max はその数だけあり,2つの直交成分を指定します。
- O 面外曲がり:中心(N1)と3つのつながった原子に対して決定されます。
Modify
指定すると,構造をチェックポイントファイルから取り出した後,それを修正します。全部で2つの入力セクションが読まれます。最初のセクションで電荷と多重度,次のセクションで取り出した構造の修正方法を指定します。Gaussian 03でのこのキーワードに対する有効な最短の省略形はModiであることに注意してください。構造最適化に対する修正はZ-matrix座標を用いて次のような形式で指定します:variable [new-value] [A|F|D]
ここで, variableは分子指定の変数名,new-valueはそれにアサインされる新しい値(オプション),最後の項目は変数をアクティブに(すなわち最適化)するか固定するかどうかを示す一文字コードです。コード文字Dはその変数に関して数字微分を実行し,変数を自動的にアクティブにすることを指定します。コード文字が省略された場合は,変数の状態は元の分子指定と同じままになります。
Connect
構造指定とそれに対する修正の後の追加入力セクション(空行で終わり)で原子結合データを明示します。このオプションは,原子ごとに1行入力が必要となります。原子の順番は分子指定と同じです。文法は以下の通りです:N1 Order1 [N2 Order2 …]
ここで N'は現在の原子に結合している原子,Orderは対応する結合の結合次数です。例えば,現在の原子が原子4と5に結合していて,結合次数がそれぞれ1.0と2.0の場合,次のように指定します:
8 4 1.0 5 2.0 -1.0
この入力セクションは空行で入力終わりを示します。
ModConnect
分子指定(あるいはチェックポイントファイルから取り出した構造)における原子の結合情報を修正します。このオプションには,構造指定とそれに対する修正の後に追加入力セクション(空行で終わり)が必要です。結合情報の修正には次の文法を用います:M N1 Order1 [N2 Order2 …]
ここで, Mは原子の番号,Nはその原子に結合している原子,Orderは対応する結合の結合次数です。結合次数を-1.0にすると,結合を取り除きます。例えば,原子8が原子4と5に結合していて,結合次数がそれぞれ1.0と2.0で,さらに原子9との結合を取り除く場合,次のように指定します:
8 4 1.0 5 2.0 9 -1.0
ZMConnect
Z-matrixで指定した原子の番号付け(ダミー原子を含む)を用いた結合情報を読み込みます。ダミー原子に関する結合次数は無視されます。IHarmonic=n
初期構造に調和束縛を力の定数n/1000 Hartree/Bohr2だけ追加します。InitialHarmonicはこのオプションと同義です。ChkHarmonic=n
チェックポイントに保存された初期構造に調和束縛を力の定数n/1000 Hartree/Bohr2だけ追加します。CHarmonicはこのオプションと同義です。ReadHarmonic=n
インプットストリームで(入力配向で) 読み込んだ追加構造に調和束縛を力の定数n/1000 Hartree/Bohr2だけ追加します。RHarmonicはこのオプションと同義です。OldRedundant
Gaussian 94のredundant内部座標生成法を用います。出力関連オプション
Distance
原子距離行列(atomic distance matrix)を出力します(50原子以下の分子ではデフォルトです)。NoDistanceにするとこの出力を抑制します。Angle
原子間の角度を出力します。このとき原子が結合しているかを決定するためにZ-matrixを用います。デフォルトでは,カーティシャン座標で指定された原子があるか,redundant内部座標で最適化を行う場合以外には出力されません。NoAngleはこの出力を抑制します。CAngle
原子間の角度を出力します。このとき結合している原子を決定するために距離カットオフを用います。デフォルトでは,少なくとも原子一つでもカーティシャン座標で指定されていかぎり出力されません。 Angle, CAngle, NoAngleのうち同時に指定できるのは一つだけです。Dihedral
2面角を出力します。このとき原子が結合しているかを決定するためにZ-matrixによる結合情報を用います。デフォルトでは出力されません。NoDihedralはこの出力を抑制します。CDihedral
2面角を出力します。このとき結合情報を決定するために距離カットオフを用います。Dihedral, CDihedral, NoDihedralのうち同時に指定できるのは一つだけです。
PrintInputOrient
入力配向によるカーティシャン座標の表を出力します。構造指定・チェックオプション
KeepConstants
固定変数に関する情報をKeepConstantsにすると維持し,NoKeepConstantsにすると破棄します。デフォルトでは,Bernyアルゴリズムのための記法による固定変数は維持し,古い最適化アルゴリズムのための固定変数は破棄します(つまり,固定するように理解しません)。KeepDefinition
redundant内部座標の定義を維持します(デフォルト)。このオプションの逆はNewDefinitionです。NewRedundant
現在のカーティシャン座標からredundant内部座標を再構築します。Geom=Modifyを用いている場合,座標系が更新される前に,新しい修正が以前のOpt=ModRedundant入力に追加されます。Crowd
原子同士が0.5 Åより近いときにジョブを中止するチェック機能をCrowdにすると有効に,NoCrowdにすると無効にします。デフォルトでは,初期構造ではこのチェックは行いますが,最適化の最中では行いません。Independent
Z-matrixで指定された変数の線形従属性をチェックする機能をIndependentにすると有効に,NoIndependentにすると無効にします。デフォルトでは,Bernyアルゴリズム(Opt=Z-matrix)を用いて完全最適化を行う場合にのみ有効です。モデルビルダオプション
ModelA, ModelB
これらのオプションは モデルビルダ[500]結合情報を読み込み,記号によるZ-matrixを作るために用います。このオプションはHからNeに対してのみ実装されており,場合によっては正しい対称性束縛をもった変数による記号によるZ-matrixを構築できません。構造最適化を実行しているときやこの問題が起きた場合,ジョブは中止されます。
モデルビルダ機能の追加出力を有効にします。